【発明の名称】 |
温熱治療用サウナ装置 |
【発明者】 |
【氏名】鄭 玲妃
【氏名】長瀬 公治
【氏名】宮原 盛明
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【要約】 |
【課題】サウナ室内に入室したままで所定の温熱治療用のサウナ浴を実施できるようにして、患者や高齢者、身体障害者に余分な負担を強いることなく温熱治療効果を十分に上げることができる温熱治療用サウナ装置を提供する。
【解決手段】乾熱雰囲気を保持するサウナ室2には吸排気用のファン19,20、室内温度を検出する室内温度検出センサ28、遠赤外線を放射する面状ヒータ11が設けられるとともにシーケンス制御用のコントローラ14を備えており、このコントローラ14は、温熱治療モードの設定に応じてサウナ室2内の室内温度および時間が予め規定された所定の温熱治療用の入浴パターンとなるように室内温度検出センサ28の検出出力に基づいてファン19,20および面状ヒータ11の制御を行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 乾熱雰囲気を保持するサウナ室を有し、このサウナ室には吸排気用のファンおよび室内温度を検出する室内温度検出センサが共に設けられ、また、サウナ室の内壁の所要箇所には遠赤外線を放射する面状ヒータが設けられ、さらに、シーケンス制御用のコントローラを備えており、このコントローラは、温熱治療モードが設定された場合には、これに応じてサウナ室内の室内温度および時間が予め規定された所定の温熱治療用の入浴パターンとなるように、前記室内温度検出センサの検出出力に基づいて前記ファンおよび前記面状ヒータの制御を行うものであることを特徴とする温熱治療用サウナ装置。 【請求項2】 前記入浴パターンは、入浴者の深部体温を上昇させるに必要な所定の加温温度Haに所定の加温時間Taの間保持する加温状態と、前記加温温度Haよりも低い保温温度Hbに所定の保温時間Tbの間保持する保温状態とを組み合わせた設定であることを特徴とする請求項1に記載の温熱治療用サウナ装置。 【請求項3】 前記加温状態は、加温温度Haが略60℃で加温時間Taが略15分、前記保温状態は、保温温度Hbが略40〜45℃で保温時間Tbが略20〜30分、であることを特徴とする請求項2に記載の温熱治療用サウナ装置。 【請求項4】 前記サウナ室には温熱治療経過の報知ブザー等の報知手段が設けられる一方、前記コントローラは前記加温温度Haの到達時、保温温度Hbの到達時、および保温時間Tbの経過時にそれぞれ報知ブザー等の報知手段を起動するものであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の温熱治療用サウナ装置。 【請求項5】 前記サウナ室には、室内外に夫々マイクとスピーカが配置され、室内外の何れからも会話ができるようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の温熱治療用サウナ装置。 【請求項6】 前記サウナ室には、点滴中の患者が点滴管を取り外すことなくサウナ室内でも点滴が受けられるよう点滴管につながれる点滴ラインを室外から室内に送り込むための間隙が出入口扉と出入口フレームとの間に設けられてなることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の温熱治療用サウナ装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、温熱治療用サウナ装置に関する。 【背景技術】 【0002】 通常、サウナ装置は、サウナ室内に電気ヒータおよび蒸気発生器を配置して室内を100℃前後の湿式雰囲気に保持するようになっている。この種のサウナ装置は、健常者にとっては積極的に発汗を促して心身のリラックス効果や疲労回復等に有効である。しかし、心不全、高血圧あるいは不整脈などの患者や高齢者にとっては心臓や血管系に負担を大きくし危険を伴うために不適切である。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 ところで、温熱治療効果を十分に発揮するためには、温度と時間とが予め規定された所定の入浴パターンに従ったサウナ浴を実施することが望ましいと考える。