最終更新時刻:2009年5月2日(土) 1時16分
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GRAPE-DRはスパコンではないらしい!

公開日時:
2009/04/24 10:40
著者:
能澤 徹

 カレンダー・イアの2008年が終わってそろそろ4ヶ月、日本の2008会計年度が締まってそろそろ1ヵ月が過ぎる。GRAPE-DRに関しては、プロジェクト開始の20045と、チップ完成と称した200611の、東大の報道発表、研究成果発表によれば、2Pflops達成の年は2008年であり、ゆるめに解釈して、会計年度の2008年としても、既に時間切れである。

 常識的に考えれば、プロジェクト実施期間が締まって、プロジェクト予算によるこれ以上の活動は出来ない現在、何の発表も無いということは、このプロジェクトはプロジェクト予算の範囲では失敗であったということであろう。

 Linpack1Pflops超とは言わずとも、それなりの成果が出ているのであれば、なんらかの発表はあるであろうから、「それなり」以下ということではないかと思う。


 東大が、自身の公式な報道発表によって行った公約に対し、約束の時期が過ぎても何の公式な報道発表も行わないというのも「如何なものか」といわざるを得ない。
 と同時に、2006年の東大側の発表を華々しく報道した、IT関連の多くのメディアが、「知らん顔」で「だんまり」を決め込んでいるのも、全く、頂けないし、情け無いとしか言いようが無い。


 総額15億円の税金プロジェクトである。税金15億円支出の根拠を与えたプロジェクトの成果目標に対する達成状況の、独自な「けじめ」Follow Up報道くらいは必要であろう。

 勿論、GRAPE-DRなどは序の口であり、その先に見えているのは、文科省の次世代スパコンであることは言うまでも無い。

 

 ところで、誤解を避けるため、始めに断り書きをしておくと、筆者は、以前から繰り返し述べているが、技術的には、このGRAPE-DRなどには関心は無い。世界的視野でのコンピュータ技術史的には、殆ど意味の無い稚拙なもので、時間と共に消えてゆく類のものと判断しているからである。

 唯一の関心は、国の科学技術振興調整費という税金が、総額で15億円(3億円x5年)も使われているという点だけである。科学を騙った税金の無駄使いのサンプルとしての関心であり、税金プロジェクトに於ける公務員の職業倫理崩壊の好例ではないかと考えているからである。勿論、文科省の次世代スパコンの1,150億円に比べれば「ゴミ」ではあるが、税金が無駄に浪費される構図として共通するものを感じるからである。

 税金によるプロジェクトでの、プロジェクト内容の恣意的改変、スケジュール期間のなし崩し的延長、それらに関連した杜撰な予算管理、そして、目標不達成に対する責任回避や責任転嫁と無責任な逃げ口上、どれも職業倫理の崩壊を示すものであろう。

 さて、先日、拙稿「GRAPE-DRの性能(2)」に対するコメントを頂いていたことに気がつき、改めて東大の公式の報道発表や研究成果発表を当ってみたが、それらしきものは見当たらなかった。GRAPE-DR関係で気がついたのは以下の2つである。

 @2008925日、大学共同利用機関法人自然科学研究機構(天文台を含む)が株式会社K&F Computing Researchとの間でGRAPE-DR プロセッサボード試作一式” の業務を5,407,500円の随意契約で締結した事。

 A2008106日、東大の工学系研究科・工学部から、一般物品(スパコンでもコンピュータでもない!)としてGRAPE-DRシステム一式”の入札公示が行われ、20092月の落札公示により、200812月にティーモステクノロジック株式会社が57,263,900円で落札し、納入期限が2009331日となっている事。

◎東大入札公示

公告日

 

調達機関

 

調達分野

 

件    名

 

 

 

平成20106

 

東京大学

 

一般物品 

 

GRAPE−DRシステム 一式

 

 

 

 

◎東大落札公示

公示日

 

調達機関

 

調達分野

 

件    名

 

 

平成21212

 

東京大学

 

一般物品

 

GRAPE−DRシステム 一式

 

 

 


 これらの入札で驚かされるのは、時期的にプロジェクトの完了報告が行われて不思議で無い2008年の9月、10月に、「試作ボードの発注」とか「システムー式購入入札」とかは、一体全体、何なのか、という事である。

 普通に考えれば、よほど開発が遅れているのであろうということであろうし、あるいは、200611月の発表や翌年のSC07では、「予定の速度で作動中」などとして順調な成果を強調していたことを思えば、プロジェクト末期に予算が余ってしまい、それぞれ540万円と5,726万円といった金額を国庫に返納するより、使ってしまったほうが得だと考えてのことかも知れない。何れにせよ、可笑しなプロジェクトマネジメントである事だけは確かである。

 ところで、(1)で随意契約を結んだK&F Computing Researchという会社は、2008年の7月からGRAPE-DRのボードを一般向けに発売している会社である。そもそもこの販売は不思議なもので、税金で開発した、国の所有物である筈のチップやボード、ないしは知的所有権を、どのような承認プロセスを経て、どのような契約で販売が出来るようになったのか、大いに関心(疑問)があるものであるが、それに加えての、一般向けに販売中のボードと同じ名称のボードの試作を受注したのであるから、現在販売中のボードには何か問題があるのではないかと疑いたくなる気がする。さらに、もしこの試作ボードをこの会社が販売するようにでもなったら、国が税金で試作・開発費を払って、この会社の製品を作ってやった様な可笑しな関係になる訳である。とにかく、可笑しな関係に見えることは指摘しておきたい。

