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<熊本・体罰賠償訴訟>「体罰」最高裁否定 現場に判断材料提示 許されぬ拡大解釈

4月28日22時21分配信 毎日新聞

 教員による小学児童への懲戒行為を体罰と認めなかった28日の最高裁判決は、教師の実力行使が許される場合があることを最高裁として初めて示した。適切な戒めなのか、禁じられた体罰なのか見極めが難しい中、教育現場に一つの判断材料を示したと言える。

 体罰は元々「熱心な指導の延長」などとして黙認されてきた。しかし、教諭に頭部を殴られた8歳の男児が死亡したり(87年神奈川県)、頭などを手で突かれコンクリート柱に激突した16歳の女子高生が死亡する事件(95年福岡県)があった。その都度体罰への批判が高まり、体罰で処分を受けた教職員数は87年度に初めて300人を超え、03年度には最多の494人に上った。

 こうした中、90年代後半から児童生徒が勝手に席を立つなどして授業が成立しない「学級崩壊」が問題化。小中高生の暴力行為は07年度に過去最悪の5万2000件に達した。その背景の一つとして「懲戒がどこまで認められるか機械的に判定できず過度の萎縮(いしゅく)を招いている」との指摘が出ていた。

 判決は体罰について「目的、態様、継続時間などから判断する」と述べた。体罰を恐れるあまり指導をためらってきた現場には朗報ではあるが、判決は今回の行為を「教員が立腹しており、やや穏当を欠く」とくぎを刺している。教育の名に値しない暴力が認められないことは言うまでもなく、判決の拡大解釈は許されない。【銭場裕司】

最終更新:4月28日22時21分

毎日新聞

 

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