すなわち、身体に過剰な負担をかけない程度の加温温度に所定時間保持して深部体温を上昇させた後、引き続いて加温温度よりも少し低い保温温度に所定時間保持して体温上昇がある程度の時間にわたって継続されるようにすることが望ましい。 【0004】 しかしながら、従来の温熱治療用のサウナ装置は、サウナ室内を温熱効果を上げるだけの機能しかもたず、サウナ室内に居ながら上記のような所定の入浴パターンに従った適切な温熱治療を受けることができるような装置は未だ提供されていないのが現状である。 【0005】 また、サウナ装置を用いて温熱治療を実施する場合には、心不全、高血圧あるいは不整脈などの患者や高齢者にとって安全性の確保が必須である。しかし、このような安全性を十分に考慮した温熱治療用のサウナ装置も未だ提供されていないのが現状である。 【0006】 本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、サウナ室内に入室した状態のままで所定の温熱治療用の入浴パターンに従ったサウナ浴を実施できるようにして、患者や高齢者への余分な負担を極力軽減して温熱治療効果を十分に上げることができ、しかも、安全性を十分に確保した温熱治療用サウナ装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係る温熱治療用サウナ装置は、熱雰囲気を保持するサウナ室を有し、このサウナ室には吸排気用のファンおよび室内の室内温度を検出する室内温度検出センサが共に設けられ、また、サウナ室の内壁の所要箇所には遠赤外線を放射する面状ヒータが設けられている。さらに、シーケンス制御用のコントローラを備えている。このコントローラは、温熱治療モードが設定された場合には、これに応じてサウナ室内の室内温度および時間が予め規定された所定の温熱治療用の入浴パターンとなるように、前記室内温度検出センサの検出出力に基づいて前記ファンおよび前記面状ヒータの制御を行うものであることを特徴としている。 【0008】 請求項2に記載の発明に係る温熱治療用サウナ装置は、請求項1に記載の発明の構成において、前記入浴パターンは、入浴者の深部体温を上昇させるに必要な所定の加温温度Haに所定の加温時間Taの間保持する加温状態と、前記加温温度Haよりも低い保温温度Hbに所定の保温時間Tbの間保持する保温状態とを組み合わせた設定であることを特徴としている。 【0009】 請求項3に記載の発明に係る温熱治療用サウナ装置は、請求項1または請求項2に記載の発明の構成において、前記加温状態は加温温度Haが略60℃で加温時間Taが略15分、前記保温状態は保温温度Hbが略40〜45℃で保温時間Hbが略20〜30分、であることを特徴としている。 【0010】 請求項4に記載の発明に係る温熱治療用サウナ装置は、請求項2または請求項3に記載の発明の構成において、前記サウナ室には温熱治療経過の報知ブザー等の報知手段が設けられる一方、前記コントローラは前記加温温度Haの到達時、保温温度Hbの到達時、および保温時間Tbの経過時にそれぞれ報知ブザー等の報知手段を起動するものであることを特徴としている。 【0011】 請求項5に記載の発明に係る温熱治療用サウナ装置は、請求項1ないし請求項4の何れかに記載の発明の構成において、前記サウナ室の室内外に夫々マイクとスピーカとがそれぞれ配置され、室内外の何れからも会話ができるようになっていることを特徴としている。 【0012】 請求項6に記載の発明に係る温熱治療用サウナ装置は、前記サウナ室には、点滴中の患者が点滴管を取り外すことなくサウナ室内でも点滴が受けられるよう点滴管につながれる点滴ラインを室外から室内に送り込むための間隙が出入口扉と出入口フレームとの間に設けられてなることを特徴としている。 【発明の効果】 【0013】 請求項1に記載の発明に係る温熱治療用サウナ装置は、サウナ室内に一度入室すれば、コントローラの自動制御によってサウナ室内にそのまま居ながら所定の温熱治療用の入浴パターンに従ったサウナ浴を実施することができ、温熱治療効果を十分に発現することが可能になる。 