 一方、(2)の方は傑作で、「GRAPE-DRシステムは、スパコンでも、コンピュータ・システムでもありません」と自ら認めて、一般物品(つまり、カメラだとか、コピー機だとか、重油だとかと同じもの)として入札公示しているのである。ところが、GRAPE-DRプロジェクトの宣伝文句では「専用機の性能を持つ汎用超並列計算機へ」とかいっていたのであるから、この鉄面皮な二枚舌には驚かざるを得ないのである。

 4,5年前の国の基準では、スパコンはその性能が1.5Tflops以上のコンピュータとなっていたはずで、この入札公示から判断すれば、GRAPE-DRシステムは、その性能が1.5Tflopsに満たないだけでなく、そもそもコンピュータではないということで、確かに言われてみれば、GRAPE-DRの現状を端的に物語っているのではないかと思え、失笑を禁じ得なかった。

 因みに、この通称GRAPE-DRプロジェクトは、予算措置的には、「分散共有型研究データ利用基盤の整備」というテーマに対する科学技術振興調整費からの付与であり、複数の高速コンピュータを高速インターネットで結合するといったテーマのもので、この高速コンピュータとしてGRAPEDRを開発するという仕掛けで予算を獲得したのであるが、以前から、何故「分散共有型研究データ利用基盤」に、GRAPE-DRのような作動するかどうかもわからないものが必須なのか、あるいは、他の安定作動するスパコンでは何が不都合なのか、といった疑問が投げかけられていたもので、「分散共有型研究データ利用」を頭にかぶった、羊頭狗肉のプロジェクトではないかと噂されていたプロジェクトである。


 この二枚舌、羊頭狗肉といったイメージは、入札、予算獲得、などといった分野だけに留まらず、アーキテクチャーに関しても同様なのである。

 2004年のプロジェクト開始時の報道発表では、GRAPE-DRのアーキテクチャーは「1チップに約1000個のデータ・フロー演算器をパイプライン化ネットワークで結合する」として図入りで説明がなされているが、200611月のチップ+ボード完成時の報道発表やSC07での発表Paperでは、「データのブロードキャスト」だとか、Modified SIMDだとか言い出し、当初公言していた「データ・フロー演算器」「パイプライン化ネットワーク」などは雲散霧消してしまっているのである。

 つまり予算獲得時に予算総額算出の根拠としていたアーキテクチャーは「役立たず」で、アーキテクチャーを変更した後でも予算総額が不変などということは、そもそもその総額が出鱈目であったとしか考えられないのである。


 しかも、演算器の数も、
2004年には1チップ約1000個と公言していたが、2006年には512個に半減し、しかも、1チップで作動するのかと思いきや、Sequence Controlとか言う別のFPGAのチップが必要で、要するに2チップで512個の演算器が作動するという事になっている。これでは、市販のGPGPUなどの基準で言えば、1チップ256個の演算器ということである。このあたりにも二枚舌の面目躍如たるものがあり、チップの基本設計や機能分散が如何にいい加減であったのかを示している。


 極め付きは作動クロックの問題で、当初より、2Pflopsという理論性能の根拠となったクロックは500MHzであり、200611月の報道発表においても、SC07Paperにおいても、“processor chips each with 512 cores operating at the clock frequency of 500MHz” とか ”single GRAPE-DR chip is in  operation” などと明記しているが、2008年のK&F社が発売したGRAPE-DRのボードは、驚く事に、作動するものは380MHzで、製品としては400MHzにするという事らしいが、これは200611月やSC07において、作動中と発表していた500MHzには遠く及ばないものなのである。

 つまり、報道発表やSC07Paperにおいては、作動クロックを120MHz24%)水増して「作動中」と発表していたのではないかという事であり、合理的に考えて、虚偽報告、虚偽発表だったのではないかと疑わざるを得ないのである。


 では何故、こうした、時間と共に見え透いてくる、虚偽発表もどきを行わねばならなかったのか? それは科学技術振興調整費の中間評価が2006年度に行われる事になっていたからである。つまり、2004年から2006年までの成果・進捗を評価し、その結果により2007年から2008年までの予算を付与するかどうかを決めることになっていたからである。この評価を「くぐり抜ける」ため、大々的な報道発表が行われたわけで、「チップは完成し、予定どうりの速度で作動中」という文言が必要であったのではないかと思われるのである。


 そしてこの中間の結果、「分散共有型研究データ利用基盤の整備」プロジェクトは、
2ペタFLOPSの実現を十分に期待させられる、超高性能な計算機資源利用環境が構築されようとしており、継続すべきである。世界最速のシステム開発を目指し、三つのサブテーマそれぞれを真摯に目指しており、成果に期待が持てる。重要な技術であり、この世界最高速システムで、どれだけ役に立つシミュレーションができるか、精力的な情報発信を期待するとともに、早期に実証する義務がある。」という評価概要で、「A」という高評価を得て、その後の予算が保証されたのである。勿論「世界最高速システム」を「早期に実証する義務」が有るのだが、現状はプロジェクト期間が過ぎても何の音沙汰もなしということのようではあるが・・・・・・


