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中国に核軍縮求める 日中首脳会談 温首相は靖国に言及

2009年4月30日3時6分

 【北京=蔵前勝久】麻生首相は29日、中国を訪れ、北京の人民大会堂で温家宝(ウェン・チアパオ)首相と約2時間20分、会談した。両首脳は世界的な経済危機や豚インフルエンザ、北朝鮮問題などで連携を確認した。一方で、麻生首相は中国に核軍縮への協力を要請。温首相は麻生首相が靖国神社に供え物をしたことを受け、歴史認識問題で日本にクギをさした。

 豚インフルエンザ問題をめぐっては、温首相が「地球規模で問題が広がり、金融危機に加えて新たな困難になっている」との認識を表明。麻生首相も「国民の冷静な対応が非常に大事だ」と応じ、水際対策や防疫面での情報共有を目指すことになった。

 北朝鮮が離脱を表明した6者協議については、麻生首相が「北朝鮮の非核化を進める上で最も現実的な枠組みだ」とし、議長国中国の役割に期待を表明。温首相は「粘り強く困難を克服することが大事だ」と述べた。経済危機対応では、両国が内需拡大に全力を挙げることで合意した。

 一方、温首相は「歴史問題は非常に重要だ。特に靖国問題は国民感情にかかわる敏感な問題で、適切な処理を希望する」と懸念を表明。麻生首相は、日本の植民地支配と侵略への反省とおわびを表明した95年の村山首相談話と、05年の小泉首相談話を踏襲する考えを示し、「日本の立場に変更はない」と応じた。

 核問題では、麻生首相が「米国ではオバマ政権が誕生し、従来と異なる対応をしている。核兵器を削減していくため、中国にも協力してほしい」と求めたが、温首相は「中国は一貫して核兵器の全面禁止を唱えている。核の先制不使用も約束している」と従来通りの見解を示した。

 両首脳はまた、日本が中国の環境汚染や廃棄物対策に協力する「日中環境・省エネルギー総合協力プラン」で合意したほか、今年10月から羽田―北京間の定期チャーター便を開設することや、閣僚級による日中ハイレベル経済対話を6月7日に東京で開催することを決めた。

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