【0014】 特に、請求項2に記載の発明のように、入浴パターンを、入浴者の深部体温を上昇させるに必要な所定の加温温度Haに所定の加温時間Taの間保持する加温状態と、前記加温温度Haよりも低い保温温度Hbに所定の保温時間Tbの間保持する保温状態とを組み合わせた設定にしておけば、従来のように加温状態が経過した後にサウナ室から出てから毛布に包まって保温状態を維持するなどの手間が不要となり、患者や高齢者あるいは身体障害者にかかる負担を極力軽減できるので都合が良い。 【0015】 さらに、請求項3に記載の発明のように、温熱治療用の入浴パターンとして、室内温度を略60℃で略15分間保持する加温状態と、これに続いて、略40〜45℃で略20〜30分間保持する保温状態とを組み合わせた設定である場合には、過去の治療実績を踏まえたより一層適切な温熱治療効果を上げることが可能になる。 【0016】 また、請求項4に記載の発明に係る温熱治療用サウナ装置は、加温温度Haに到達時、保温温度Hbに到達時、および保温時間Tbの経過時にそれぞれ報知ブザー等の報知手段によって知らせるようになっているので、入浴者は温熱治療途中の経過状態を十分に認識することができる。このため、温熱治療の途中でサウナ室から不意に外に出てしまって治療が中断するといった不具合発生を防ぐことができる。 【0017】 さらに、請求項5に記載の発明に係る温熱治療用サウナ装置は、室内外に夫々マイクとスピーカが配置されているので、温熱治療中、入浴者が身体の不調を感じたときには、前扉を開けたり、大声を出したりしなくても、マイクとスピーカを通じて室内外部の者が相互に意思の伝達が可能であるから、十分な安全性を確保することができる。 【0018】 また、請求項6に記載の発明に係る温熱治療用サウナ装置は、前記サウナ室には、点滴中の患者が点滴管を取り外すことなくサウナ室内でも点滴が受けられるよう点滴管につながれる点滴ラインを室外から室内に送り込むための間隙が出入口扉と出入口フレームとの間に設けられてなるため、点滴中の重症患者でもサウナ室内で点滴を続けながら温熱治療を受けることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0019】 図1は本発明の実施の形態における温熱治療用サウナ装置の前扉を開いた状態の全体を示す正面図、図2は同装置の背面図、図3は同装置の左方側面断面図、図4は同装置の平面断面図、図5は椅子を取り出して示す側面図、図6は操作パネルの正面図である。 【0020】 この実施の形態の温熱治療用サウナ装置1は、乾熱雰囲気を保持するためのサウナ室2を有する。このサウナ室2の室内は、箱型のサウナ室本体3と、このサウナ室本体3の前方側に設けられた出入口5を開閉する前扉6とを備えており、室内は人間一人がゆっくりと入れる程度の大きさが確保されている。 【0021】 そして、前扉6にはサウナ室2の内部の状況を確認できるようにガラス等を嵌め込んだ観察窓7が設けられる一方、サウナ室本体3の内部には、肘掛け付きの木製の椅子8が着脱可能に設けられており、この椅子8には、入浴者の着座状態を検出する着座スイッチ9(図4)が取り付けられている。 【0022】 また、前扉6の遊端部には遊端側が開放した切欠状の間隙13が設けられる。この間隙13は、点滴中の患者が点滴管を取り外すことなくサウナ室2内でも点滴が受けられるよう点滴管につながれる点滴チューブ等の点滴ラインを室外から室内に導入するためのもので、図面のように前扉6の遊端縁の一部を切り欠いて形成しているが、この間隙13はサウナ室本体3の出入口フレームに設けても、両者間に設けられてもよく、いずれにせよ患者の点滴管につながれ点滴中のまま前扉6を開いてサウナ室2内に入室しても点滴管につながれる点滴チューブ等の点滴ラインが室外から室内に導入することができる間隙であればよい。 【0023】 このように出入口扉と出入口フレームとの間に点滴ライン導入用間隙13を設けることによって、点滴中の重症患者でもサウナ室内で点滴を続けながら温熱治療を受けることができ、その効果を一層上げることができる。 【0024】 また、サウナ室2の内部の所定箇所には面状ヒータ11が配置されている。