 まあ、現状から判断すると、この中間評価は「ざる」としかいいようが無く、チップの基本設計が当初の「データフロー、パイプライン化ネットワーク」等から「Modified SIMD」等にすり変わっていたり、チップあたりの演算器数が半減(考えようでは4分の1)になってしまっていたにも拘らず、問題視していなかったようであり、また、作動検証データの詳細チェックを怠り、今にして考えると、性能が予定していた500MHzに達していなかったのではないかといった事も見逃していたように思え、結局中間評価そのものにも大きな問題があったのではないかと言わざるを得ないのである。つまり、税金を使う側のいい加減さに加え、それを監視すべき評価委員会も、結果的に見れば、「馴れ合い」的な「いい加減な評価」を行っていた可能性があり、科学技術振興調整費という税金を使う仕組みが各所で職業倫理の崩壊を起こしてしまっているのではないかと思わざるを得ないのである。
 こうした構図は文科省の次世代スパコンにおいても同様と考えられ、かなり癌の根は深いような気がしてならないのである。


 

 最後に若干技術的な付言をする。そもそも、このGRAPE-DRは、最初の基本設計において、Linpackが作動可能なような汎用高速技術演算用スーパーコンピュータを目指していたはずであるから、データフロー型などといったAIなどに焦点が置かれていたアーキテクチャを持ち出してきた事自体が、コンピュータの歴史を知らないピンボケぶりを示しているということなのである。Daniel Hillisでさえデータフロー型はCM1/CM2で打ち止め、結局、技術計算向けのCM5ではCPUにRISCアーキテクチャのSPARCを採用していたのであるから、今日の超高速汎用スパコンにデータフロー演算器・アーキテクチャーなどを持ち出してきた事が、そもそものピント外れなのである。

 そして、その後の設計変更によってModified SIMDなる、1チップ512の演算器を16Blockに分け、1Block32演算器ごとに1つのshared bufferを使うという方式に変更したようであるが、これらのSIMD演算器を駆動するためには制御系が必要で、演算器チップとは別に、もう一つの制御系チップが必須なのである。しかも、その制御系チップはランダムロジックではなくFPGAというのであるから、これはまともな高速化設計とは思えない代物である。

 コンピュータが単なる演算器とは大きく違う最大の点は、演算器を制御する制御機構の存在である。コンピュータにおいては、制御機構はbuffer 制御を含み、演算器とは不可分のもので、同一チップに収容する事は常識である。チップを分けると、タイミング制御やデータ転送、エラーリカバリを含む信頼性、等々が、別チップであるが故に、極めて難しくなるからである。とりわけ、処理スピードを上げ、信頼性を確保するには、必然的に同一チップにならざるを得ないものなのである。


 ところが、
GRAPE-DRでは、何のためか不明であるが、わざわざ一つのチップに512の演算器を詰め込み、制御系は別チップに追いやり、合計2チップ構成にしているのである。これは実に可笑しな設計で、処理スピードや信頼性を無視した設計としか評価できないのである。無理に512詰め込まずとも、単に1チップに256個の演算器と制御系をまとめればよいわけで、わざわざ2チップ構成などにする合理的理由は無いと思う。もしトータルな演算器の数が必要であるなら、そのチップを2つ持ってくれば良いだけである。2チップで512演算器となり、GRAPE-DRと同じ演算器密度になるわけで、その上、処理速度や信頼性の向上には図り知れないものがあるのである。

 チップの製造やデバッグ、あるいはチップを載せるボードの設計などで、2つの異なるチップを製造したりデバッグしたりする必要が無く、ボード上もチップ別の余計な取り巻き小部品が不要となり、すっきり設計できるのである。部品点数が減り、製造コストも安価になり、維持管理のコストも安価になるのである。

 また性能面からも、各Blockごとに1つのbuffer32の演算器で共有するために発生するクロック・レベルでの競合待遅延は、readwriteの両方向合算で平均32クロックと考えられるので、理論的には、1DP演算を4クロックとし、1回の連続実行演算命令数を平均8としても、正しいPeak(理論)性能は公称Peak値の50%程度になってしまうのである。つまり、1buffer当りの演算器数を増せば増すほど、Peak性能は低下するということで、この意味においても、演算器と制御系を別チップにし、一方のチップに演算器を512個も詰め込む意味は無いといえるのである。

 


 要するに、データフロー云々にしろ、modified SIMDにしろ、チップの設計・構成にしろ、コンピュータを設計する上での基本的考え方に問題があり、稚拙としか言いようが無いということなのである。これは、部分部分での単純な設計ミスなどといった局所的なものではなく、基本的考え方が稚拙ということなので、まあ、どうしようも無いとしか言いようが無いのである。

 


 背景を考えてみると、以前のGRAPEという機械は単なる固定演算子演算器の固定結合に過ぎず、いわゆる命令制御機構を持った「コンピュータ」ではない。つまり以前のGRAPEの技術は単純な演算回路技術の積み上げだけなのである。他方、GRAPE-DRが意図していたのは可変演算子演算器の可変結合と考えられ、それには演算回路の技術に加え、命令制御機構と結合制御機構が必要であり、以前のGRAPEのような単純な演算器技術の延長だけでは無理で、いわゆるコンピュータの中核技術である、Buffer処理を含む制御機構系の技術が必要であったわけである。

 ところが、これら一連の制御系の技術的蓄積もないまま、以前のGRAPEの単純な演算回路技術の延長だけで安易に処理できると考えていたらしいことが、そもそもの敗因と考えられるし、当初からのメロメロな基本設計がそれを示していると思うのである。

