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失われたカードたち:第5話「闇」
堕天使/文


  ジャラ

 「ちっ……」

  見渡す限りの闇が広がる、空虚な空間。そこに響く金属音に、ユエは軽く舌打ちした。

 「あはんはぁ、あっはうおへへんへ」

 (あかんなぁ、まったく解けへんで)

  隣りでも、ケルベロスが同様にもがいている。

  気が付けば、いつの間にかこの空間にいた。手足や体をがっしりと鎖に絡み取られ、身動きも取れない状態だ。ケルベロスに至っては、猿ぐつわ代わりなのか、口にまでかかっている。

 「ほうはあほほふはひ、はほふふふひうほふへふはほんはいいは」

 (どうやらこの鎖、魔力封じる特別なもんらしいな)

 「ああ。先ほどから魔力を使ってみようとしたが、まったく反応しない」

  と、そこでやっぱり気になり、ユエは半眼で聞いた。

 「なあ、ケルベロス」

 「はんは?」

 (なんや?)

 「その喋り方、何とかできないか?」

 「ひははあはへんあほ」

 (仕方あらへんやろ)

 「ああ、そうだな……」

 

  高価な材質で作られた大道寺家の扉が開き、そこから知世が顔を出す。

  軒先に立っていたのは、頭の両側にあるお団子からお下げが垂れた、知世と同じぐらいの歳の少女。香港にいるはずの友達、李苺鈴であった。

 「苺鈴ちゃん。どうかなさったんですか?」

  玄関前に立っていた苺鈴は、まさに鬼気迫る表情だった。今にも飛び掛ってきそうな、そんな勢いが滲み出ている。

  苺鈴は拳を握りこむと、知世の方へ視線を向けた。しかしそれは、怒りに溢れた表情ではなかった。今にも崩れそうな表情と、目尻から微かに流れ出す涙が、それを語っていた。

 「大道寺さん、小狼がどこへいったか知らない!?」

 

 「うん、ここはこれで大丈夫だね。後は…」

  少年は、やけに楽しげな口調でその部屋をうろつき回る。その足元には、何十人もの使用人たちが一人残らず倒れていた。だが、死んでいるわけではない。いずれもが、深い眠りに陥っているだけだ。

 「うん、ここから先は自由にしていいんだね」

  手の中にあるメモ帳のページを繰りながら、部屋の中を何回もぐるりと回る。単に暇なのでうろうろしているだけなのかもしれない。

  ともかく、彼は手帳に記された文字の羅列を眺め、その顔に得体の知れない笑みを浮かべ、唇を歪ませる。クシャリ、という音を立てて、手の中のメモ帳を握りつぶした。

 「自由にして、いいんだね…?」

 

 「行方不明、なんですか?」

  大道寺家のリビング。知世はいつものソファーに腰掛け、テーブル越しに向かいに座る苺鈴の説明に首を傾げた。苺鈴は、握りこんだままの拳を膝の上に乗せたまま、やや遅れて頷いた。

  苺鈴の説明では、小狼がいなくなったのは先週の事らしい。何の脈絡もなく、その日の朝に小狼は消えたという。誘拐かもしれなかったが部屋にはそのような痕跡はなく、いつも戦闘服のようなものとして小狼が着ていた服が共に消えていただけだという。

  この一週間、苺鈴は香港中を探し回ったが依然として小狼の行方は知れず、藁にもすがるような気持ちでこの日本に訪れたのだという。

 「最初は木之本さんの家に行ったんだけど、いくら呼んでも誰も出なくて。それで、大道寺さんの所に来たの」

  ここまでの経緯を話す苺鈴。知世は、その話に何か引っ掛かるものを感じた。とりあえず、そのことをそのまま言葉にしてみる。

 「でも、おかしいですわ。李君なら、昨夜からさくらちゃんの所にいるはずですわ」

 「うそっ!?」

  跳ねるように苺鈴は顔を上げる。それを追いかけるように、彼女のツインテールがぴょんと跳ねる。

  知世は頷いて、さらに言葉を続けた。

 「ええ。昨夜、さくらちゃんが敵と戦ってた時に助けに来てくださったみたいで、それ以後はさくらちゃんの看病をしていると聞いたのですが……」

 「それ、誰から聞いたの!?」

 「李君本人ですわ。つい先ほど電話で……」

  ゴトッ…

  ふと、背後から物音が聞こえる。知世は言葉を切り、そちらへと振り向く。そして、宝石のように深いその瞳を見開いた。そこには、しまったというような表情で、開いたままのドアの側に立っている少年がいた。

