新型インフル対策に追われ奔走する関係者
5月2日0時58分配信 産経新聞
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横浜市の高校生について感染を否定する会見の前、記者に資料を配付する厚労省職員(右)=1日午後、東京・霞が関の厚労省(矢島康弘撮影)(写真:産経新聞) |
「市民や横浜を訪れている人たちに安心感を与えられるよう冷静に対処する。(予防策の)空振りは許されるが、見逃しは許されない」
横浜市の中田宏市長は同日午前の対策会議で幹部職員にこう呼びかけた。
市はこの日、男子生徒と一緒に研修旅行に行った生徒たちに電話で健康状態を聞き取り調査。「結果が出ていないので、できるだけ自宅で待機するように」とも伝えたという。
検査結果を受け、中田市長は「とても不安な時間だっただろう」と生徒をねぎらった。
一方、この1日で、厚生労働省と横浜市のすれ違いも表面化したが、神奈川県の松沢成文知事は同日、「厚生労働相の勇み足だ」ときっぱり。舛添要一厚労相が横浜市の危機管理態勢をやり玉に挙げたことについて「最終の検査結果が出ていないのに(国の)行政が一方的に騒ぎ、パニックになった」と、厚労相を厳しく批判した。
松沢知事は「混乱を自ら招いたのに現場の対応が悪いというのは、大きな不満を覚える。しっかりしてほしいのは厚労相のほうだ」と述べた。
男子生徒が通う高校では1日午前1時半、横浜市栄区保健所からの連絡で、ほぼすべての教職員が出勤。研修旅行へ参加した生徒553人の体調の把握や、付属の中高を合わせた全生徒約1900人への問診票の発送作業などに追われた。午前5時半には、全生徒に緊急連絡網で臨時休校と外出の自粛などを連絡した。
保健所から「陰性」の連絡を受けると、残っていた教員らは歓声を上げ、昨晩から一睡もしていなかったという校長は「ほっとした。少しは眠れ、食事もできる」と涙をぬぐった。
厚労省も多くの職員が徹夜に近い状態で対応に追われてきただけに安堵(あんど)感に包まれた。
同日夕に「感染否定」を発表した同省の難波吉雄・新型インフルエンザ対策推進室長の顔には無精ひげがうっすら。同室長は午後8時すぎにようやく帰宅した。職員らは「もう2日以上帰ってなかったから」と気遣ったが、厚労省の大臣官房のある幹部は「世界の状況を考えると気は抜けない。同じようにドタバタする可能性もあり、連休中も職員をローテーションで割り振って24時間体制の警戒を続ける」と気を引き締めていた。
身近で新型ウイルスの疑いが出たことに、男子生徒が入院する横浜市立市民病院(同市保土ケ谷区)の来院者らは驚きと不安の色を隠せなかった。病院近くに住む無職の女性(83)は「朝のニュースを見て驚いた。10年間通っているけど、こんな騒ぎは初めて。早く患者さんに良くなってほしい」と話した。
病院では、マスク姿の職員らが朝から通用門ですべての来院者にマスクを配布、アルコールによる手指消毒を行う対策をとった。
主治医の立川夏夫・感染症内科長によると、生徒は「僕も(新型インフルエンザではなかったというニュースを)テレビを見ていました」と冷静に話したという。朝食、昼食も完食し快方に向かっており、近く退院できる見通しという。
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最終更新:5月2日0時58分
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