先日お会いした柚木沙弥郎先生のことに興味を持ったのは、大岡信さんの「美をひらく扉」(講談社 1992)でそのお名前を知ったのが最初だと思います。もう15年以上前ですね。大岡信さんは美術・工芸に関するエッセイを多く書かれていて、志村ふくみさんのことなども書かれています。 そして前回ギャラリーTOMに行った時に、今度柚木沙弥郎展があることを知り、東京に行くことがあったら行ってみたいなと思っていたのです。私がおじゃました時には、先生はたぶん朝日新聞の取材を受けられている最中で、私はそれに気づかず学芸員の山本さんに「かくかくこういうことで是非来たいと思ったのです。」と話しかけてちょっとおじゃま虫になってしたかもしれません。取材の後も先生は、知人の方とお話をされていたのでご迷惑になってはとそのままおいとましようかと思ったのですが、山本さんがお話になってはいかがですかと言ってくださったので、せっかく東京に来たのだからとお声をかけてみたのです。 私は「同時代」の宇佐見英治さんの追悼特集号に掲載されていた先生の追悼文のことと、お二人の出逢いのきっかけになった「同時代」のインド特集について先生にお話しましたらなつかしそうにされていました。宇佐見英治さんはとても真面目な方ですこしきつ音もおありだったこと、宇佐見さんが亡くなられてからも奥様が経営されている表参道のギャラリーに行かれたこと、宇佐見英治さんの「明るさの神秘」の表紙絵は柚木先生が描かれたのですが、最初の出版元の小平林檎園の御主人はその後すぐに亡くなられてしまったことなどを伺いました。 http://www.msz.co.jp/book/detail/04647.html ←「明るさの神秘」 そして、私が柚木先生に親しみを持ったことの一つは西洋の中世の芸術がお好きで影響を受けられたことで、私もラヴェンナのモザイクなど中世の芸術が好きなこと、そして中世の芸術はユーモア感があり、中世の暗黒時代というけれどもむしろ神の前の幼子のような気持ちで描いたのではないでしょうかというお話をしたら、それに賛成してくださったのでとても嬉しく思ったのでした。それからなぜ日本はこのような社会になってしまったのでしょう、どうしたらいいのでしょう、と先生がおっしゃられるので、人の死を悼むことさえできないような慌ただしい世の中で人と人との結びつきが弱まり地域社会が消滅しつつあること、私はその復活のためにずっと活動をしてきたことをお話し、柚木先生は「専門家はたくさんいるけれどもそれを統括するビジョンや教養のある人がいない」ということを言われました。 先生は最近病気をされたそうですが、幸い軽くてすみその後も意欲的にお仕事をされているそうです。年をとりますますお若く子どものような感性でお仕事をされるということは本当に素晴らしいことだと思うのです。先生は絵本のお仕事もされていて「ぎったんこばったんこ」(福音館)など読んでいてとても愉しい作品です。「せんねんまんねん」「ネコとひなたぼっこ」は、まど・みちおさんとのコラボです(^^)。「芸術新潮 5月号」と「母の友 5月号」に先生の特集があるそうですので、是非みなさん読んでみてください! http://tahti.jugem.jp/?eid=120 ←チキミキ http://fukuinkan.cocolog-nifty.com/hahanotomo/2009/04/post-e22a.html ←母の友でゆっくり子育て |
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