 


 結果として税金15億円が、一握りのお兄さん達のお遊びに費やされたようなもので、典型的な科学技術名目での税金の無駄使いということであろう。

 

 

 直、本投稿内容に反論等がおありの方は、コメント欄にその旨を書き込んでいただければ、内容を検討させていただいた上で、必要があれば本投稿の内容修正を行う事はやぶさかではありません。

追記: 急にスパムが増えたので、コメント欄は当面、閉鎖させて頂きます。

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

前後の記事

このエントリーへのコメント

20

こんにちは。状況の読めない頓珍漢な興行師です。
(このような評価は、興行師にとって光栄なものだと、友人の興行師が言ってました。ありがとうございます。頓珍漢。素晴らしい言葉です!)

さて、スパムの件ですが、能澤さんのご推察の通り、2件、私の書き込みです。URLを本文中に挿入すると書き込めないのですね。お手数をおかけしました。

>要するに、現在は、作動して目的の性能を発揮できるか
>どうかだけが焦眉の急の問題であって、議論などする暇が
>あったら、動かす事に集中しなさい、といっているんです。

なるほど、能澤さんのGRAPE関係者への、叱咤激励の言葉だったのですね。大きな父のような厳しさ。愛を感じて思わずほろりとしてしまいました。

>従って、頓珍漢な興行師さんのご希望に沿うことは出来ません
>と明確に断っているんです。
>理解できているんでしょうかねえ? 

たびたび頓珍漢というお褒めの言葉、ありがとうございます。
つまり、牧野さん、あるいはGRAPE関係者がネット上で反論しても、それについてはなんら能澤さんの議論に影響しない、ということですね?やっと理解しました。読解力が無くて申しわけありません。

>そうそう、それから、「IBM側の人間である」などという、
>無責任で、いい加減なデマを書き込んでもらっては迷惑ですな。
>何を根拠にしているのか解りませんが、現在雇用関係も何も無い
>当方にとっては100%迷惑です。

なるほど。能澤さんは今「現在」、IBMとなんら関係ない、ということですね。了解しました。能澤さんのGRAPEに対する取材方法と同様に、私も能澤さんについてインターネットで調べさせていただき、てっきりIBMの社員の方かと思っておりました(その根拠としたURLを提示したいところですが、スパムとなってしまうので遠慮します)。失礼しました。インターネットだけの情報だと、不適切な場合があるということ、身をもって知りました。大変失礼しました。

なにはともあれ、今後も能澤さんの興味深い記事、期待しております。近いうちにGRAPEの報告もあがることでしょう。納税者にとって意味深い議論が展開されることを期待しております。

追記。
けれどもIBMのOBというのは確かなのでしょうか?5550は私にとって、思い出の多いマシンです。

  testertestertestest on 2009/05/02

19

To コメント#17

 情況の読めない頓珍漢な興行師さんですな。

 この件に関する本質は、GRAPE-DRが、「目的の性能を発揮できるかどうか」なわけで、既にプロジェクト期間の5年が過ぎ去ってしまった現在の段階は、実証の段階です。あるいは、実証が完了していなければならない段階で、議論の段階などではないといっているんです。
 要するに、現在は、作動して目的の性能を発揮できるかどうかだけが焦眉の急の問題であって、議論などする暇があったら、動かす事に集中しなさい、といっているんです。
 
 従って、頓珍漢な興行師さんのご希望に沿うことは出来ませんと明確に断っているんです。
 理解できているんでしょうかねえ? 
 これ以上のシツコイ勧誘は、真正SPAMに指定せざるを得ませんよ!

 追加:
そうそう、それから、「IBM側の人間である」などという、無責任で、いい加減なデマを書き込んでもらっては迷惑ですな。何を根拠にしているのか解りませんが、現在雇用関係も何も無い当方にとっては100%迷惑です。また、関係が無いので良くはわかりませんが、IBMさんにとっても、多分、現在の当方が「IBM側の人間」などといわれたら迷惑千万だろうと思いますよ。

  能澤 徹 on 2009/05/01

18

SPAMによるコメント欄の一時閉鎖に関する報告

ブログコメント欄一時閉鎖の理由:
 4/30日夕方、本ブログのシステムにより、30日に書き込まれた3件のコメントがSPAMと判定され、排除されでいる事に気がつきました。書き込みIDは<Sktnet>です。
 改めて、コメント一覧を確認したところ、さらに5件のコメントがSPAMとして、システム側で排除されていました。書き込みIDは<testertestertestest>
 どちらもシステムサイドの自動判定です。
 以前、semantics_groupというIDから、IPアドレスを次々に変えながら、訳の解らない、所かまわぬ、数百通の嫌がらせSPAMコメント攻撃を受けた経験から、早期予防措置として、コメント欄の一時閉鎖を実施いたしました。

ログの解析:
 Sktnetは2箇所のIPアドレスから書き込みを行っており、一方のIPアドレスがシステム側のBlackListに載っているのではないかと考えています。潜在的に要注意と思えます。
 Testertestertestestは1箇所のIPアドレスからの書き込みで、29日の5件の書き込みは排除されていましたが、その後の3件は通過しているようです。 今考えると、どうやらコメント内容にURL等が挿入されていてSPAMと判定されたのではないかと思えます。 システム側の正確な判定条件を知りませんので、依然、要注意ではありますが、通過分に関しては掲載しようと思います。

という事で、とりあえず、コメント欄を再開して見ようと思いますが、情況によっては、再閉鎖もありうることをご了承下さい。

  能澤 徹 on 2009/05/01

17

>今、testertestertestestさんのコメントをザーッ
>と読みました。思わず、噴出してしまいました。
>あなたは芸能プロダクションの興行師さんか何か
>ですか???