 「小狼!」

  テーブルに両手を叩きつけ、苺鈴は立ち上がる。少年は、苺鈴が一週間前から探していた人物、李小狼だった。

 「どこ行ってたの、小狼!」

  小走りに駆け寄る苺鈴。しかし知世の鋭すぎる観察力は、『それ』が李小狼である事に奇妙な違和感を感じた。だが上手く言葉にならない、どこかもどかしい違和感。

 「あ〜らら、予想外の客までいるよ。まあ、その方が僕にとって好都合だけど」

  ビックリしたような表情で、しかしどこか冷めたような口調で小狼は呟く。

 「!?」

  違和感が膨れ上がる。いや、小狼の姿かたちの中に隠された何者かの気配が、一気に膨れ上がったのだ。

 「苺鈴ちゃん! 危ない!」

  それを察知したとも夜は、『小狼』の目と鼻の先まで近寄っている苺鈴に叫び掛けた。だが苺鈴がその意味を理解するよりも早く、苺鈴の身体は、知世が座っているソファーへと吹っ飛んでいた。

 「苺鈴ちゃん!?」

 「ふ〜、やっぱりばれちゃった。ロストの言うとおりだね。あんたにはばれるかもしれないって」

  『小狼』の口調ががらりと変わる。どこか自分よりも年下の印象を受ける、無邪気な口調。

  彼は苺鈴の腹部に叩きつけた右拳を後頭部へ持っていき、首筋の辺りをポリポリと掻き始める。

 「まあ、ここまで来ちゃったらばれてもばれなくても同じだよね」

  知世は危険を感じ、一歩下がる。だが、未だにうずくまったままの苺鈴を放っとけないという感情が、それだけで足を止めさせた。

  知世がそれにもたもたしていると、急にリビングの扉が勢いよく開いた。

 「来たね……」

  大きく口を開いた扉からなだれ込んで来たのは、大道寺家の使用人たちだった。まるで制服のように黒いスーツにサングラスをかけた屈強な女達。しかしそのいずれもが、両手をだらしなくぶら下げ、心なしか体が前後左右にヤジロベエのように揺れている。

  一目見ても、彼女達の様子が異常なのはわかる。

 「皆さんに……何をしたんですか?」

  恐怖にかられながらも、知世は『小狼』を精一杯睨み付けた。

  しかし『小狼』はそれをあっさりと受け流すと、袖の中から一枚のカードを取り出した。さくらが持つカードと、ほぼ同じカード。その裏面の絵柄は、以前目にしたクロウカードそのものだった。

 「僕も、少しだけカードを扱う事ができるんだ。これはその一つでね、ボクも結構気に入ってる」

  指を器用にくねらせ、カードをひっくり返す。そこには糸に操られるピエロの人形が、関節をほとんど無視した奇妙なポーズで描かれていた。

  『小狼』はゆっくりと、カードに書かれた文字を読み上げる。

 「操[マリオネット]」

 「!? きゃああああああああっ!」

  その名を呼ばれた途端、使用人たちは一斉に知世と苺鈴に襲いかかった。大人と子供の力の差がある上、数が数である。知世と苺鈴はあっという間に取り押さえられてしまった。

  知世は仰向けにテーブルの上へ、苺鈴はうつ伏せにされ床へ、それぞれ大の字に抑えられる。

  オリの中の動物を見るような気持ちで、『小狼』は知世の元まで歩みより、真上から知世の顔を覗き込む。

 「ロストから、あとは好きにしていいって許可が出たものでね。せっかくだから、君たちで楽しませてもらうよ」

  獲物を捕らえたハンターの笑み。

  知世には、これから自分と苺鈴に襲い掛かる悲劇を、ただただ想像しながら涙する事しか出来なかった。

 

 「さ〜て、まずはおまけの方を片付けるとするかな」

  抑え付けられたままの知世に背を向け、床に全身を押し付けられている苺鈴の方へと向かう。

  苺鈴は儚い抵抗を何度となく繰り返しているが、使用人達が全体重を掛けているため、痙攣する程度にしか動かない。悲鳴を上げようにもカーペットに顔も完全に押さえつけられてるため、呻き声すら上げられない。

