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豚インフルエンザ:メキシコ、国民に危機感薄く マスク5人に1人

 【メキシコ市・庭田学】「この病気は治る」--。豚インフルエンザに感染した疑いで100人以上の死者が出ているメキシコのカルデロン大統領は26日、国民が動揺しないようこう呼びかけた。大統領はマスクの着用や衛生面での留意点を強調し、危機打開への協力を国民に求めた。しかし、実際にマスクを着用する国民は半数にも満たないなど、危機感が乏しいのが実態だ。

 カルデロン大統領は同日の豚インフルエンザ対策の緊急会議で演説。「治癒は可能で、治療薬も十分ある」「25日時点の患者1384人のうち929人が退院している」との前向きな発言をそれぞれ2回繰り返し、「我々はこの流行を制圧することができる」と自信をみせた。

 演説ではまた、あいさつ時に握手やキスをしないことや頻繁な手洗い、マスクの着用など、政府が示す感染予防対策の徹底を改めて国民に呼びかけた。症状が出たらすぐに医療機関にかかることが重要だと強調。「迅速かつ冷静な行動を」と国民に落ち着いた対応を呼びかけた。

 しかし、貧富の格差が大きいメキシコ市内では、子供が路上で物ごいをしながら、地面に落ちたパンを食べている光景も普段どおりに見受けられるなど、衛生面での対策は不十分だ。また、マスク着用者は5人に1人程度にとどまっている。日中は日差しが強く、気温が30度近くになるため、マスクを口に当てず、首に巻いている市民もかなり目立つ。

 26日の日曜日、市内の観光地は普段より人出が少なかったものの、露店がいつも通りに並び、家族連れなどが訪れていた。日本人など外国人観光客はマスクを着用しているケースが多いようだったが、メキシコ人には十分徹底されていない状況だった。

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 ■ことば

 ◇新型インフルエンザ対策のマスク

 日本の厚生労働省の専門家会議は新型インフルエンザ流行時の対策として、繊維を熱などで接着させ布状にした不織布製マスクを推奨している。使い捨てが原則だ。ただ、不織布製の着用でも飛散ウイルスを完全に吸い込まないようにはできないとも指摘している。

毎日新聞 2009年4月28日 東京朝刊

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