名古屋市長選は12日の告示を前に、各陣営の選挙スタイルが固まってきた。前民主党衆院議員の河村たかし氏(60)は団体の支援取り付けが難航し、個人戦に打って出る構え。一方、前中京大教授の細川昌彦氏(54)は市民派を標ぼうしながら、自民党支持団体の推薦を順調に獲得するなど組織選挙に傾斜している。愛知県商工団体連合会長の太田義郎氏(65)も共産党が実動部隊の組織選挙だ。
河村氏は自転車街宣に時間を割き、室内での個人演説会は原則行わない作戦で臨む。「庶民の輪に飛び込むのは自転車が一番。演説会は金もかかる」という理由からで、既に民主県連幹部に「選挙は自分のところだけでやる」と伝えた。
こうした手法は、河村氏支持で走り始めた県議や市議との新たな摩擦を生み、4日の選挙対策会議では古川元久衆院議員が「精神衛生上、県連と河村事務所は別々に戦った方がよいのではないか」と提案。県連内では「勝手にやってくれ」(幹部)と投げやりな空気も広がり出した。
細川氏は対照的だ。支持を受ける自民、公明と物理的距離はなお置いているものの、自民市議団幹部によると「今も表向きは市民派でやろうとしているが、党の会合では『お願いします』と頼んでくる」。市議団としても「市長選の結果が衆院選につながると位置付け、全面支援を確認した」という。細川氏自身、自民市議らの後援会の会合に積極的に顔を出し始めた。一方、太田氏は各区の共産党支援団体が主催するミニ集会をこまめに歩くスタイルを続けている。【岡崎大輔、丸山進】
毎日新聞 2009年4月9日 中部朝刊