社説

2009年04月15日

保護者不安に応える体制を

 アスペルガー症候群や学習障害、注意欠陥多動性障害など発達障害への社会的認知が進む一方、支援のニーズも高まっている。

 だが、発達障害を診断できる専門医療機関の不備や一般への理解不足などまだまだ課題は多い。

 こうした中、県は乳幼児期から就労する成人期までの各段階に対応できる一貫した支援体制の充実を目指し、「県発達障がい者支援体制整備計画」を策定した。

 学校での特別支援教育に関する教員の指導力向上や、保護者をはじめとした県民への理解啓発、関係機関の連携強化を図る。地域のばらつきがなく、十分な支援が受けられる体制整備を望みたい。

 ■早期の「気づき」重要■

 発達障害は人口の6―7%を占めるとされ、文部科学省の調査では学習、行動面で著しい困難を示す児童・生徒は40人学級に2、3人いるとも指摘されている。

 そのため乳幼児期などの早期に発達障害に気づき、適切な支援、療育につなげることが大切だ。

 だが、発達障害者支援法は2005年4月に施行されたばかりで、医学的分析や支援体制もまだ不十分で、成人するまで本人や保護者が気づかないことも多い。

 このため、県は07年11月に医療、福祉、教育、労働など各分野の専門家らで構成する検討委員会を設置。保護者らへのアンケート調査なども実施しながら支援計画づくりを進めてきた。

 策定された支援整備計画では就学前期、就学期、就労期など各段階における現状と課題をまとめ、今後の対応まで示している。

 それによると、保護者を含めて幼稚園や保育所、学校、医療機関など支援にかかわる各機関が取り組むべき課題は多い。

■専門医の確保が課題■

 例えば、各市町村が実施している1歳6カ月児・3歳児健診は発達障害の早期発見に重要な役割を持つ機会だ。しかし、現状ではそこで気づき、相談・診断、支援へとつながる機能が不十分だ。

 背景には専門的な診断を行える医療関係者不足などがある。支援計画には小児科、精神科医への研修などが盛り込まれている。ぜひ医師会の協力も期待したい。

 保護者へのサポート体制充実も求められる。せっかく子どもの発達に疑問や不安を感じても気軽に相談できる窓口がなければ適切な支援につながらない。

 就学に際しては、保護者らが適切なアドバイスを受けられるよう県内市町村にある就学指導委員会の機能充実を期待したい。

 また、県では特別支援学校などに配置される専門家のほか、各学校の一般教諭への研修も実施している。これらの連携も重要だ。

 さらに就労期の支援では企業の理解が欠かせない。モデル事業や発達障害者の受け入れに積極的な企業への支援も有効だろう。

 早期発見、相談、診断、療育といった適切な支援への流れをつくる体制整備が急がれる。


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