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大阪・西淀川の女児遺棄:優しい母親だったのに 美奈容疑者の父「弁解できない」

 愛情を注いだ幼い娘を死へ追いやった母--。大阪市西淀川区の松本聖香さん(9)は母親の松本美奈容疑者(34)=死体遺棄容疑で逮捕=と暮らしていた自宅で息絶え、奈良市の山中に遺棄された。不自由なく育ち、結婚後は子宝に恵まれ優しかったはずの母は、なぜ変わったのか。聖香さんの祖父で、美奈容疑者の父親(65)は聖香さんの死を悔やみ、「娘(美奈容疑者)のしたことは弁解のしようがない」と苦しい胸のうちを明かした。

 美奈容疑者は大阪市生まれで2人姉妹の長女。子どものころ、大阪府枚方市に移り、府内の私立高校と短大を卒業した。

 衣料品製造会社を経営していた父によると、幼少の美奈容疑者は神経質で怖がり。絵を描くのがうまく、学生時代は美術クラブに入っていた。約10年前に結婚し、聖香さんら3人の女の子を授かる。知人は「当時は、子どもに優しい普通のお母さんだった」と話す。

 06年3月、聖香さんが保育所を修了する際、文集にこう書いた。

 「ちっちゃくて病気ばっかりだったせいちゃんもあっという間に小学生だね。(略)甘えんぼのせいちゃん、小学生になっても元気にお友達といっぱい仲良く遊んでいろんなことをできるようにがんばろうね。(略)ちょっと心配な おかあさんより」

 その後、変化が訪れた。昼の仕事の後、深夜までファミリーレストランで働き、よく残り物を持ち帰ったという。水商売の仕事も始め、急激にやせた。外見だけではなく、近所の住民は「子どもを異常なほど怒鳴るようになった」と証言する。

 昨年秋、焼き肉店で小林康浩容疑者(38)=同容疑で逮捕=と知り合い、離婚した。年末、聖香さんと双子の妹を連れ、小林容疑者のマンションに転居したが、妹はすぐ実父の元へ戻った。間もなく、小林容疑者の怒鳴り声が近隣に響き始めた。【生野由佳、向畑泰司】

 ◇聖香は持病があり、子どもなりに離れられなかったんかな

 美奈容疑者の父親は自宅のある和歌山県内で取材に応じた。娘の逮捕、孫の聖香さんの死。「怒りもなく、悲しいでもなく、なんなんやろうなあ」。時に空を仰ぎながら、言葉に詰まった。

 虐待された可能性が高い聖香さん。「何で逃げなかったんかな。姉妹がそばにおる。走って何分や。(父方の)祖父母もおる。走って10分や」と悔しさをにじませた。

 一方で、「聖香は持病があり、娘(美奈容疑者)から特に大事にされた。子どもなりに『私のお母ちゃん』『この人がいないと生きていけない』という気持ちがあって、離れられなかったんかな」と、複雑な心境をのぞかせた。

 娘の逮捕を知り、拘置先の大阪府警本部に駆けつけ、着替えやタオルを差し入れた。

 「娘は言い訳ができないことをした。弁護もできない。あいつの人生は終わりや。でも、家庭が崩壊し、心の弱さが出たんかな。刑に服して戻ってくるなら支えてやりたい」

毎日新聞 2009年4月30日 大阪夕刊

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