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3秒内に放射線測定できる検出器開発、搭載ロボ試作
【その他】発信:2009/03/16(月) 10:03:00
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放射線医学総合研究所は、応用光学工業、天野研究所と共同で、独自のノウハウと数学モデルを使って、ガンマ線やベータ線の数を測定するサーベイメータの測定時間を10分の1以下の3秒以内にするとともに、これを搭載した原子力施設等の汚染検査を自動的に行う自走式ロボット測定装置の試作機を完成させた。原子力事故が発生した場合の汚染の発見や被災者の汚染検査に役立つだけでなく、日常の放射線管理の省力化に大きな貢献をすることになる。今回開発したサーベイメータは約100万円程度で販売されるという。
原子力関連の機器の管理区域外への搬出、管理区域内の汚染検査、事故時の飛散した放射性物質による汚染を検査する場合、サーベイメータなどの可搬型の放射線検出器を作業者が手で持ち運んで計測している。しかし、サーベイメータで放射線量を正確に計るためには、30秒程度固定していなければならない。また、動かしながら測定する場合には、感度が10分の1程度に落ちるため、よほどのベテランでないと低レベル汚染している箇所に気づくのは難しいという。さらに、広範囲で汚染を調べようとすると、数多くの人手や装置、時間が必要になる。
今回開発した新型サーベイメータは、計測を開始してから0.1秒ごとに線量値を記録し、その連続した2点の値から最終値を次々と予測していく。数学モデルに独自にノウハウを取り込むことで、予測値が一定の値に収束していくため、それを計測値として表示する。時間は1〜3秒程度。これにより高速・高感度の放射線検出が可能になった。
実際、バリウム133、ストロンチウム90、コバルト60による模擬汚染実験を行ったところ、1平方cmあたり0.8ベクレルという汚染が極めて少ない場合でも、高い精度で検知できることが確かめられた。検出感度は従来型の5倍、計測速度も10倍になった。
放医研の白川芳幸・企画課長は「従来のサーベイメータに今回開発した予測部分を組み込めば良いので、将来的には1チップ化することで、従来装置と同じサイズのものができると思います。事故が発生した際、消防団員など普段サーベイメータを使ったことがない人手も汚染箇所を発見できるので、その威力を発揮するでしょう。また、汚染検査用の自走式ロボット測定器も試作したので、夜間など人がいない時に自動的に汚染検査ができるようになります」と話す。(科学、2月27日号2面)
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