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キッズデザイン特集
KIDS DESIGN AWARD 2008

子どもの目線・視点のものづくり(第1回)

益田文和

2009年5月1日

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写真掴みやすくするための工夫が施された讃岐うどん

写真手の不自由な方でも使いやすいはし

写真靴下をカップリングする道具

 デザインについて語るとき、ユニバーサルデザインをはじめ、エコデザイン、サステナブルデザインなど、さまざまな概念がクローズアップされます。中でも「キッズデザイン」は新しく登場した言葉ながら、実は最も基本的なデザイン概念なのです。

 たとえば、視覚障がいを持つ方のために、開発された讃岐うどんがあります。目の不自由な方にとって、うどんはとても食べにくい食品のひとつです。そこで、開発されたのがスリットが入って掴みやすいうどんです。ゆでるとすき間ができ、はしやフォークに引っかかることで食べやすくなっています。これは、障がいを持つ方にとって食べやすく工夫されたデザインの一例ではありますが、子どもにとって、そして誰にとっても同様の効果が期待できるすばらしいデザインだいえます。

 また、私が手がけた、手に障がいのある方や握力が弱まった高齢者向けのはしがあります。緩いバネで固定してあり、普段のはしで食べる時の動きをサポートできるように細部まで工夫してあります。木を使い、拭き漆で仕上げてあるので、滑り止め効果もあります。これもユニバーサルデザインの範疇に入りますが、子どもにとっても非常に使いやすく、はし使いのトレーニングにも便利なデザインです。

 あるいは、新しくおろしたペアの靴下が、そのまま穴があいて使えなくなるまでずっとペアでいるという状況をつくる、カップリングの道具があります。これも視覚障がいを持つ方に向けて開発されたものですが、実はこれも子どもが洗濯を手伝う際に、自分のものは自分で揃えて洗濯機に入れて、そのまま取り出して干して、というようなことが簡単にできる機構になっています。子どもでもお手伝いできるような仕掛けになっていれば、多くの大人もそれが使えるということです。

 このように、ユニーバーサルデザインはキッズデザインの要件も満たしていることが分かります。まして、子どもの安全性を最優先に考えられた商品であれば、当たり前のことがすべてに考慮されていなければなりません。キッズデザインを念頭においてものづくりをすることで、ほかの重要な社会テーマをすべてカバーすることができるといえます。

プロフィール

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益田文和(ますだ ふみかず)

デザインコンサルタント。株式会社オープンハウス代表取締役。LLPエコデザイン研究所所長。東京造形大学デザイン学科教授。国際的なエコデザイナーのネットワークであるo2 Global Networkのo2 Japan代表、日本デザインコンサルタント協会代表幹事、サステナブルデザイン国際会議実行委員長。キッズデザイン審査委員。

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