谷内正太郎政府代表(前外務事務次官)の北方領土問題での「3・5島返還」発言に関し、日露関係の有識者や北方四島の元島民らが30日、東京都内で会見し、「対露領土交渉の基本的立場を崩してはならない」との緊急アピールを発表した。谷内氏の発言や麻生太郎首相が「向こうが2島、こちらが4島では進展しない」と発言したことを「問題解決が遠ざかり、軽率だ」と批判し、4島返還の立場の堅持を求めた。このアピールはプーチン露首相が来日する11日、新聞広告として掲載する予定だ。
これに関し、中曽根弘文外相が広告文案に電話で修正を求めていた。呼びかけ人の一人、伊藤憲一・日本国際フォーラム理事長が会見で明らかにした。
アピールの原案では「4島返還という対露外交の基軸を具体的に否定した」としたが、中曽根外相が30日、呼びかけ人に電話し、「否定するかのごとき発言をした」に変更するよう求めた。代表者が協議し、受け入れた。【杉尾直哉、大貫智子】
毎日新聞 2009年5月1日 東京朝刊