「無事に」願い届かず 鳴沢岳遭難、大学関係者沈痛な表情
2009年04月28日 14:15
鳴沢岳で遭難した山岳部員の登山計画などを会見で説明する田中力京都府立大学務課学生担当(右)と田中和博同大大学院教授=28日午前7時すぎ、上市署
富山、長野県境の北アルプス後立山連峰・鳴沢岳(二、六四一メートル)の山頂付近で京都府立大山岳部の三人パーティーが行方不明になっている遭難事故。二十八日早朝から県警山岳警備隊が行った捜索で、男性二人の遺体が相次いで発見され、上市署に収容された。うち一人は男性部員の同大学院生の桜井聖悟さん(25)と分かり、同署に駆け付けた家族や大学関係者らは沈痛な表情を浮かべた。もう一人の遺体の身元は同日正午現在判明しておらず、まだ行方がつかめていない女性一人の安否を気遣った。
同署には同日午前六時すぎ、同大学大学院の田中和博教授(55)と大学学務課学生担当の田中力さん(58)らが駆け付け、署員から刻々と変わる状況を聞いた。
大学関係者は同署で午前七時に会見し、三人の登山計画や対応を説明。田中教授は行方不明になった伊藤達夫助教(51)の上司に当たり、研究室では桜井さんの指導教官、安西愛(20)さんの担任でもあり「無事帰ってくることを願っています」と希望を込めた。
大学によると、伊藤さんは登山歴三十五年で、これまで何度も北アの登山経験があるベテラン。三人とも冬山の経験者だったとし、特に伊藤さんに関しては「冬山を含めて山を熟知している」と話した。二十五日の入山にはついて「三人が現地で決断したと思う」と言葉少なに語った。
会見後に収容された遺体が、家族によって桜井さんと確認され、さらに一人の男性遺体が発見されたことが伝えられた。
同大学では二十七日午前、下山予定を過ぎても三人と連絡がつかないため、対策本部を設置し富山、長野県警に捜索を要請していた。
北日本新聞ご購読の申し込みはこちらから