この日の記者会見は以前から予定されており、あくまでも偶然のタイミング。だが草なぎが公然わいせつの現行犯で23日に逮捕(24日に処分保留で釈放)されてから、わずか4日。まるで入れ替わるかのように、新しいキャラクターが地上デジタル放送推進の広告塔として登場した。
会見で民放連が披露したのは「地デジカ」。鹿がモデルだけに草なぎに負けず劣らずの“草食系”キャラだ。
2011年7月24日の地デジ完全移行まで、5月から民放番組やCM出演、全国の各種イベント出席などで地デジ普及PRの先頭に。民放連の広瀬道貞会長(74)は「当分の間草なぎくんはいないが、新しいキャラクターの支援を受けて地デジ普及に拍車をかけたい」と、期待を込めてあいさつした。
会場に駆け付けた鳩山総務相も「彼(草なぎ)がいない分はシカ君に頑張ってもらわないと」。代役は鹿“しか”いないとばかりに、地デジカの着ぐるみの顔をポンポンたたくパフォーマンスで手荒く?歓迎した。
草なぎは総務省の委嘱を受けた推進キャラで、地デジカは民放連制作のキャラ。事件以前の3月ごろから制作作業を進めており、正確には代役ではない。だが絶妙なタイミングだけに、草なぎ不在の穴を埋める期待を一身に背負う形になりそうだ。
草なぎを「最低の人間」と言い放ち、厳しい批判を浴びて発言を撤回した鳩山氏もこの日はゴキゲン。「草なぎクンも立派に大人の反省をして、立ち直ってくれると信じる」と逆に持ち上げた。
さらにスマートな体形の着ぐるみを見て「サイバンインコ(裁判員制度のキャラ)は着られたけど、このシカは着られないな〜」と軽口も。
だが本来、浮かれている場合ではない。地デジ対応テレビの普及率は総務省の1月時点の調査でまだ49.1%。「100年に一度」の不況の中、高価なテレビ購入を強いる地デジ化には怒りと不満が渦巻いており、そのホコ先が国策として地デジ化を推進する政府に集中してもおかしくはない。アナログ停波まで約2年、政府としては地デジカのラストスパートにかけるしかない!?