喜んでいただいてなによりです。興行師、いいたとえですね。なにごとも面白く真実に向かわなければ楽しくありません。

>筆者は、事実を拾い出し、列挙して、それらに関する
>意見を述べているだけです。基本は事実の収集です。
>この事実確認の方法に、何らかの問題があるのなら、
>ご指摘下さい。大いに検討させていただきます。

方法になんら問題ありません。ゆえにいつも興味深く読ませていただいております。その能澤さんの収集された事実に対し、そのプロジェクトの当事者である牧野さんが反論されている、その反論が正しくないのであれば、能澤さんは再反論すべきではないかと思うのです。そして、反論をもとに議論を重ねなければいつまで経っても平行線となり、非難の応酬という、非生産的な行為に時を重ねることになるでしょう。能澤さんの主張が「ただ悪意を持っているようにしか、私には見えない」理由の多くの部分が、当事者の反論に対する反論を軸に議論を構築されない点にあります。逃げてるように、「見えます」よ?

>インターネットには様々な情報が氾濫しています。
>ほとんどが、根拠薄弱な、無責任で意味の無い、
>個人的な感想や思い付きでしょう。

全くです。しかしそれは個人の日記であろうが、大新聞といわれるメディアも同様です。ゆえに利用者はリテラシーを持たなければならないわけです。牧野さんの意見が当事者の証言として貴重であると同時に、当事者の証言であるがゆえに、バイアスがかかっている可能性がある。能澤さんの情報も、IBMの5550(←大変お世話になりました。ここであの製品に対する感謝と、開発に携わった能澤さんに敬意を表します。ただ、これはインターネット上で調べた情報なので、真偽は分かりませんが)の開発に携わってたと思われる、IBM側の人間である能澤さんの情報に対しても、バイアスがかかっている可能性を疑わざるおえないのです。こういう疑い深いスタンスは、どんな情報に対しても持つべきものでしょう。

>とりわけ日本のサイトはひどいものといわれて
>いるようですね
ご存知ないなら幸いですが、海外はもっと酷いようです。その「日本の状況がひどい」とおっしゃっていた方は、おそらく海外の状況をご存知ないのでしょう。是非「まあ、老婆心からですが、インターネットの時代ですから、情報くらいは、広く世界に求めたほうがよろしいんではないでしょうか?」とお伝えください。

>本稿は、これらを総合し、時系列性を考慮しながら、
>発表内容の相互関係をチェックし、矛盾点を洗い出し、
>結局、7との矛盾から、どうやら、情報操作がなされて
>いたのではないかと帰納的に判断しているわけです。

つまり能澤さんは、このプロジェクトに対し、結果発表がない、という一点のみで批判されているのでしょうか?牧野さんはこの点について、2009年4月の日記でこのように発言されています。

>ま、3月時点で数字だしてないのはこっちの
>プロジェクトマネジメントの 問題ではあります。
>来月中にはなんとか。

税金の無駄遣い、狼少年、などと扇情的な、東京スポーツの見出しのような言葉で罵るのは、今の段階では不適切に思います(あくまでも今の段階です)。

>あなたの発想は、失礼ながら、どうも本末転倒で、
>物事の本質が見えていない無責任な興行師さんの
>ようにしか見えませんよ。

全く失礼ではありません。シェークスピアの時代より、物事の真実を暴こうと、物語をすすめる役割は、常にピエロに与えられるものですから。

是非とも納税者にとって価値ある議論を望み、期待しております。

  testertestertestest on 2009/04/30

16

To コメント#15
 今、testertestertestestさんのコメントをザーッと読みました。思わず、噴出してしまいました。あなたは芸能プロダクションの興行師さんか何かですか???

 筆者は、事実を拾い出し、列挙して、それらに関する意見を述べているだけです。基本は事実の収集です。この事実確認の方法に、何らかの問題があるのなら、ご指摘下さい。大いに検討させていただきます。

 インターネットには様々な情報が氾濫しています。ほとんどが、根拠薄弱な、無責任で意味の無い、個人的な感想や思い付きでしょう。とりわけ日本のサイトはひどいものといわれているようですね。まあ、狼少年もどきを見ても公式には、なんの役にも立ちません。また、匿名の無責任で破廉恥な嫌がらせのようなコメントも困ったものです。