すなわち、面状ヒータ11は、サウナ室2の内部ができるだけ均一な温度分布となるように、サウナ室本体3の奥側の壁面に2箇所、左右の各壁面にそれぞれ2箇所、床面に1箇所、前扉6の内側に2箇所、椅子8の着座部分の下に1箇所の計10箇所にそれぞれ所定の寸法をもって配設されている。なお、椅子8の着座部の下に設置されている面状ヒータ11は、図示しないコンセント等を介して電源ケーブルに接続される。 【0025】 各々の面状ヒータ11は、例えば、火傷防止用のネットおよび布材、面状発熱体、熱反射用のアルミニュウム箔、ならびに断熱板が順次積層されており、これらが額縁状のフレームに組み込まれて構成されている。上記の面状発熱体は、遠赤外線を放射するもので、例えば、絶縁基板に炭素粉末とポリエチレン等の結合材を混合したものを塗布して所要の電気抵抗を有する抵抗膜を形成し、全長にわたって導線を取り付け、表面に電気不良導体の耐熱防水膜を被着して構成されており、その構造自体は周知のものである。 【0026】 サウナ室本体3の天井部分には仕切板12が設けられ、この仕切板12で区切られた設置空間には、コントローラ14やリモコン受信機15などが配置されている。なお、16,17は設置空間13を外部と連通する通気口である。また、仕切板12の下面には室内灯18および排気用のファン19が取り付けられる一方、サウナ室本体3の床には吸気用のファン20が設けられている。 【0027】 また、サウナ室本体3の一つの側壁の内側には操作パネル23が設けられている。そして、この操作パネル23には、図6に示すように、電源スイッチ24、電源ランプ25、サウナ浴の入浴経過時間を表示する液晶パネル等からなる時間表示器26、サウナ室2内の設定温度を表示する複数のLEDからなる温度表示器27、室内温度を検出する室内温度検出センサ28、温熱治療を除く通常のサウナ浴を実施する際に室内の設定温度を上げ下げするための昇温スイッチ29および降温スイッチ30、および温熱治療モードを設定する温熱治療モード設定スイッチ31などが配置されている。 【0028】 一方、サウナ室本体3の操作パネル23に近接した位置には、マイク34と非常停止ボタン35が配置される一方、サウナ室2の室外の所定箇所には入浴者のマイク34の声を拡声するスピーカ36や、非常呼出ボタン35に応じて警報を発する警報ブザー37が配置されている。また図示しないが、サウナ室2の内部の所定箇所にもスピーカを配置し、サウナ室2の室外の所定箇所にもマイクを配置している。 【0029】 このように、この実施の形態では、室内外に夫々マイク34とスピーカ36が配置されているので、温熱治療中、入浴者が身体の不調を感じたときには、前扉6を開けたり、大声を出したりしなくても、マイク34とスピーカ36とを通じて室内外部の者に相互に通話することができる。さらに、非常呼出ボタン35を押せば、これに応じてコントローラ14を介して警報ブザー37により警報が発せられるので、異常発生に対して迅速に対応することができ、十分な安全性が確保されている。 【0030】 図7はコントローラ14およびこれに付属する各種機器の全体構成を示すブロック図である。 同図において、コントローラ14は、マイクロコンピュータ等で構成されるもので、所定の制御プログラムをインストールすることによりこの装置全体の制御を行う。特に、この実施の形態において、コントローラ14は、操作パネル23の温熱治療モード設定スイッチ31や後述のリモコン送信機49によって温熱治療モードが設定された場合には、これに応じてサウナ室2内の室内温度および時間が予め規定された所定の温熱治療用の入浴パターンとなるように、室内温度検出センサ28の検出出力に基づいて吸気用、排気用の各ファン19,20および面状ヒータ11の制御を行うようになっている。この温熱治療を行う場合のコントローラ14の制御動作については後でさらに詳述する。 【0031】 41は温熱治療の経過報知用の報知ブザーで、コントローラ14に近接して設けられている。42は時刻計時用のタイマで、このタイマ42は着脱スイッチ9により入浴者が椅子8に着座したことが検出されたのに応じて計時を開始するようになっている。43はコントローラ14からの指令に基づいて上述した時間表示器26や温度表示器27の表示制御を行う表示制御ユニットである。 