戦時中に日本に強制連行され、福岡県内の炭鉱などで過酷な労働を強いられたとして、中国人45人が国と三井鉱山(東京)、三菱マテリアル(同)に計約10億円の損害賠償などを求めた「中国人強制連行福岡訴訟」第2陣の控訴審判決が9日、福岡高裁であった。石井宏治裁判長(退官のため森野俊彦裁判長代読)は請求を退けた一審福岡地裁判決を支持、原告の控訴を棄却した。
中国人への戦後補償をめぐる訴訟は全国で相次いでいるが、2007年4月に最高裁が「日中共同声明(1972年)により、中国人個人の賠償請求権は放棄された」との判断を示して以降、原告敗訴が続いている。今回の判決も最高裁の判断を踏襲した。
一審判決は、強制連行を「国と企業による共同不法行為」と認めたが、行為の発生から20年で損害賠償請求権が消滅する「除斥」を適用し、請求を退けた。
控訴審では昨年4月、石井裁判長が「法的責任が認められる旨を示さないまま和解の打診を行うのは異例」と前置きした上で、「救済に向けた何らかの提案があればそれを基に協議を尽くしたい」として、原告、被告の双方に和解所見を提示したが、被告側が応じなかった。
原告弁護団によると、同様の訴訟は全国でほかに長崎訴訟や宮崎訴訟など6件が係争中。
=2009/03/09付 西日本新聞夕刊=