 「頭だけ、離してあげて」

  言われた通りに、頭を抑え付けていた使用人が離れた。後頭部に感じる圧迫感から開放されるや否や、僅かにカーペットの生地の跡が残る顔を勢いよく上げた。噛み付くような瞳で『小狼』を見上げる。

 「おや? 随分反抗的な眼だね」

 「…………やめて」

  噛み締めた歯の隙間からこぼれる声。何かを必死に抑えるように、苺鈴はその一言を口にした。

 「やめる? 何を?」

 「これ以上小狼の声と顔を使わないで!」

  面白がって顔を近づけた『小狼』に向かって吠え掛かる。しかし『小狼』はまったく気にせず、立ち上がってからその顔を靴底で踏みつけた。

 「うるさいね。どんな姿でいようと僕の勝手だろ? 君はもう、僕の玩具なんだ。玩具が主人に逆らうな」

  心の芯まで凍てつかせるほどの冷酷な口調。そこには先ほどまでの無邪気な顔をした少年は居らず、罠にかかった獲物をなぶり殺しにしようとする獣の瞳で苺鈴を見下ろしていた。

  固い靴底でぐりぐりと苺鈴の可愛らしい顔を踏みにじる。滑り止めのため刻まれた模様が、引っ掻かれるような痛みを顔中に広げる。

 「うっ………」

 「痛い? 苦しい? でも君はこれを受け入れるしか道はないんだ。何度でも言ってあげる。君はこれから僕の玩具。玩具には自由も意思さえも要らないんだよ!」

  強い口調で言い放つと、いきなりその足で苺鈴の顔を蹴り飛ばす。衝撃が脳天を突き抜け、口内に微かな鉄の味が広がった。

 「さ・て・と……」

  『小狼』はズボンの中からいきり勃った肉棒を取り出し、それを苺鈴の目の前に突きつける。

  初めて見る男のモノに苺鈴はとっさに顔を背ける。

  『小狼』のそれは既に少年のそれではなく、一般的な成人男子のそれを一回り超えていた。

 「まず、これをしゃぶってくれよ」

  使用人達に頭を固定させ、苺鈴の小さな唇にそれを押し付ける。

  苺鈴は固く唇を閉じて何とか進入を拒むも、すぐに使用人の一人に鼻を摘ままれる。しばらくすると息苦しさに口が開き、『小狼』はその隙を逃がさず肉棒を苺鈴の口内に押し入れた。

 「んぐっ…!」

  先ほどから鼻を突いている異臭が口の中一杯に広がり、苺鈴は呻き声をあげる。

  何とかその異臭とその元から逃れようと体をばたつかせるが、まったくぴくりとも動かない。

 「抵抗したって無駄だよ」

  必死に逃れようとする苺鈴を嘲笑うかのように、『小狼』は声をかける。

 「それから、歯は立てないようにね。もし噛んじゃったりしたら、その歯を全部もぎ取ってあげる。もちろん一本一本、ゆっくりとね。血が一杯出ると思うけど、安心して。たっぷりと塩を塗ってあげるから」

  あまりにも冷酷なセリフに、今まで何とか強気を保っていた苺鈴の顔を青ざめる。それは、苺鈴の敗北を明らかに物語っていた。

  『小狼』はその表情に満足すると、ゆっくりと腰を動かし始めた。

 「そうそう。人間、素直が一番だよ」

 「ふぐっ・・・・・・んんっ!」

  苺鈴の口内を蹂躙する肉棒。しかし苺鈴はそれから逃れる術も、逆らう術も持ってはいない。ただ悲しげな呻き声をあげるだけだった。

 「なっちゃいないね。もっとこう……激しく動かせよ」

 「んんっ!」

  髪を掴んで激しく前後に揺り動かす。突然の行為にさらに口の奥を突かれ、苺鈴はくぐもった悲鳴をあげる。

 「め、苺鈴ちゃん……」

  唯一自由な首だけを動かし、その光景を悲痛な面持ちで見つめた。

  例え中身は別人でも、事情の知らぬ者から見れば、それは、近親相姦と変わらぬものだった。

  目を背けたくても、できなかった。何か見えない力が知世の瞳を固定しているかのように。

 (さくらちゃん………助けて!)

 

 (これも……………夢なの?)

