2009年4月29日 21時39分 更新:4月30日 0時3分
【ジュネーブ澤田克己、ワシントン小松健一】米疾病対策センター(CDC)は29日、テキサス州で新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)感染によって1歳11カ月の幼児が死亡したことを明らかにした。米国での死者確認は初めて。幼児はメキシコ人でメキシコからテキサスの親族宅に旅行中だった。一方、世界保健機関(WHO)は29日、専門家による緊急委員会を同日、開催することを決めた。新型インフルエンザの世界的大流行に対する警戒レベルも協議する。
幼児が入院していた同州ヒューストン市の公衆衛生当局者は29日、記者会見した。それによると、米との国境の町マタモロスに住む幼児は、国境のリオグランデ川をはさんで北側にある米テキサス州ブラウンズビルに住む親族宅を家族とともに訪れていた。その後発症し、今月13日にブラウンズビルの病院に入院。翌14日にヒューストンに転院。27日に死亡した。現在までのところ、幼児に接触した人間や家族に発症した人はいないという。
CDCのベッサー所長代行は「今後さらに重症者や死者が出ることが予想される」と語った。オバマ大統領も声明を発表し「事態は深刻で最大限の警戒を必要とする」としたうえで「連邦政府が州とともにあらゆる必要な対策を講じる」と述べ、状況に応じ「速やかに学校を閉鎖する計画が必要」と語った。
大統領は28日、ワクチン開発や抗ウイルス薬調達など新型インフルエンザ対策のため15億ドルの補正予算を承認するよう議会に求めた。
一方、世界での感染確認例は29日、初めて100人を超え、123人となり、感染例が確認された国も9カ国に拡大している。WHOの緊急委員会は、こうした感染拡大を分析し、警戒レベルを現在の「フェーズ4」から、「地域単位の感染が2カ国以上で起きており、大流行直前の兆候がある」という「フェーズ5」に引き上げるのかどうかも含めて検討する。
感染者は新たにドイツで3人、オーストリアで1人確認され、計9カ国まで広がった。メキシコでは感染が疑われる死者数は159人に増え、感染の疑いがある患者数が2498人となった。