西松建設がダミーの政治団体を通じて、民主党の小沢代表の資金管理団体「陸山会」に多額の違法献金をしていたとされる事件で、同社がダミー団体を作ったのは、政治資金規正法が定めた企業献金の上限額を超える資金を政治家側に提供するためだった疑いが強いことが分かった。東京地検特捜部もこうした目的について把握。西松建設が社名を出さずに政治家側に迂回(うかい)献金していた動機の一つとみている模様だ。
ダミー団体から小沢代表側への献金は、二つあるダミー団体のうちの一つが設立された95年から始まっていることも明らかになっており、特捜部は、小沢代表側が当初から西松建設がダミー団体を設立した目的まで把握していた可能性もあるとみて調べを進めている。
同社OBが代表を務めていた政治団体は「新政治問題研究会」(95年設立、06年解散)と「未来産業研究会」(98年設立、06年解散)。
政治資金規正法は、企業が1年間に出せる献金総額の上限を設けている。特定の企業や個人が巨額の資金提供で政策決定や選挙運動をゆがめるのを防ぐためで、西松建設(資本金約235億円)の場合は4500万円となっている。
関係者によると、西松建設は、東北地方のダムなどの大規模工事の受注を目指して95年に新政治問題研究会を設立。その年の前後から小沢代表側に献金を始めた。ところが、その前から国会議員らや政党に多額の献金をしていたため、小沢代表側への献金が加わると、企業献金としての上限を超えてしまうことになり、ダミー団体の設立に至ったとされる。発案者は、前社長の国沢幹雄容疑者(70)=政治資金規正法違反容疑で逮捕=だったという。
その後の法改正で、00年から政党側以外への企業献金が全面的に禁止されると、西松建設はダミー団体を通じた献金の割合を増やすようになったという。