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集積3次元カーボンナノチューブデバイスを実現、実用化へ成果
【ナノテク】発信:2008/06/12(木) 10:55:56
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産総研ナノチューブ応用研究センタースーパーグロースCNTチームの畠賢治・研究チーム長、早水裕平・産総研特別研究員らは、単層のカーボンナノチューブ(CNT)を高密度に集合したCNTウエハを開発し、これをリソグラフィー技術で設計した任意の形状に加工して、複雑な3次元形状をもったCNTデバイス構造を基板上に1000個以上も集積した、集積3次元CNTデバイスの実現に成功した。
具体例として、全ての電極がCNTからなるCNTリレーを作製し、その電気駆動に成功した。CNTは次世代デバイス材料として注目されているが、これまで工業化が全く見通せなかったが、今回の成果はCNTを用いたデバイス実用化へ大きく近づくもので、英国科学雑誌NatureのNanotechnologyのオンライン版に掲載された。
スーパーグロースCNTチームは、平成16年度に高効率の高純度単層CNT合成法として、水分添加CVD法(スーパーグロース法)を開発した。
今回は、このスーパーグロース法を用いて合成した高純度、超長尺CNTが垂直配向集合したフィルム状マクロ構造体(垂直配向CNTフィルム)に対し、特殊な処理(CNT高密度化法)を施して、高密度のCNTが平面的一方向に配向した板状の「CNTウエハ」を開発した。
シリコン単結晶ウエハでは、結晶の方向が一方向にそろっているが、開発したCNTウエハでは、高密度配向した多数のCNTが互いに強く結束して、一方向に配向しているのが特徴である。
これはリソグラフィーに耐えうる強度があり、シリコン・ウエハと同じようにレジストを用いた微細加工が可能である。そのため既存の半導体プロセス技術が使えるので、シリコン・ウエハの加工と同様、CNTウエハを任意の形状に加工することができる。形状加工は平面構造だけでなく、シリコン基板上にあらかじめ用意したピラーや溝の上に、ビーム状やカンチレバー状のCNT構造体を作製することも可能である。
さらに、CNTウエハ自体が3次元的に形状保持可能であり、それをもとに、今回は集積されたCNTの3次元カンチレバーや3次元配線を作製した。
これらCNT構造体は導電性であり、電気駆動が可能である。そこで、CNT構造体の微小電気機械デバイス応用の一例として、今回すべての電極がCNTからなる「CNTデバイスリレー」を作製した。さらに、この集積3次元CNTデバイスを電気駆動させて、CNTカンチレバーの機械的スイッチングに成功した。
産総研では今後、CNTウエハの物性評価を進め、その特性を活かしたCNTデバイスの用途開発を行ったり、企業等との連携を幅広く求め、CNTデバイスの応用展開・用途開発に向けて実用化研究を進める予定である。(科学、5月23日号4面)
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