「大相撲夏場所」(10日初日、両国国技館)
横綱朝青龍(28)=高砂=が1日、新型インフルエンザに敏感に反応した。4月27日の夏場所の番付発表後、初めての出げいこを出羽海部屋でした後に手洗いに加え、加湿機能付き空気清浄機を備え付けて予防に努めていることを打ち明けた。大流行する事態になれば、夏場所の開催自粛を国から求められる可能性も考えられるだけに、感染予防へ細心の注意を払う。
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けいこでは普天王、栃ノ心らに13勝1敗と鋭い動きを見せた朝青龍が、新型インフルエンザの話題になると首をすくめた。「手をよく洗ったり、ほこりが出ないように空気清浄機をつけたりしているよ」。夏場所直前に体調を崩してはたまらないとばかりに予防策を列挙した。
手洗いは、舛添厚労相がうがいとともに、国民に呼びかけている個人レベルの予防策に含まれている。「効果があるのか分からないけど」と控えめに話していたが、図らずも模範的な対策をとっていたことになる。
02年冬から03年夏にかけてSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した際には、約3000枚のマスクを母国のモンゴルへ送ったという。今回は「今は(考えは)ありません」と静観しているが、ニュースや日本政府の発表を注意深く見守る方針に変わりはない。
日本相撲協会は同協会の健康保険組合員を対象にマスク配布を決めたばかりだが、実際に各部屋に届くのは7日ごろになる見通しとなった。所管官庁である文科省の競技スポーツ課は「基本的な対処法として大流行した際は自粛を求める」としており、警戒を促す指導も行われた。
健康保険組合理事長を務める伊勢ノ海親方(元関脇藤ノ川)は「要請があれば仕方がないだろう」と政府の方針に従う考え。朝青龍は夏場所の開催については「僕が言える立場じゃないけど」と前置きした上で「自分のことを注意してやるしかない」と話した。入念な体調管理が、2場所ぶりのV奪回への第一条件となる。