みなさん、こんにちは♪
愛知県豊明市に開業しました、動物病院「四季の森どうぶつクリニック」です。
前回の記事で、我が子の去勢手術を書かせていただきました。
飼主さまの色々なご意見を聞かせていただき、本当にありがとうございました。
今まで数え切れないほどの不妊手術(去勢&避妊)を行い、その何倍もの回数だけ
飼主さまに「不妊手術の意味」を説いてきました。
価値観はさまざまで、色々な意見がありました。
今回も、「なるほど、こう考える飼主様もいらっしゃるのだな〜」と改めて感じることもありました。
今日は、僕の「1人の飼主として、1人の獣医師として、去勢手術をどう考えるか」について、
長くなるかもしれませんが、自分らしく、情熱的に、力をいれて、書いてみます♪
もちろん価値観に正しい、間違っているなんてありません。
答えなんてないです。
ですが、安易に答えをださず、どこまで考えてその結論をだしているのか、その子の一生を左右
するかもしれない分岐点を、なんとなく過ごして、いつの日か後悔することがないように、
自分のではない命を背負った責任として、考えて欲しい・・・というのが僕の意見です。
去勢手術は、病気予防のために行うのが僕の考えです。
よく「自然のままに」とおっしゃられる飼主さまもいます。
ところで、「自然のままに」の「自然」って何のことでしょうか?
きっと「オスに生まれたのだから、それを人間の都合でとるのはかわいそう」という意味が
最も多いのではないかな?と過去の経験から思います。
僕は「ここから先のお話は、あくまで僕個人の価値観ですので、頭の片隅にでも残すつもりで
聞いていただけたらと思います。」、と次のように答えます。
「最低でも年1回は、この子に交配のチャンスを与えてください。その機会を飼主さまの
手で奪っているのもかわいそうではありませんか?」
さらに続けて言います。
「人間は、生物として繁殖の機会を得る事ができます。もちろん精巣があることで、僕も含めて
癌になったり、病気になる危険性は常にもっています。ですが、それは繁殖の機会を持つために
避け切れない、必ず背負わなければいけないことだと思います。人は自分の判断で、その責任を
もっています。ですが、わんちゃんはどうでしょうか?わんちゃんは飼主さまを選べません。
そして、その飼主さまの判断で、その繁殖の機会を与えられないまま一生を過ごすことがほとんど
なのが現状です。ですが、人と同じように、わんちゃんにも男の子故の病気があり、この子も
そのリスクを背負って生きてます。それはわんちゃんにとってはどうでしょうか?繁殖の機会もない
のに、病気のリスクのみを背負っていることは・・・・もし僕が、一生女性とのお付き合いを禁じら
れている状況であれば、この精巣は僕にとって必要なものではありません。病気のリスクになるだけ
でなく、ストレスにすらなるでしょう。
飼主さまの手で、この子が持って生まれた『男の子の証、欲求、本能』を利用・使用する機会を奪う
のであれば、せめてこの子が飼主さまの元でより長く、出来る限り健康で、幸せに暮らせるように
この子の病気予防を考えていただけませんか?繁殖の機会を得られないまま、もし病気になり、
手術で痛い想いをしたり、入院生活で大好きな飼主さまの元を離れなければいけないストレスを
耐えなければならなかったり、万が一でも病気で亡くなるようなことは、その子にとって不幸だと、
僕は思うんです。きっとこの子は『自分の遺伝子をより多く後世に残したい』という本能より、
『自分の大好きな飼主さまとずっと一緒にいたい』って考えている・・・って思いませんか?
少なくとも、僕は自分の飼っている子は『僕(四季の森どうぶつクリニック獣医師)とずっと
一緒に生きていたい』って思っていると思うんです。」
ときに、話の流れによっては次のような話をさせていただくこともあります。
「今まで去勢手術を受けてきた飼主さまに、後々『手術して後悔してる』といわれたことは
一度たりともありません。ですが、去勢手術を受けず、不幸にも病気になって『やっぱり
あのとき先生から言われたように、手術しておけばよかった。そうすればこの子にこんな苦しい
思いをさせずにすんだのに・・・』といわれたことは数え切れないほどあります。
そしてその飼主さまが、次に新しい子犬を飼い始めると、必ずといっていいほど手術を受けるん
ですね。いいと思いますけど、最初の子が不憫でしかたがないんです。
だから僕は飼主さまに同じような思いをしてほしくない、後悔させるようなことはしたくない。
たら、れば、の話をして、起きてもいないことを想定して今考えるのは難しいのは承知ですが、
将来後悔しない選択支をえらんでいただければ、たとえそれが手術をしなくても、僕はそれを
心から尊重しますよ。」
わんこを飼う、この価値観は人それぞれなので、色んな意見があると思います。
どんなスタイルで飼うのも自由ですが、わんこの命を背負っていることだけは忘れてほしくありません。
安易な考えで結論をださないように、僕は獣医師として色々なお話をするようにしています。
決して、手術が好きだからではないですよ。
正直好きではない、止むを得ずやります。
飼主さまのためになる、この子のためになる、と思ってやってます。
「高い」と言われることもありますが、不妊手術ほど安い技術なんてそうないと思います。
全身麻酔のリスクを承知で、健康な子に麻酔をかけることほど緊張することはありません。
100%安全ではないのに、100%を求められる手術、それが不妊手術です。
ここまで読んでいただけて、非常にうれしく思います。
賛否両論あると思いますが、今までも多くの飼主さまに伝えてきた自分の言葉です。
反論もあると思いますが、その考えの違いは言葉で解決できるものではと思います。
獣医師に対する不信感もあるのではないかな・・・・なんて思いますが、それは自らの手で
信頼を得ていくしかないと思います。
この記事は今きていただいている方にみてもらって、しばらくしたら削除しますね。
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