せっかくの行楽気分を台無しにする交通渋滞。特に今年のGWは休日の高速道路の料金が一律1000円になるということで、例年とは比べ物にならないほどの渋滞が起こるのではないかと心配されている。
 そこで今回、著書「渋滞学」で有名な渋滞学者、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻の西成活裕教授に渋滞の実際と、“究極”の渋滞回避術について伺った。これであなたも渋滞&渋滞ストレスから解放される!

(聞き手/山田 久美、酒井 康治=日経トレンディネット 文/山田 久美)

■プロフィール
西成活裕(Katsuhiro Nishinari)
1967年生まれ 東京大学大学院教授

1995年に東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程終了後、 山形大学工学部機械システム工学科、龍谷大学理工学部数理情報学科、 ドイツのケルン大学理論物理学研究所を経て2005年より東京大学 大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻に移り2009年より教授。 専門は数理物理学、および渋滞学。著書「渋滞学」(新潮選書)が 講談社科学出版賞など受賞し、ベストセラーになる。また日本テレビ 「世界一受けたい授業!」に出演するなど、多くのテレビ、ラジオ、 新聞などのメディアで活躍している。趣味としてオペラアリアを 歌い、小椋佳作詞作曲のCDで歌手デビューもした。

高速道路では、時速70km、車間距離40mが渋滞の始まり

――早速ですが、GWに向けて、交通渋滞の回避術を教えて下さい。

西成教授:高速道路の休日料金が一律1000円になり、現時点で既に休日の交通量が1.5倍に達していると言われる中、今年のGWは史上最大の渋滞になるのではないかと予想されます。外出日をずらさない限り、大変なことになるでしょうね。

――ということは、有効な渋滞回避術はないということでしょうか?

西成教授:残念ながら、これほど交通量が集中してしまうとなると、渋滞を解消するための特効薬というものはありません。今のところは、NEXCOが出している渋滞情報をこまめにチェックしていただき、渋滞する時間帯を避けていただくしか手はありません。もしくは、個々のドライバーの皆さんに、私が提唱している「渋滞を起こさない運転方法」を心掛けていただくことです。

――NEXCOの渋滞情報はどれくらい目安になるものなのでしょうか。

西成教授:例えば「小仏トンネルでは11時ごろから渋滞が始まり、16時ごろに渋滞が20kmになるでしょう」といった、渋滞の時間帯と長さに関する予測を過去のデータに基づき出しています。昔に比べて交通量は変わってきていますので、長さに関してはあまり当たりませんが、時間帯に関しては誤差30分前後でほぼ当たっています。