  ほんの数センチ先さえ見ることができない空虚な闇に包まれながら、さくらはそんな事を考えていた。

  薄い膜でも貼られたかのようにじめっとした感覚が沸く。とても夢とも思えぬその不快な感覚は、しかしさくらの目を覚まさせる事はなかった。

  立っているような横になっているような、それとも逆さになっているのかさえもわからない。まるで無重力空間にでもいるみたいだ。手足を動かそうにも、動いているのかわからない。いや、それどころか、身体の感覚すらない。

 (…………誰?)

  全てが不明瞭な闇の中、誰かが自分を呼ぶ声が聞こえたような気がした。

  耳を澄ましてみる。もっとも、感覚が消失している今の状態では、聴力さえも消失しているのかもしれないが。

 『………ら……………ゃ……!』

 (!?)

  間違いない。今度は確かに聞こえた。微かにだが、何かを強く訴えるような声が。

 『………くら……ちゃ………!』

 (……この………声は……………)

  さっきよりもはっきりと聞こえてきたその声には聞き覚えがあった。毎日聞いていた馴染みの声だ。限りなく透き通り、心に残る美しい声。だがその声は、今は弱々しくその音色を奏でるだけだった。

 「知世ちゃんっ!!」

  さくらの絶叫さえも、その闇は全てを包み込み、押し潰していく。さくらに残った最後の意識さえも。

 

  ――ピリリリリリリリリリリリッ

 「もしもし? ああ、ロストか。何? 早く戻ってこいって? どうしたの、急に?」

 「あっ……痛い………抜いて……もうやだ………」

  いきなりかかってきた携帯電話から流れてきた指令に、『小狼』は眼を細めた。その下では、四つん這いにされたままの苺鈴が後ろから突かれ、悲痛な悲鳴を切れ切れとあげていた。

  まだ幼いその秘部からは処女の証である赤い筋が流れ出していた。

 「え? あの小娘が起きちゃったの? わかった、もう一人の小娘犯っちゃってから帰るよ。え、すぐに? わかったよ。じゃあ、この予定外の小娘の始末してから帰るよ。ついでにお土産も持ってくと思うけど」

 「うあ………ああ…………いやぁ……」

  時間がないと知ってか、会話中にもかかわらず『小狼』の突き上げが激しくなる。

  子宮を貫かんばかりの苦痛と異様な感覚に、涙を溜めた瞳を見開きながら口を金魚のようにパクパクとさせる。

 「そんなわけで、さっさと終わらせるね」

 「う、うああああああああ」

  ますます激しくなる腰の動きに、絶望的な声をあげる苺鈴。

  その時には既に、『小狼』の姿はだんだんと変わっていった。髪も黒く染まり、顔つきもどことなく大人びてきた。衣服もゆったりとした黒衣へと変化していく。だが、その突き上げの鋭さはまったく変わっていない。

 「いやっ、いやっ、いやあああああああああああああああ!」

  苺鈴の中で、何かが爆発した。

  なみなみと注ぎ込まれる灼熱の液体が膣を焼き、その奥にある子宮にまで進入してくる。

  もうどうにもならない事を思い知らされた苺鈴の頬には、絶望の涙の筋が幾重にも重なって流れ出していた。

  そんな惨劇を見せつけられた知世は気を失いかけた。なんとか意識を取り戻すも、『小狼』の指示の下に動く使用人達により正体の分からぬ薬を注射され、結局そのまま意識は闇に沈んでいった。

 

  最初に感じたのは、すごく頭が重く、身体がだるかったという事だった。一日中眠った後に起きたときに感じる、頭の中に濃霧でも発生したかのようななんともいえない脱力感。しかし、それもしばらくすれば治る事だった。

  次第に頭の霧が晴れてくるのを実感すると、何かが頭の片隅に引っ掛かった。忘れてはいけない、絶対に思い出さなければならない、とてもとても大切な事。

  完全に頭がはっきりした時、全てを思い出した。

  それまでの身体のだるさなぞどこ吹く風か、まさに脱兎の如くその清潔感漂うベッドから飛び出した。

 

 「……小……………狼………」

  虚ろな瞳で、旋風にさえも掻き消されてしまいそうなほどのかすれた声で呟く。屋内であっても容赦なく自分の皮膚を撫でる風が、この時ばかりは恨めしかった。

  恨めしい?

