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【国際】

「人類全体の危機」 WHO、新型インフル警戒「5」

2009年4月30日 夕刊

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 【ジュネーブ=清水俊郎】新型インフルエンザの感染拡大を受け、世界保健機関(WHO)は29日夜(日本時間30日未明)、警戒水準(フェーズ)を初めて「5」に引き上げた。世界的大流行(パンデミック)を示す最悪の「6」の一歩手前のレベル。マーガレット・チャン事務局長は緊急記者会見で「パンデミックが差し迫っている。人類全体の深刻な危機」と警告した。

 WHOは27日(同28日)にフェーズ3を初めて「4」に引き上げたばかり。ウイルスの広がるペースが速く、わずか2日間で再引き上げを迫られた。

 フェーズ5は、人から人への感染が少なくとも2つの国で起きていることを意味する。WHOは29日、加盟各国の情勢を分析する専門家の電話会議を開催。感染の中心とみられるメキシコだけでなく、米国でも2次感染が広まっていることを確認した。

 AFP通信によるとスペインでも29日、メキシコや米国に旅行をしていない感染者が見つかった。

 チャン事務局長は今回の警戒水準引き上げについて「パンデミックに備え、各国政府や製薬会社に対し、すぐに行動するべきだというシグナル」と訴えた。一方、「人々と商品の循環を制限したり、国境を封鎖したりすることは勧めない」とも述べ、経済に及ぼす影響は最小限にしたいとの意向も示した。

 これまでに新型インフルエンザの感染が確認された国は、南米で初の確認事例がペルーで判明し、30日までに計11カ国に拡大。

 またAFP通信は、スイスでも新たに感染が判明したと伝えている。

 感染拡大が最も深刻なメキシコからの報道によると、同国のコルドバ保健相は29日、新型インフルエンザ対策に関連しない連邦政府の役所と、一部を除く商業活動を5月1日から5日まで暫定的に休業すると発表した。ただ交通機関やスーパー、ごみ収集、病院、銀行は除外される。

 ロイター通信によると、同国保健省報道官は29日、感染によるとみられる死者が176人になったと述べた。

 【メキシコ市=共同】ロイター通信によると、メキシコのカルデロン大統領は29日、テレビ演説で、政府機関の業務停止を決めた5月1−5日の間、自宅にとどまるよう国民に呼び掛けた。

WHO声明骨子

▼警戒水準を「4」から「5」に引き上げ

▼インフルエンザの世界的大流行を深刻に受け止めなければならない

▼警戒水準引き上げは、各国政府や製薬業界、経済界に、さらに速やかな対策を講じるよう警告するため

▼すべての国は準備計画をすぐに実行に移し、高度の警戒態勢を続けるべきだ

▼大流行になれば真に人類全体が危機にさらされる

 (共同)

 

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