 筆者が、事実として取り上げている情報は、基本的に、責任の明確なフォーマルなサイトの公式発表、あるいは、それに準ずると判断できるメディア記事などです。

 GRAPE-DRに関して言えば、
1.東大 記者発表 2004年5月26日 世界最高速のコンピュータ開発プロジェクトがスタート
2.東大 研究成果発表 2006年11月3日 記者会見「世界最高速のスーパーコンピュータ用プロセッサ チップ開発に成功 − ペタフロップス実現へ大きな一歩 − 」
3.SC07 Nov 13 GRAPE-DR
4.文科省 2006年12月 平成18年度科学技術振興調整費の評価結果等について
5.K&F Computing Reserach 社 Home Page
6.文科省 政府調達情報検索
7.プロジェクト期間が終了してしまっている4月24日現在で、新たな公式発表は認められなかった事。
などの情報を基にしたものであり、情報の出所を明らかにする意味で、参照URLにリンクしてあるはずです。
 本稿は、これらを総合し、時系列性を考慮しながら、発表内容の相互関係をチェックし、矛盾点を洗い出し、結局、7との矛盾から、どうやら、情報操作がなされていたのではないかと帰納的に判断しているわけです。
 従って、プロジェクト期間が終了してしまって既に1ヶ月も経過しているのに、公式に何の成果発表あるいは情況報告も無いことが問題なのであって、現在、プロジェクトサイドが最優先で行うべきことは、公式な成果発表ないしは情況報告を行うことで、「言い訳や逃げ口上」の議論などをしている暇は無いはずですし、しても全く意味は無いですけどねー。

 あなたの発想は、失礼ながら、どうも本末転倒で、物事の本質が見えていない無責任な興行師さんのようにしか見えませんよ。

  能澤 徹 on 2009/04/30

15

こんにちは。いつも興味深く読ませていただいております。
今回の記事に対して、牧野さんは2009年04月の日記において反応されています。

以前にも、能澤さんの『Grape-DRの性能』という記事に対し、2007年12月20日の日記にて反論されていました。(能澤さんはご覧になってませんか?)

能澤さんの、ビルゲイツ引退についての記事、その中でのコメントで用いたロジックを援用するならば、以上のやり取りから、能澤さんがただGrapeに対して悪意を持っているようにしか「見えません」。また、おごちゃんさんの『おごちゃんの雑文』内の、2007年11月19日の記事、『ベクトル型スーパーコンピュータを批判する人々』の内容以上の感想を持ちえません。IBMのスパコン買えよ、といいたいようにしか「見えません」。

個人のブログならともかく、CNETというメディアが提供している情報である以上、税金の無駄遣いであるとの意見を、Grapeに対してもてない納税者の一人として、能澤さんの記事がどう「見えている」のかを、発信しなければフェアな議論が出来ないのではと思い、不躾ながら、書き込ませていただきました。現在のところ、一方的に「失敗であり、税金の無駄である」と、断定するのはフェアではないかと。(あくまでも今のところです)

できることならば、牧野さんの2009年4月の日記の内容(あるいはそれ以前の反論)に対する反論を基に、議論を再構築していただけると、一読者として非常に建設的であるように思います。よろしくお願いします。

なお、URLの表記があるとブログ内書き込めなかったので、引用記事は日付とタイトルのみです。これだけの情報でも、「まあ、老婆心からですが、インターネットの時代ですから、情報くらいは、広く世界に求めたほうがよろしいんではないでしょうか?」とおっしゃる能澤さんならたやすく情報にアクセスできると思います。

これからも興味深い記事を期待しております。

  testertestertestest on 2009/04/29

14

書き込みテスト。

  testertestertestest on 2009/04/29

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To コメント#9
z80v9958さんのご主張にはほぼ同感です。

 敢えて付け加えさせていただくと、プロジェクトの失敗には、技術面での失敗と、マネジメント面での失敗があります。技術面での失敗は結構ある話ではないかと思いますが、そうした技術面での失敗を、なんとかカバーするのがマネジメントであって、マネジメント面でまで失敗となると重症だろうと思いますね。
 プロジェクト期間が終了しても、何の発表も行えないといった状態は、マネジメントが極めて可笑しいということです。民間では、人件費もプロジェクト予算に含めるのが普通ですので、プロジェクト予算が締まってしまうと、人件費も出なくなり、プロジェクトメンバを路頭に迷わす事になりますので、プロジェクトの終結方法や時期にかんしてはナーバスになりますが、こうした観点から、人件費が別会計の公務員のプロジェクトでは、意識が甘くなっているのではないかと思います。
 また、民間では、プロジェクトの失敗に関しては極めて敏感です。単に売上減、利益減といっただけでは済まず、損害賠償を請求される場合もあるわけですから、リスク・マネジメントには神経を使い、リスク兆候の把握や、迅速なマネジメント・アクションは必須です。こうした面からも、「失敗はしょうがない」といってお咎め無しで終わってしまう公務員は、プロジェクトマネジメントに対する意識が極めて低いのではないかと思っています。

 こうした意味からも、税金を原資として実施されるプロジェクトに対しては、外部から厳しく監視する必要があろうかと思っていますし、巨大な次世代スパコン・プロジェクトの行く末がどうなるのかは、気になるところです。

  能澤 徹 on 2009/04/29

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To コメント#8
 『私の所属している組織では「Aがダメ」という発言は無価値で「Aは〜という理由でダメだからBという代案を提案する」という発言でないと誰も聞いてくれないのですが。』
とのことですが、以下に2004年5月26日の東大のGRAPE-DRプロジェクトに関する記者発表から、『2.提案の概要』のなかの当コメントに関連すると思える部分を引用してみます。

