真紀ちゃん 電車でおつかい
作 竹海 楼蘭
絵 まっきぃ
ゴールデンウィークも真っ只中の五月四日、真紀ちゃんの通う小学校は、創立記念日でお休みです。
真紀ちゃんはお休みですが、パパとママはというと、連休中でもしっかりお勤めがあります。せっかくお天気もいいのに、どこにも行けなくて、ちょっぴりがっかりな真紀ちゃんです。
でも、そんなことでわがままを言って、パパとママを困らせるわけにもいきません。今朝も、いつものように笑顔でパパのお見送りをしてから、ママと一緒に朝ご飯を食べました。ママがお弁当の用意をしてくれているから、お昼前には公園にお出かけして、お外で食べるのもいい考えです。
「あら?」
と、キッチンのほうから、ママの声が上がりました。なんだろうと思って行ってみると、そこにはお弁当が三つ、並んでいるではありませんか。
小さなお弁当は、真紀ちゃんのぶん。中くらいのお弁当は、ママのぶん。ですから、残りの大きなお弁当は、パパのぶんということになります。
慌てんぼうのパパが、お弁当を忘れていったということは、真紀ちゃんにもすぐにわかりました。ママもなんだか、困ったような顔をしています。
「どうしようかしら……」
せっかく作ったお弁当ですから、このままではもったいありません。でも、ママはもちろん真紀ちゃんも、こんなにいっぱいのお弁当は食べきれません。
何かいい方法はないか、頭をひねって考えていた真紀ちゃん、ぱっとひらめきました。