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豚インフル、米国内で初の死者 訪米中のメキシコ人幼児

2009年4月30日0時58分

写真:米ホワイトハウスで29日、豚インフルエンザの拡大に憂慮を示すオバマ米大統領。右はバイデン副大統領=AP米ホワイトハウスで29日、豚インフルエンザの拡大に憂慮を示すオバマ米大統領。右はバイデン副大統領=AP

 【ワシントン=勝田敏彦、ジュネーブ=南島信也】米テキサス州保健局は29日、同州で、新型の豚インフルエンザに感染した1歳10カ月のメキシコ人男児が死亡したと発表した。米国内では初の死者で、メキシコ以外で死亡が確認されたのは初めて。ドイツとオーストリア、中米コスタリカでも感染を確認。世界保健機関(WHO)は30日朝(日本時間30日夕)にもジュネーブで3度目の緊急委員会を開く。

 警戒レベルを現在のフェーズ4からフェーズ5へと引き上げることを検討するとみられる。WHOのケイジ・フクダ事務局長補は29日の定例会見で警戒レベルについて「フェーズ5に近づきつつある」と述べる一方、「まだそこに至ったというわけではない」とも語った。フェーズ5は世界的大流行(パンデミック)の一歩手前の段階となる。

 同州保健局の発表によると、死亡した男児は4月4日、親族に会うため家族とともにメキシコ市からテキサス州境のメキシコの町マタモロスを訪問。8日に高熱が出て、数日後に国境を越えたテキサス州ブラウンズビルにある病院に入院した。翌日、同州ヒューストン近郊の病院に移送されたが、今週になって死亡した。米疾病対策センター(CDC)が男児の豚インフルエンザ感染を確認した。

 オバマ米大統領は29日、初の死者発生など米国内で感染拡大が続く現状を「深刻な状況」と憂慮。「政府は、ウイルスを抑え込むためにできることをすべてやる。最大限の予防措置を取る時だ」と述べた。CDCは29日、アラバマ、インディアナ、マサチューセッツ、ミシガン、ネバダでの各州で初の感染者が見つかるなどして、全米の感染者は10州で計91人に達したと発表した。男児は初の死亡例として統計に含まれている。

 カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事は28日、同州内の感染拡大を受け非常事態を宣言。オバマ大統領は28日、対策のため15億ドル(約1460億円)の予算を可決するよう連邦議会に求めた。

 被害が最も深刻なメキシコでは28日、感染が疑われる死者が159人に増加した。コルドバ保健相によると、うち感染が確認された死者は7人で、感染の疑いのある人は2498人に増えた。

 一方、WHO緊急委のメンバーで国立感染症研究所の田代真人インフルエンザウイルス研究センター長は28日、会見し、世界各地での二次感染の拡大に懸念を示し、警戒レベルについて「フェーズ5と判断する条件が整ってきている」と述べ、WHOが近く再引き上げを検討する可能性を示唆した。

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