4月の名古屋市長選を巡り、民主党の河村たかし衆院議員(60)=愛知1区=は29日、国会内で小沢一郎代表と会い、出馬の意思を直接伝えた。小沢氏は党愛知県連の了承を得るよう求めたが、名古屋市議団は同日、議員総会を開いて元愛知県弁護士会副会長の伊藤邦彦弁護士(55)の推薦を再確認するなど、地元から支持を得られる状況にはない。
河村氏は代表質問が行われている衆院本会議場を退席し、小沢氏と会った。河村氏によると、小沢氏に「(市長選を)ぜひともやりたい。(党推薦を)お願いしたい」と申し出たところ、「県連の関係者に一度お願いして回って来い」と指示されたという。
ただ、一度決めた県連の伊藤氏推薦を覆すのは容易ではない。市議団はこの日の議員総会に伊藤氏を招き、市長選に臨む姿勢や基本政策を議論。市議団内部の引き締めとともに、擁立に向け既成事実を積み上げている。市議団幹部は「決定は覆らない」と明言した。
一方、迷走が長引けば秋までに実施される総選挙に重大な影響が出かねないとの懸念から、落とし所を探る空気も生まれ始めた。
県議団長の榊原康正県議は「協調性のない河村さんには反省を求めたいが、市議団の伊藤さん擁立も拙速だった。2人の政策を聞くなどして早く結論を得るべきだ」と指摘。別の県議団幹部は鳩山由紀夫幹事長が言及した世論調査ではなく「党員による予備選で決着したらいい。民主党の内紛は早く終わらせるべきだ」と話した。【影山哲也、丸山進】
毎日新聞 2009年1月30日 2時10分(最終更新 1月30日 2時12分)