太平洋戦争中に七尾市に強制連行され、過酷な港湾労働を強いられたとして、中国人男性と遺族ら計18人が国と七尾海陸運送を相手に、損害賠償などを求めている訴訟の控訴審の第1回弁論が27日、名古屋高裁金沢支部(渡辺修明裁判長)であった。
昨年10月の1審・金沢地裁判決は、最高裁判決(07年)を踏襲し「日中共同声明で中国国民は裁判で賠償請求できなくなった」として請求を棄却。これに対し、原告側はこの日、中国政府が最高裁判決に抗議したことなどを挙げ「中国政府は(同声明で)個人の賠償請求権まで放棄していない」と反論した。
公判のため来日した原告の一人、暢同道さん(84)は「不公平で偏った1審判決を受け入れることはできない」と意見陳述。「国と企業が謝罪し、きちんと賠償するまで闘い続ける」と語った。
国と企業側はいずれも「賠償の責任はない」と請求棄却を求めている。【近藤希実】
毎日新聞 2009年4月28日 地方版