【0032】 44は室内温度が所望の値になるように面状ヒータ11への供給電力を制御するためのヒータ給電制御ユニットで、例えば複数のリレー回路を組み合わせて構成されている。45は安全性確保のために面状ヒータ11の温度を検出するサーミスタ等からなる面状ヒータ温度検出センサ、46は商用の交流電源の電源ラインの途中に設けられたブレーカ、47は商用交流電力を直流電力に変換する直流化電源回路、48は電源投入に応じてコントローラ14をリセットするリセット回路、49はリモコン受信機15に対して温熱治療モードの設定信号を送信するリモコン送信機である。なお、その他の機器については前述した通りであるので説明は省略する。 【0033】 次に、温熱治療を行う場合のコントローラ14の制御動作について、図8に示すタイムチャートを参照して説明する。 温熱治療モード設定スイッチ31、あるいはリモコン送信機49によって温熱治療モードが設定された場合には(図8の時刻t0)、これに応じて、コントローラ14は室内温度検出センサ28の検出出力に基づいて、サウナ室2内の室内温度が加温温度Ha(この例では60℃)になるようにヒータ給電制御ユニット44を介して面状ヒータ11を加熱制御する。その場合、室内温度が加温温度Haに到達するまでは、室内灯18は消灯した状態に保たれている。 【0034】 そして、コントローラ14は室内温度が加温温度Haに到達すると室内灯18を点灯する。次いで、椅子8に入浴者が着座して着座スイッチ9がオンすると(図8の時刻t2)、これに応じてコントローラ14はタイマ42を起動するとともに、この加温温度Haの下で一定の加温時間Ta(この例では15分)が経過するまでこの加温状態を保持する。これにより、入浴者の深部体温を1.0〜1.2℃程度上昇させることができる。 【0035】 上記の加温時間Taが経過するとタイマ42がタイムアップするので、これに応じてコントローラ14は、吸気用および排気用の両ファン19,20を駆動してサウナ室2の室内を吸排気して室内温度を低下させる。 【0036】 引き続いて、コントローラ14は、室内温度検出センサ28の検出出力に基づいて、室内温度が保温温度Hb(この例では40℃)に到達したと判断した場合には、両ファン19,20の動作を停止するとともに、タイマ42を再度起動し、さらに、この保温温度Hbの下で一定の保温時間Tb(この例では30分)が経過するまでこの保温状態を保持する。 【0037】 そして、保温時間Tbが経過するとタイマ42がタイムアップするので、これに応じてコントローラ14は、面状ヒータ11への通電を停止する。 【0038】 また、コントローラ14は上記のシーケンス制御に連係して、室内温度検出センサ28の検出出力およびタイマ42の計時時刻に基づいて、室内温度が加温温度Haに到達時(図8の時刻t1)、保温温度Hbに到達時(図8の時刻t3)、および保温時間Tbの経過時(図8の時刻t4)にそれぞれ報知ブザー41を起動する。このようにすれば、入浴者は温熱治療途中の経過状態を十分に認識することができるので、温熱治療を受けている途中でサウナ室2から不意に外に出てしまって治療が中断するといった不具合発生を防ぐことができる。 【0039】 なお、適切な温熱治療効果を発揮するには、入浴パターンとして、上記のように加温温度Haが60℃、加温時間Taが15分、保温温度Hbが40〜45℃、保温時間Tbが20〜30分であることが過去の治療実績を踏まえた上で一番望ましいが、これらの値は画一的に決まるものではなく、疾患者等の入浴者の状況に応じて温度Ha,Hbや時間Ta,Tbを適宜変更し得るものである。 【0040】 このように、この実施の形態における温熱治療用サウナ装置1は、サウナ室2内に一度入室すれば、コントローラ14の自動制御によってサウナ室2内にそのまま居ながら所定の温熱治療用の入浴パターンに従ったサウナ浴を実施することができるので、所期の温熱治療効果を発現させることが可能になる。また、この実施の形態では、入浴パターンを加温状態と保温状態とを一連に組み合わせた設定にしているので、従来のように加温状態が経過すると、サウナ室2から出て毛布に包まって保温を行うなどの手間が不要となり、疾患者や高齢者に加わる負担を軽減できるので都合が良い。 