|
|
新型肺炎SARS(重症急性呼吸器症候群)の被害は、広がる一方だ。全世界の患者数3293人、死者は159人に達した(4月17日現在)。特に患者数が多い中国、香港に拠点を置く日本の現地進出企業の中には、駐在員の家族を帰国させる動きも出ている。WHO(世界保健機関)は原因を新種のコロナウィルスと断定し、「SARSウィルス」と名付けた。その謎のウィルスに、恐ろしい疑惑が持ち上がっている。 |
ロシアの医師や研究者ら専門家向けに更新されているインターネット上のニュースリリース『メディカル・ニュース』に、驚くべき記事が掲載されたのは4月3日のことだった(〈 〉内は同リリースからの引用、以下同)。 〈奇妙な肺炎(=SARS)を引き起こすウィルスは、昔からあるウィルスと異なり、生物兵器(バイオロジカル・ウェポン)として人工的に作られた可能性がある〉 記事は、ロシア医学アカデミーのセルゲイ・コレスニコフ委員が、3月27日にイルクーツクで行った記者会見に基づいて書かれたものだった。 コレスニコフ氏は'50年、アルメニアで生まれ、現在53歳。モスクワ大学に続く難関のノボシビルスク大学を卒業している。現在の正式な肩書は「医学アカデミー・シベリア地区東シベリア科学センター幹部会議長」。アカデミーの地方代表ということになる。 「アカデミーの幹部となると、ロシア国内では一般の大学に所属している学者よりランクが上です」(全国紙国際部記者) |
単独のウィルスではない |
コレスニコフ氏は記者会見で、SARSが発生した原因についても言及していた。 〈SARSのウィルスは既存のよく知られた二つのウィルス――一つは麻疹ましん(はしか)、もう一つは耳下腺炎(おたふくかぜ)のウィルス――を合成して作られたものである。二つのウィルスが融合することは、自然状態では起こり得ず、実験的条件の下でしか作れない〉 〈このようなウィルスを兵器として作るときは、同時に身を守るべきもの(治療薬)も作られているのが普通なので、ワクチンもできているのではないだろうか〉 〈もう一つの見方としては、誰かが意図してウィルスを広めたのではなく、実験中に突然できたウィルスが、何らかの事故で外部へ流出してしまったとも考えられる〉 コレスニコフ氏の記者会見と同じ頃、日本の細菌培養メーカーも同じ内容の情報を得ていた。このメーカーでは乳酸菌の一種で、手術前の患者の免疫力を高める抗ウィルス性の「ナリネ菌」などを培養している。メーカーの幹部が、次のように語る。 「3月にビジネスで交流のあるロシアの細菌学者から『SARSは明らかに人の手で作り出されたもの』との情報提供を受けました。彼の話では、写真でウィルス遺伝子の塩基配列を見れば、自然に変異したものか、人間の手で変異させたものか、ある程度分かるというのです。ロシアは細菌分野では米国以上に研究が進んでいますから、アメリカがイラク攻撃の準備を進めていた頃からすでにSARSの発生をキャッチして研究に着手していたようです」 別の細菌学者の報告では、SARS用のワクチン開発の過程で、阻止効果のありそうな既存物質の研究が進められており、ナリネ菌もその一つなのだという。乳酸菌といえば、香港ではインターネットや現地の雑誌などの影響で、乳酸飲料である「ヤクルト」が爆発的に売れている。 「香港では従来、1日の販売数が平均40万本でしたが、3月末から4月に入り2倍以上になり、シンガポールなど東南アジア地域でも売り上げが上昇中です」(ヤクルト本社広報室) ロシアの研究結果が、感染地域・香港にも影響を及ぼしているわけだ。神奈川大学教授で、生物化学兵器に詳しい常石敬一氏は、こう語る。 「SARSパニックの経過をみると、生物化学兵器と疑われても仕方がない面はあります。旧ソ連は、生物兵器として天然痘ウィルス(ポックスウィルス)とエボラウィルスを組み合わせて、新型のキメラウィルスを開発しました。致死率を高め、治療を混乱させるためです。このキメラウィルスに感染すると、天然痘でもあり、エボラ出血熱でもあるような複雑な症状が出ます。SARSの場合も、ある患者はクラミジアが原因のようで、別の患者はコロナウィルスらしいと、症状がまちまちです。単独のウィルスではないのではないかとの疑いは残ります」 |
1/2 |
|