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球状微粒子カーボンオニオン、固体潤滑剤として優れた特性
【ナノテク】発信:2008/09/26(金) 17:45:18
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東京工業大学大学院理工学研究科の平田敦准教授らの研究グループは、ダイヤモンド微粒子やカーボンブラックからカーボンオニオンを生成する方法を確立し、固体の潤滑剤として優れた性質を持つことを明らかにした。環境負荷の高い液体潤滑剤の代替品として期待される。
潤滑剤と言えばエンジンオイルのように液体が主だが、宇宙・航空機器や半導体関連製造装置など真空環境下では固体の潤滑剤が必要となる。従来からある固体潤滑剤の黒鉛グラファイトや二硫化モリブデンなどは、潤滑性能や希少金属を使用している等の問題を抱えている。
研究グループでは新しい潤滑剤として、グラファイト(黒鉛)がタマネギの層のように重なった直径5〜10nmの球状微粒子『カーボンオニオン』に注目。この微粒子は、球殻構造をしているため大気中/真空中に関わらず極めて低い摩擦係数を示す。
液体潤滑剤の摩擦係数は0.001で、実際に半導体の製造などで用いられている黒鉛グラファイト等の固体潤滑剤の摩擦係数は約0.1。研究グループで製造したカーボンオニオンの摩擦係数は約0.02と従来の固体潤滑剤よりも優位だ。
今回、研究グループではカーボンオニオンを安定的に生産する方法を確立。空気中/真空中で条件を変えるなどして特性を探った。
カーボンオニオンの摩擦係数を常温から数百度Cの真空中で測ったところ、その値は0.02から0.13と従来の固体潤滑剤よりも優位だった。また、二硫化モリブデンや二硫化タングステンの代替にカーボンオニオンを利用することで希少金属の使用を低減できることも魅力だ。オイル潤滑が難しく、圧力や温度の変化が激しい環境下で用いられる機械システムの潤滑剤としても期待できる。
今後、幅広く産業界に受け入れてもらうには、安定した潤滑層を形成するための表面加工技術の開発が重要となる。また、実際の使用環境下で摩擦係数0.01の実現を目指すとともに、カーボンオニオンの固体潤滑剤をどこで応用するか検討していく必要があるという。(科学、9月12日号4面)
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