 『GRID技術は,ネットワークにより分散したコンピュータ資源,ストレージ資源を,場所を意識せずに使うことを目標として,1990年代の後半から盛んに研究開発が行われ,我が国へも導入されつつある.しかしながら,ミドルウェアを中心としたGRID技術は,期待は大きいものの実際の研究の現場ではGRID自身が研究テーマでない限り,殆ど使われていないのが現状である.一方,高い計算能力を低コストで得るための手法としてのクラスタ計算機は,現実的に設置可能なサーバ台数の限界から汎用MPUを用いるだけでは100TFLOPSを越す性能の達成は困難であり,次世代の科学技術研究のための情報基盤として性能面での限界を持つ.
  GRAPE−DRプロジェクトは,上記問題点を克服し,科学技術研究の現場で,高速インターネット,コンピュータシステムと大容量ストレージの持つ能力を世界最高の性能レベルで活用する情報システム基盤を構築することを目的とする.』
(筆者注) 「世界最高の性能レベル」とは後の部分で「PFLOPSレベルの超高速計算能力」となっています。

 yus-konnoさんの表現に当てはめるとGRAPE-DRは「A(Grid)は駄目」「B(汎用MPUのみによるクラスターシステム)は100Tflops達成は困難」従って、「上記問題点を克服し,・・・・世界最高の性能レベルで活用する情報システム基盤は、C(GRAPE-DR)である」という論理で税金15億円の予算を獲得したわけです。
 ところが、実際の世の中では、この提案の目標達成の手段としては完璧に否定されたB((汎用MPUのみによるクラスタシステム)で100Tflopsを軽く越すシステムが、安価に、多数出現しているわけです。つまり、提案・採択の論理が、多数の反例で、逆に否定されたわけです。
 こうした場合、yus-konnoさんの属する組織ではどうするのですか? 民間のお金持ちの組織なら別ですが、予算が少ない常識的な組織では、当該達成目標は、B方式で、税金による開発費0円でマーケットにより実現されるのだから、C方式は不要で無駄と考えるのが普通ではないでしょうか。それでもプロジェクトを継続したいというのであれば、別の論理が必要でしょうね。
 従って、まずは、構造的、あるいは論理的に「税金15億円の浪費」という事になるわけです。

 「GRAPEプロジェクトが今まで大きな失敗が無かったのがたたかれる原因ですかねえ」とのことですが、本稿の何処を読むとそうなるんでしょうかねー。理解しかねますね。
 本文を読めば、解ることですが、いくつもの例を挙げて、「情報の操作が行われ、『今まで大きな失敗が無かった』かのように報告されていたのではないか」という事を指摘し、問題だと思っているのです。
 2006年11月のチップ完成の発表では、「予定の速度で動作中」で、いくつもソフトウエアが作動しているということでした。この時、筆者がメデイアの記事を通して「変だなー」と思ったのは、提示されていたチップ内の構成図とプロジェクトの開始時の「データフロー演算器」「パイプライン化ネットワーク」といったアーキテクチャの落差が激しく、理解に苦しんだことと、チップ内演算器数が突然1000から512に半減し、単精度性能が512Gflops,であるのに倍精度が384Gflopsと可笑しな値になっていたため、どういう演算器なんだろうと理解に苦しんだこと、および、ホストPCとこの演算器チップは直接つながるのではなく、演算器制御のための別のFPGAチップを介して接続されらしいのですが、構成図の中では、このFPGAのチップは非常に小さく扱われ、まるで演算器チップとPCだけで作動するようなブロック図になっていて、1チップ512演算器は世界最高密度といったような宣伝が行われていたため、これは意図的な情報操作ではないかと思ったことなどです。
 そして翌2007年11月のSC07の発表Paperを見ると、500Mhzで作動中で、倍精度性能は256Gflopsとなっており、前年の報道発表の384Gflopsは何であったのか理解に苦しんだわけで、そしてさらにそのPaperの中のアプリケーション作動性能のデータも、実測値は1つだけで、他のデータは予測値というのであるから、イカモンPaperであろうと思わざるを得ませんでした。(拙稿「GRAPE-DRの性能」参照)
 そして昨2008年7月のボード発売で、今度は作動クロックが500MHzではなく380MHzというのですから、そもそも「予定の速度で動作中」とか、500Mhz でのアプリケーション実測データというのは情報操作であったのではないかと思わざるを得なくなったわけです。

 まあ、要するに、「情報の操作が行われ、『今まで大きな失敗が無かった』かのように報告されていたのではないか」という事で、逆に、大問題なのではないかと考えているわけです。

 というわけで、「大衆に迎合した文章」とか「理学系と工学系の研究の違い」などといった、意味の無い形而上学的コンニャク問答ではありませんよ。

  能澤 徹 on 2009/04/29

11

何か私の意図がちゃんと伝わらなかったようです。

コメントには、「100TFLOPSを越す性能の達成は困難であり,
次世代の科学技術研究のための情報基盤として性能面での限界
を持つ.」という部分のみを取り上げて、「テクノロジーに
対する予測は「全く出鱈目」」と主張されていますが、これだと、
GRAPE-DR プロジェクトが、MPUだけを使用したクラスタ計算機では 100TFLOPS を越す性能の達成は技術的に困難だと主張している
ように見えてしまいます。これはちょっと言い過ぎで、無理が
あるというのが私の意見です。

もし、プレスリーリースをそのまま信じるなら、GRAPE-DR は
2-4TFLOPS/500万 ということですから、コメントでご紹介
していただいた中国ものと同程度になりますし、少なくとも、
それ以外に紹介されているシステムと比べればかなり価格性能比
はよいと思います。

それから、チップ云々の件は、既に本文に書いてあるとのこと
ですが、これは私が質問させていただいた箇所の1つ前の段落
を指しているのでしょうか?であれば、これは回答になって
いまえん。どうして、「処理速度や信頼性の向上には図り知れ
ない」と言い切れるのでしょうか?

