県内から参加する佐藤悦子さん(右)と浜崎千鶴子さん。中央は佐藤さんの次男隆陸さんのパネル
「生きたくても生きられなかった人がいたことを知ってほしい」―。事故や犯罪、いじめなどによって命を奪われた犠牲者の等身大のパネルを展示し、命の大切さを訴える「生命(いのち)のメッセージ展in大分」(大分合同新聞後援)が二十五、二十六の両日、県庁新館十四階で開催される。県内からも、交通事故で若くして亡くなった男女二人のパネルが“無言の語り部”として、命の重みを伝える。
メッセージ展は、無免許・飲酒運転の車にひかれて長男を亡くした造形作家の鈴木共子さん(神奈川県座間市)が呼び掛け、二〇〇一年に始まった。県内では初めての開催。
展示する被害者のパネルは、人形(ひとがた)の白いボード。生前に履いていた靴を置き、各パネルには遺族のメッセージや生前の経歴などを紹介する。今回は百三十五枚が並ぶ予定。
県内からは、▽〇三年に鹿児島県で、飲酒ひき逃げ事故で亡くなった国東市の佐藤隆陸(たかみち)さん=当時(24)=▽〇七年、宇佐市で下校中に事故に遭った浜崎奈那さん=当時(15)=のパネルが、会場の入り口付近に設置される。
佐藤さんの母悦子さん(57)は「一つの命にどれだけの人がかかわっているかを知り、一瞬一瞬を懸命に生きることの大切さを感じてほしい」。浜崎さんの母千鶴子さん(53)は「人は古い記憶から忘れていくが、子どものことは忘れないでほしい」と、思いを込める。
二人は「事故や事件の犠牲者の遺族が、どれほど苦しいか知ってほしい。遺族でなければ分からない苦しみもある。メッセージ展を通して、ほかの犠牲者の遺族に一人ではないと伝えたい」と多くの来場を呼び掛けている。
初日は午前十時から午後七時まで。最終日は午前十時から午後四時までで、午前十一時から鈴木さんと浜崎さんの父満治さんが講演する。問い合わせは、大分被害者支援センター(TEL097・532・7776)。
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