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【社説】

補正予算 バラマキの是非詰めよ

2009年4月29日

 補正予算案の論戦が始まった。焦点は選挙目当てともされる政府・与党の大盤振る舞い予算の吟味だ。無駄遣いはないか、詰めた議論で対立軸を明確にせよ。それが解散・総選挙の争点になる。

 職業訓練の拡充など追加経済対策を盛り込んだ二〇〇九年度補正予算案は総額十三兆九千二百億円で、過去最大規模だ。財源の多くは国の借金である国債。当初予算と合わせると四十四兆円に上る。

 緊急措置としての財政出動は野党にも容認論があるが、国の借金が一段と増している現状を考えれば、効果薄な分野につぎ込まれていないか、疑問を抱く人は多い。

 二十八日に衆参両院で行われた代表質問は、バラマキ批判を払拭(ふっしょく)したい与党と、与党の野放図さをあぶり出したい民主党の思惑が浮かび上がった。

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は「族議員と官僚の既得権である税金の無駄遣いを繰り返し、膨大な借金で歳出規模を膨らませて、あとは消費税の増税で国民に負担を押し付けるのは無責任だ」と批判。子育て支援や雇用対策など民主の政策は恒久的とし「政府・与党が猿まねした政策はその場しのぎの場当たりだ」とも切り捨てた。他の野党も従来型の公共事業が目立つことなどを問題視した。

 麻生太郎首相は答弁で、国民が政治に望むのは景気対策と雇用対策だ、景気の底割れを防ぎつつ国民の安心を確保し未来の成長力強化につながる分野に重点的に施策を講じた、と繰り返した。

 自民党の保利耕輔政調会長は分かりやすい説明を、と注文をつけたが、首相は「官僚答弁」に流れたきらいは否めない。小学校入学前の子どもを対象に一回限定で支給する手当についても、どこまで効果があるか納得できる答えはなかった。大増税が待ち構えることへの世間の不安感は大きい。

 こうした面が世論調査で補正予算案の低評価につながっている。十数兆円の経済対策をまとめたのに内閣支持率が微増にとどまる現実を直視すべきだ。

 総選挙を前にしながら、これまでは低調な国会審議が続いた印象が強い。小沢一郎代表の秘書が逮捕・起訴されて以降、民主党が国会で精彩を欠いているからだ。

 鳩山氏は代表質問で一連の経緯に触れ「国民に心配をかけている」と頭を下げたが、小沢氏は有権者の理解を得られていない。当面続投すると言った以上、論戦の先頭に立つのが仕事ではないか。

 

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