最後に「まあ、老婆心からですが、インターネットの時代です
から、情報くらいは、広く世界に求めたほうがよろしいんでは
ないでしょうか?」ですが、これはあなたも、牧野氏の
「スーパーコンピューティングの将来」くらいは読んでご自分
の主張をなさってはどうでしょう?と言いたいと思います。

それに、私には、あなたの GRAPE-DR の記事は極端で悪意
があるようにしか読めず、全く建設的なものだとは思えま
せん。こいうのは、CNET のブログではなく個人のページ
でやるべきでしょう。

  sktnet on 2009/04/29

10

To コメント#7
 『「高い計算能力を低コストで得るための手法」という部分を無視して、「狼少年」だと断罪するのはかなり無理がある』
というご指摘は、日本語の読解にかなり問題があるのではないでしょうか。
 原文は追加コメントに提示してありますように、
『一方,高い計算能力を低コストで得るための手法としてのクラスタ計算機は,現実的に設置可能なサーバ台数の限界から汎用MPUを用いるだけでは100TFLOPSを越す性能の達成は困難であり,次世代の科学技術研究のための情報基盤として性能面での限界を持つ.』
となっており、
【高い計算能力を低コストで得るための手法】で区切るのではなく、【高い計算能力を低コストで得るための手法としてのクラスタ計算機は】という事で、【汎用MPUを用いるだけ】の【クラスタ計算機】の事を述べています。つまり、「OpteronだとかXeonあるいはPower、SPARCなどといったMPUだけを使用したクラスタ計算機」という事です。Jaguarも、Pleiadesも、Rangerも、あるいはインドのタタのシステムなど、2008年11月のTop500のリストを見れば、上位20位にランクされたシステムのほとんどは市販の汎用MPUだけのシステムで、ほとんどが100Tflopsを軽く越しています。
 したがって『100TFLOPSを越す性能の達成は困難であり,次世代の科学技術研究のための情報基盤として性能面での限界を持つ.』という、GRAPE-DRサイドの断定は、明らかに、誤りであるということになります。
 という事で、sktnetさんの『かなり無理がある』という主張そのものが、“かなり無理がある”のではないでしょうか。

 参考までに、システムの価格に関しては、1〜3年前のデータですが、当ブログ内の拙稿「T2K(筑波、東大、京大)とJAXAのスパコン」(2008/02/23)や「Top500: 日本のスパコン能力」(2007/11/14)、「スパコンの内外価格差、性能格差 」(2007/10/09)などに記述してありますので参照下さい。
 大まかに言うと、1〜2年前の米国での汎用MPUによるクラスタ・システムの価格は1Tflops 当り1千万円を切る価格です。今日の為替レートでは、さらに10%〜15%くらい安くなる計算になります。筑波のT2Kのように、これらを日本に輸入すると2倍から2.5倍程割高になり、東大や京大の国産メーカーによるT2Kは5〜-6倍くらい割高になっていたと記憶しています。
 今日では、Tflops単価はさらに下がっており、先日読んだ記事には、中国の曙光(だったと記憶していますが)は2Pflops超のシステムを邦貨換算で20億円程度で作るとか書いてありました。若干眉唾で眺めていますが、作動すればTflop当り100万円という事です。
 まあ、老婆心からですが、インターネットの時代ですから、情報くらいは、広く世界に求めたほうがよろしいんではないでしょうか?
 それから、2チップ云々の件は、既に本文に書いてあったかと思いますので、本文を参照下さい。

  能澤 徹 on 2009/04/29

9

研究開発に100%はないですから、時には失敗も仕方ないと思っているのですが、結果が発表されないのは良くないですね。失敗なら失敗でいいので、今回のプロジェクトで得られた知見を公表して欲しいものです。

  z80v9958 on 2009/04/29

8

「税金15億円の浪費」大衆に迎合した文章とも取れますし、
理学系と工学系の研究の違いを認識していないようにも取れます。
GRAPEプロジェクトが今まで大きな失敗が無かったのがたたかれる原因ですかねえ。私の所属している組織では「Aがダメ」という発言は無価値で「Aは〜という理由でダメだからBという代案を提案する」という発言でないと誰も聞いてくれないのですが。

  yus-konno on 2009/04/29

7

少し気になったので、コメントさせていただきます。

まず、#1 への追加のコメントは、「高い計算能力を低コストで
得るための手法」という部分を無視して、「狼少年」だと断罪
するのはかなり無理があると思います。(例えば、ORNL の Jaguar と GRAPE-DR とでは予算規模が全然違うわけですし。)
もちろん、現在の GRAPE-DR Model1800 はマザーボードくらいの
大きさの代物なので、これではお金があっても大きなシステムを
うまく組めるとは思えませんが。

それから、本文中の「2チップで512演算器となり、GRAPE-DRと同じ演算器密度になるわけで、その上、処理速度や信頼性の向上には図り知れないものがあるのである。」というのはなぜでしょうか?
よく分かりませんでした。追加の解説があればよろしくお願いします。

  sktnet on 2009/04/29

6

質問に答えてください。

  chibafx on 2009/04/27

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