地域住民が安心して医療を受けられる環境づくりは重要だ。それを担う県立病院など公立病院の多くは、へき地医療や救急、産科など不採算部門を抱えていたり、医師不足のため経営基盤が弱い。
200億円を超える累積赤字がある県立病院の経営健全化への取り組みは、経営形態を含む県福祉保健部の県立病院のあり方に関する基本構想案がまとまった。
3月、県医療審議会県立病院のあり方検討部会が2012年度をめどに県立病院を地方独立行政法人化(独法化)する基本構想を仲井真弘多知事に答申した。
昨年8月から7カ月間続いたあり方論議の間に、県病院事業局は経営再建計画を策定し、現在の経営形態の「全適」(地方公営企業法の全部適用)の下で、県立病院の全事務職員の専門職化に着手し、経営健全化策に取り組む。
知事は、独法化の準備とともに、経営再建計画の達成見込みがあれば全適存続も検討する両にらみだが、構想案は全適を事実上排除し、病院事業局は修正を求めている。
県立病院は06年、それまでの地方公営企業法の一部(財務規定)適用から全適に移行した。一部適用下では人事や定数、予算権限が知事にあり、運用の小回りが利かず、病院関係者の経営責任の欠如なども指摘されていた。
全適では、病院管理局として独立し、財務や組織、職員の身分取り扱いなどの権限を特別職管理職(病院事業局長)が持ち、民間病院並みの経営体制を目指すとしていた。しかし、移行後も期待された効果はほとんど出ていない。
地方独立行政法人は、地方公共団体が設置する法人で、地方公務員法や地方自治法、地方財政法など地方自治制度の縛りがなくなる。より自由度のある迅速な経営が可能になるとされる。
院長権限で人事配置や採用ができ周産期、離島、精神科など政策医療に一般会計からの交付金支援がある。独法化時は、県立病院の全債務を県が負担する。一方で交付金の確実な支援への懸念や職員の非公務員型に対する士気の低下が指摘される。
経営形態にはそれぞれ利点、欠点がある。真の改革には、管理者をはじめ職員の意識改革が求められる。地域住民の財産である公立医療の健全化に向け、誰のための改革かを念頭に、地域住民が納得できる施策に努めてもらいたい。
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