【ジュネーブ=藤田剛】世界保健機関(WHO)はメキシコなど72カ国に、インフルエンザ治療薬タミフルの無償提供を始めた。まず備蓄分のうち240万人分を急送する。新型インフルエンザの感染が広がるなか、資金不足で治療薬を大量購入できない途上国を支援する。
WHOは2005―06年にスイス製薬大手ロシュから寄付されたタミフルを在庫として備蓄している。第1弾として1箱10錠(1人分)入りの治療薬240万箱を送る。タミフルは豚インフルエンザから変異した新型インフルエンザにも効果があることが確認されており、WHOは感染拡大に備えてロシュに増産も要請した。
一方、既存の予防用ワクチンは新型インフルエンザ防止に効果がなく、WHOはすでに製薬会社と共同で開発作業に入った。WHOは途上国への無償提供のため、タミフルと同様の備蓄制度の創設を検討しているが「実際に流通するまで4―6カ月かかる見通し」という。
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