  いや、はたして今の彼女にそんな感情があるのだろうか?

  無理矢理押さえつけられ、望まぬ形で処女を奪われた。しかも、自分が最も愛するものの姿を借りた、初対面の赤の他人に、だ。

  凌辱という名の刃は彼女の未成熟な身体を弄んだだけではあき足らず、その心までもボロボロに切り裂いたのだ。

 「…………っ!」

  どこか遠くから、誰かの声が聞こえてきた。

  しかしその声はかろうじて『声』と認識できるだけで、それが誰のものなのか、どんな言葉が発せられているのか、今の彼女がそこまで認識する事は不可能だった。

 

  気がつくと知世は、闇の中に囚われていた。

  それは形容ではなく、本当にそう思えるほどの光景だった。

  その部屋――らしき場所――には、欠片の光もなかった。単に目隠しをされているだけなのかもしれないが、とりあえずそんな感触はなかった。

  唯一頼りになる触感から、知世は今の状況を整理してみた。

  まず、服は着せられているようだ。最後に気を失った時に着ていた物と同じだと、大体の感触で解かる。所々にフリルの付いた、華やかでゆったりとした純白のワンピースだ。

  両手は手錠のような物でまとめられ、吊るされている。

  吊るされているといっても、地に足がつかないように吊るし上げられているわけではなく、人形のように壁に背を預け座らされている。なんとか立ち上がろうと試みてみたが、足の方もまったく動く気配はなかった。

 「………さくらちゃん」

  あまりにも絶望的な状況に、知世は弱々しく親友の名を呟く。心細さからか、その頬に涙が一筋走った。

 「をっ、もう起きたんだね」

  突如光が闇を切り裂き、長方形に切り抜く。そこから光を遮って現れたのは、気を失う前に自分の屋敷へと侵入してきた、黒衣の少年だった。

 「そういえば、自己紹介がまだだったね。僕の名は、『変』【モーフィング】。これでもれっきとしたクロウカードの一つさ。能力は、一度見たモノなら何にでも化けられる。それが人だったら、指紋だろうが声紋だろうが、なんだってコピーできる。そいつに触れながら変身すれば、記憶や人格までもコピーできる」

 「……李君は、どうしたんですか……?」

 「安心して。日本に来る前に香港で会ったんだけど、邪魔だったんである場所に監禁させてもらってる。もちろん、姿はコピーさせてもらったけどね」

 「そう……ですか」

  小狼の無事を知り、知世は胸を撫で下ろす。

  そんな知世を、『変』は冷たい瞳で見下ろした。

 「他人の事より、自分の心配をした方がいいよ。何のために僕が君を連れてきたのか、解からないわけじゃないだろ」

  ゆっくりと、拘束されたままの知世に歩み寄る。それと同時に、闇をくり抜いた光の扉が、徐々に閉じてゆく。

  それはまるで、知世の身にこれから降りかかる運命を表しているかのようであった。

 

 「い、いやっ! やめてください!」

  高価な布越しに自分の身体を弄ばれる感触が伝わってくる。暗闇で視覚が遮断されている分、それは余計に強く感じる。しかも這い回るその腕は人間のそれではなく、どちらかといえば触手のようなものに近かった。

  例えようのない嫌悪感が、爪先から頭髪の隅々にまで行き渡る。その源が素肌に触れると、全身に鳥肌が立ってしまいそうなおぞましさが加わる。

 「いやぁ……き、気持ち………悪い……」

  身をよじるが、そんな事で避わせるものではない。

  次第に触手は衣服の隙間から入り込み、知世の幼い肢体を蹂躙し始める。

 「助けて……さくらちゃん…助けて……」

  恐怖に震える知世を、しかし触手たちは解放する気など欠片もなかった。ただ執拗に、知世の性感帯を刺激し続ける。

  ――ジュプッ

 「!?」

  不意に一本の触手が、知世の口内に侵入した。

  溢れ出る体液を染み込ませるかのように、上下左右に大きくうねりながら無理矢理に凌辱していく。触手の激しい動きに合わせて首が揺れ、こみ上げてくる嫌悪感が吐き気へと変わってゆく。

  たったこれだけでも、知世には限界だった。これ以上責められれば、ほぼ確実に耐えきれないだろう。

 「んんっ……んっ!!」

 (いや! これ以上は、だめぇ!)

