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日産 GT-R スペックV
これは普通のGT-Rではない。このクルマはすっかりジムで鍛えてきたスペックV。バナー博士が超人ハルクに変身したようだった。そのスペック表を見れば、驚くしかない。カーボンファイバーのボディパーツ、世界一のカーボンセラミック製のブレーキ、ハイギア・ブーストコントロール、固定のビルシュタイン・ダンパー、グリップ抜群のBSタイヤを搭載するこのスーパーカーより、強烈な日本車は今までになかった。
計測器を持って、栃木県の研究所まで試乗しに行ってきた。スペック表を読むと、確かに馬力は5ps上がって485psになっている。「でも、よりパワフルなGT-Rを作るのは目的ではなかった」と水野主査が言う。「ハンドリングとスリル度を更に上のレベルに上げたかった」のだと。
そうするためには、軽くすること。カーボンファイバーのパーツをつけたり、後部席を外したりして車重を60kg軽くしている。それに、3500〜5200回転の中速トルクを太くするハイギア・ブーストコントロールのおかげで走りがより快感になった。ハンドルのスイッチを押すと、80秒間のブーストが使えるわけだ。これは爆発的なものではなく、どっちかというと、後ろから押された感じだ。
しかし、どの変更よりも強烈なのは「世界一」と主査が呼ぶブレーキだ。このブレンボー製のセットアップは、6ピストンのカーボンセラミック合成で、熱を見事に処理してくれるし、1日中いじめても決してフェードしない。まるでGTカーに乗っているような感じがする。そのくらい制動力が強いんだ。ペダルの剛性がしっかりしていて、ペダルストロークが非常にプログレシブだ。このブレーキのおかげで、ブレーキングを最後の最後まで残せるというか、高速コーナーに差し掛かる寸前までブレーキを踏まないで済む。でも、実際踏んだら、一瞬、脳が理解できないほど減速する。スターウォーズで、光速ハイパースペースから降りる時に周りの風景(星)がぼける。そのくらい減速する!
さて、このブレーキの欠点は言うまでもなく500万円という価格だね。でもそれよりも、このブレーキに一回慣れたら、他に普通のクルマのブレーキに戻れない、ということだな。
ブレーキが効く理由の1つは、サスとタイヤのコンビが優れているからだ。今回のサスは、固定式ビルシュタインのダンパーを採用しているので、コーナーに入った時に、クルマの姿勢が限りなくフラットで安定している。ということは、普通のGT-Rとは違って、サスの設定を変えることはできない。タイヤも特製のBSのRE070ランフラットで、サイドウォールとショルダーが通常より厚みと剛性を上げている。だから、ターンインしたとたん、ステアリングのレスポンスも鋭くなって、より正確だ。
さて、計測器を設定してスペックVの可能性をチェックしてみた。まずは、0?100km/hと0-400mの加速タイム。3.4秒と11.5秒いうそれぞれのタイムは最大のライバルの911GT2とコルベットZR1より速い。
スキッドパッド(旋回G)では、スペックVが1.12Gを記録して、現行GT?Rの0.93GやZR1の1.06Gより遥かに上回っている。
スラーロムでは、120.2 km/hはどの欧州のライバルより速いんだけど、タイヤ・グリップ抜群のZR1とは同様。最後に、100km/h-0までのブレーキテストでは、GT2やZR1の29.2mに比べて、より重いスペックVは30.4m程度。たった1mの差だ。
さあ、待ち遠しいのはニュルの新ラップタイムだね。今月は水野主査がスペックVや09年モデルのGT-Rの2台を持ち込んで、再挑戦するようだ。ZR1の7分26秒を上回るのかどうか。
Report:Peter Lyon
カーボン製のフロントグリル、フロントアンダーカバー(スポイラー一体式<カーボン製ブレーキキャリパー冷却ダクト付き>)を標準装備。 | スペックV専用のカーボン製リヤスポイラー(LED式ハイマウントストップランプ付き)や専用の純正チタンマフラーが標準装備される。 |
スペックV用に専用設計された強力な制動力を発揮するNCCB(Nissan Carbon Ceramic Brake)を装着し、バネ下の軽量化と制動力性能の両立が図られている。 | エンジン型式 VR38DETT:V型6気筒DOHCエンジン(最高出力:375kW<485PS>/6400rpm)にGR6型デュアルクラッチトランスミッションを組み合わせた。 |
Page1485psにまで鍛え上げられたエンジンを搭載して極限の走りを追求したGT-Rの最高峰「スペックV |
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