自殺者の遺族の支援活動などをしているNPO法人「松山自殺防止センター」(松山市千舟町)が29日、開設7周年を迎える。遺族を対象にして定期的に開く集いを通じ、悩みの聞き役になってきた。自殺を思いとどまらせることなどを目的に、年間1500件を超える電話相談もしている。センター事務局長の野瀬さゆりさん(58)は「1人でも多くの遺族の心が楽になるお手伝いをしたい」と話している。県警の調べによると、昨年の県内の自殺者数は418人で、交通事故死者82人の約5倍。最近は全国で年間3万人以上が自殺している。
センターは、個人を中心とした寄付で運営費を賄い現在、40歳代を中心にした22人の会員がいる。全員がボランティアで、その中には身近な人を自殺で亡くし、同じ気持ちを味あわせたくないとの思いから参加している人もいる。
毎月第1土曜には、センターで会員と遺族が集う会も開催している。毎回数人の遺族が参加し、悲しみや感情を語れずに苦しんでいる遺族が、気持ちを分かち合う場になっているという。
また会員は専門研修を受講したうえ、毎週月、水、金曜の午後8~11時に電話相談(089・913・9090)に応じている。不況を反映し、経済的な悩みや健康への不安が多く寄せられるという。野瀬さんは「遺族には、当事者の悲しみを、本当に分かってもらえる安心感があると言われる。殻に閉じこもらないで、ぜひ電話してみてください」と呼び掛けている。問い合わせは平日の午前10時~午後5時に同センター(089・941・1890)。【村田拓也】
毎日新聞 2009年4月29日 地方版