  知世の哀願虚しく、触手は下着を破り捨てる。

 (!? それだけはっ! それだけは本当にやめてください!)

  今更のように抵抗するが、小学生の女の子のひ弱な腕力で破れるような易い拘束ではない。

  結局たいした抵抗もできず、知世はついにその時を迎えようとしていた。

  ――ギュチッ

 「んんんんんんんんんんんんんんんんっ!」

  まだ『それ』としての機能を発揮できるまでに成長しきっていない未成熟な秘唇を押し広げ、強引に突き進んでいく。その行為は文字通り知世の肉を引き裂き、赤い筋を滴らせる。

  生まれて初めて受け止めるこれ以上無いという激痛に、知世は背を仰け反らせて絶叫する。しかしそのいずれの行為も、触手の腕力(?)によって抑えこまれる。

  しかし、知世の悲劇はそれだけでは終わらない。やや太目のボールペンほどの太さを持った触手が数本、限界を超えて引き裂かれた秘部にその身をくねらせて忍び寄る。

  そしてそれらは、もう隙間さえ空きそうのない陰唇と触手の間にそれぞれ割り込もうとした。

 「っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!」

  未成熟な下半身を壊さんと蠢く触手は、知世から更なる絶叫を絞り出す。喉が破れんばかりのその絶叫に、しかし触手たちはその責め手を緩めず、更なる凌辱を持ってそれに応えた。

 

  死に等しい、いや、死をも遥かに越えた激痛に苛まれながらも、知世は一人の少女の名を呼び続けた。だが、知世がすがる唯一の存在も、既に今、自分の身に起きている受難を追い払う事などできない。

  それでも、知世は思い続けた。「きっと来てくれる。自分が捕らえられている場所を探し出し、この得体の知れない物から自分を助け出してくれる」と。

 

  虚しい希望だ。

 

  そんな少女の胸の内など気にする様子もなく、触手たちはその体ごと、少女の精神や希望を崩壊させていく。

 

 

 


解説

 真魚 「まぁ〜ったく何考えてんだろ。こんなご時世にテロだなんて……」

 美夕 「真魚ちゃん真魚ちゃ〜ん」

 真魚 「あ、美夕。いいかげんその登場の仕方飽きない?」

 美夕 「え〜っとね、少しだけ。ってそうじゃなくて、作者さんから電話だよ〜」

 真魚 「ったく、世界がこんな大変な時に、何いつまでものほほんと旅を続けて……」

 

 真魚 「って、何でTV電話なんてもんがあるわけ、このスタジオっ?」

 作者 「言うな。なんか書いてて無理矢理だな〜、って思ってんだから」

 明日美「そうですよ。この人が理屈通った文を書けるわけないじゃないですか」

 美夕 「って、明日美さん!?」

 真魚 「何でそこに!?」

 明日美「皆様はじめまして。美夕さんや真魚さんとクラスメイトの、伊藤明日美と申します」

 真魚 「いや、そこでさりげなく自己紹介しないで……」

 作者 「えっと、そんなところで盛り上がってないで。一応これ、後書きなんだから」

 明日美「それでは気を取り直して。作者さん、今回、全然事の真相に迫っていないようなのですが」

 作者 「今回の終盤で説明する予定だったんだけどね。苺鈴が思ったより長くなっちゃったから次回に回した」

 明日美「なるほど。ということは、また次回までおあずけ、というわけですね」

 作者 「うっ、そうなるね……」

 明日美「それにお話の本筋も全然見えませんし。本当に後2話で終われるんでしょうか?」

 作者 「終わらせる。なんか文字数がとてつもなく多くなっても終わらせる」

 明日美「つまり、Hだけを求めている読者さんがどんどんと離れていってしまう可能性がある、ということですね」

 作者 「ぐっ…」

 明日美「とにもかくにも、散々遅らせてこの程度の内容では、読者さんに示しがつきませんよ」

 作者 「大丈夫。年内には終わらせる。例え一ヶ月徹夜になっても終わらせる」

 明日美「というわけで、心身ともに廃れきっている作者さんのお話でした。それでは〜」

  ――ブチッ

 

 美夕「……真魚ちゃん、なんだったの、今の?」

 真魚「……わかんない」

 美夕「……私たち、出てくる必要あったのかな?」

 真魚「……さあ………」

 


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