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弱毒型でも脅威減らず 新型インフル「フェーズ5」

2009年4月30日16時46分

 世界保健機関(WHO)が警戒レベル「フェーズ5」を宣言し、新型の豚インフルエンザのパンデミック(世界的流行)懸念が高まった。このウイルスは弱毒型と見られると、国立感染症研究所の田代真人インフルエンザウイルス研究センター長が28日明らかにした。

 今後のウイルスの変化は予断を許さないが、かつて世界中で数千万人が死んだスペイン風邪のような事態は避けられる可能性が出てきた。しかし、これで安心することは決してできない。パンデミックの恐ろしさは、死者の多発に限らない。

 WHO西太平洋地域事務局の葛西健(たけし)感染症対策官は「世界中で同時に患者が多発する。これがパンデミックの真の脅威だ」と話す。

 患者が多数出ると、大震災時などと同様、医療資源が極端に不足する。また、入院不要の軽症でも、1週間程度は仕事や家事ができない。学校閉鎖は感染封じ込めには有効だが、子らに対応するため、健康な大人も仕事を休まなくてはならない。これらは、社会機能をまひさせてしまう。

 軽症者の爆発的発生は、このような社会の混乱を世界中で引き起こす。パンデミックは「経済災害」であり、弱毒型でも脅威が減ったわけではない。国内へのウイルス流入や感染の広がりを抑える対策をゆるめてはならない。(編集委員・中村通子)

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