【0041】 上記の実施の形態に対して、次のような変形例や応用例を考えることができる。 (1) この実施の形態では、温熱治療用の入浴パターンの加温温度Ha、保温温度Hb、加温時間Ta、保温時間Tbはそれぞれ予め設定された一定値になるようにしているが、別途調整スイッチを設けることで、これらの値Ha,Hb,Ta,Tbをその都度可変できるようにすることも可能である。 (2) サウナ室2内にオゾン発生器を設置し、入浴者が不在のときにオゾンによって自動消臭や殺菌を行うようにしてもよい。このオゾン発生器を使用すれば、残り香が気にならず、清潔感を保てるので都合がよい。 (3) 身体障害者や高齢者の利用を考慮して、サウナ室2の室内の左右両側面と背面側にそれぞれ手摺りを取り付けて椅子8への立ち座り動作を容易に行えるようにすることも可能である。 (4) 椅子8を着脱自在に設けるとともに、サウナ室2内の床に簀の子状の床板をスライド可能に設置し、必要に応じて椅子8を取り外した後に、床板を出入口5から外部に引き出して段差の無い状態にすることにより、車椅子のままサウナ室2内に出入りできるようにすることも可能である。 (5) 椅子8の片側に収納式のテーブルを設け、必要性に応じてテーブルを引き出して使用できるようにしたり、簀の子状の床板に折り畳み式の脚部を取り付け、必要に応じて椅子8の正面にテーブルとして取り出せるようにして利便性を高めることもできる。 (6) サウナ室2内の適宜箇所に二次元式のQR識別コードが付加されたパネルを取り付け、このQR識別コードを例えば携帯電話のカメラで撮影してインターネットの専用のホームヘージにアクセスすることで温熱治療に関する情報を自由に入手できるようにすることも可能である。 (7) 温熱治療を受ける疾患者の病状に応じて、サウナ室2の側壁には酸素吸入用のパイプ挿入孔を予め確保しておくこともできる。 (8) さらに、本発明は、上記の実施の形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜応用を加えることが可能である。 【図面の簡単な説明】 【0042】 【図1】本発明の実施の形態における温熱治療用サウナ装置の前扉を開いた状態の全体を示す正面図である。 【図2】同装置の背面図である。 【図3】同装置の左方側面断面図である。 【図4】同装置の平面断面図である。 【図5】同装置に設置される椅子を取り出して示す側面図である。 【図6】同装置のサウナ室内に設けられる操作パネルの正面図である。 【図7】同装置のコントローラおよびこれに付属する各種機器の全体構成を示すブロック図である。 【図8】温熱治療用の入浴パターンを示すタイムチャートである。 【符号の説明】 【0043】 1 温熱治療用サウナ装置 2 サウナ室 8 椅子 9 着座スイッチ 11 面状ヒータ 13 点滴ライン導入用間隙 14 コントローラ 19 排気用のファン 20 吸気用のファン 23 操作パネル 28 室内温度検出センサ 31 温熱治療モード設定スイッチ 34 マイク 35 非常呼出ボタン 36 スピーカ 37 警報ブザー 41 報知ブザー Ha 加温温度 Hb 保温温度 Ta 加温時間 Tb 保温時間
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【出願人】 |
【識別番号】504433928 【氏名又は名称】鄭 玲妃
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【出願日】 |
平成16年11月24日(2004.11.24) |
【代理人】 |
【識別番号】100069578 【弁理士】 【氏名又は名称】藤川 忠司
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【公開番号】 |
特開2006−141856(P2006−141856A) |
【公開日】 |
平成18年6月8日(2006.6.8) |
【出願番号】 |
特願2004−338846(P2004−338846) |
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