4月26日投票の名古屋市長選を巡り、民主党を支持する「自治労名古屋市労働組合」は同党推薦で出馬する河村たかし衆院議員(60)を推薦せず、自主投票とすることを決めた。市職員の給料削減など河村氏が掲げる政策への反発からで、同労組が市長選で自主投票を選択するのは初めてとなる。【岡崎大輔】
自治労名古屋によると、同労組には約4400人の市職員が加入。今回の市長選でも、民主党推薦候補の支援を前提に、同党の名古屋市議団と政策に関する協議を続けてきた。
だが、河村氏が「人件費の総額10%削減」を訴えていることに組合員が反発。「税金を払う方(市民)が地獄なのに税金で食っている方(市職員や議員)は極楽」などと繰り返す同氏に対し、「自分たちを家来としか見ず給料を下げると豪語している。河村氏を推すなら組合を辞める」という声すら出ていた。
こうした実情を踏まえ、同労組は3月14日の定期大会で自主投票の方針を決定した。上野勉委員長は「話し合いができる人なら(推薦要請に)応じるつもりだったが、これまでの河村氏の発言を聞いていると、政治姿勢に疑問を持たざるを得ない」と話している。
市職員のもう一つの組合「市職労」(組合員約8000人)は、共産党系市民団体が推薦する愛知県商工団体連合会会長、太田義郎氏(65)の推薦を決めている。太田陣営は市職員の削減案には踏み込まない方針だ。
市のリストラ策では、自民、公明両党の県組織が支持する前中京大教授の細川昌彦氏(54)も職員削減を主張、同市幹部は「河村、細川両氏は初めに削減ありきで、削減による市民サービス低下をどう考えているのか」と疑問を呈している。
毎日新聞 2009年4月1日 中部朝刊