2008.06.06

TBS『NEWS23』オープニングムービー

イメージ:TBS『NEWS23』オープニングムービー

物理シミュレーションで生み出す様式美
THE BROAD CASTER ♯1

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枠組みを突き抜ける、ソリッドな表現の探求

鮮やかにカラーリングされた流体が縦横無尽に駆け巡り、番組ロゴの形に収まる。TBSを代表する報道番組『NEWS23』の新しいオープニングだ。この斬新な表現は、どのように生み出されたのだろうか。

CGWORLDの内容をお楽しみいただけるコンテンツです

CGWORLD7月号この連載は、CG技術やトレンドを、放送業界の取り組みという観点から探っていくコンテンツです。Web版では概要のみ掲載しています。

より詳しい制作テクニックや工夫については、月刊CGWORLD7月号(Vol.119・2008年5月29日発売)で写真なども豊富にご覧いただけます。

本年4月の番組改編で、『NEWS23』は全面リニューアルを行った。そこで、ビジュアル面でもイメージをゼロから作り直すことになったのだが、中でも新オープニングの制作はその象徴となったそうだ。とは言え、同局の中でも最も有名かつ歴史の長い番組であるため、ただ見てくれが良いだけのものは不十分であると推測された。

TBSの松原貴明氏は、「歴史ある報道番組に値する、作家性が強く見応えのある硬質な映像を作りたかった」と振り返る。そこで白羽の矢が立てられたのが、豊富な経験を持ち、過去にも『NEWS23』のオープニングを手掛けている(株)リンクス・デジワークスのアートディレクター、木村卓氏だ。

松原貴明氏(TBSテレビ技術本部技術局プロダクション技術センターCG)、木村卓氏(アートディレクター/リンクス・デジワークス)
左から、松原貴明氏(TBSテレビ技術本部技術局プロダクション技術センターCG)、
木村卓氏(アートディレクター/リンクス・デジワークス)

2人は何度もディスカッションを重ねた末に、新番組を無色透明なところから始めるという演出意図を込めて、透き通った水が様々な色合いに変化という、抽象画のように感覚へと訴えかける表現へとたどり着く。そのベースとされたのがRealFlowを用いた流体シミュレーションであったが、これには計算作業のプロセスに膨大な時間が費やされるため、効率的なトライ&エラーを繰り返すのに木村氏の熟練の腕が不可欠であった。

フローとしては、シミュレーションからメッシュの作成までがRealFlowで行われ、カメラワークと色彩の調整、そしてレンダリングは3ds Maxで行われている枠組みを突き抜ける、ソリッドな表現の探求(コンポジットはAfter Effects)。

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色彩に関して、最初は6色の流体を使う予定であったが、色が重なりすぎると黒く濁って見えてしまったため、ベストの色数として4色に落ち着いたとのこと。「報道番組という限られた枠組みの中で、極めて感覚的な映像美をストレートに表現できたこと。それ自体が素晴らしいことです」と、両氏は口を揃える。

番組の歴史を重んじつつも、そのイメージを良い意味で引っくり返した『NEWS23』の試みは、放送業界全体にとっても良い刺激となったのではないだろうか。

(月刊CGWORLD)
クライアントTBSテレビ
CG制作リンクス・デジワークス
放送時間毎週22:54〜(金曜日のみ23:30〜) TBS系にて放送中
URLhttp://www.tbs.co.jp/news23

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