2009.4.24(その1)

森田実の言わねばならぬ【362】

平和・自立・調和の日本をつくるために[361]
民主党議員と懇談して――民主党内には「小沢批判者は許さない」という空気がある/「小沢ファシズム」的空気の情勢の動きを憂慮する

「権力崇拝は政治的判断をくもらせる」(ジョージ・オーエル)


 民主党議員にはいろんな人がいる。「黙して語らず派」もいれば「小沢擁護派」もいる。ただ、最近の傾向は小沢擁護派が勢いづいているようにみえる。興奮度を高めているように感ずる。

 4月23日夜、友人に誘われて民主党議員の懇談会に出席した。当日、地方講演の約束があったため、会場に着いたのは夜の8時半頃だった。着席するや、K議員から小沢問題について意見を求められ「代表を辞任すべきだ」と答えたところ、激しい反発を受けた。以下、そのときのやりとりを紹介する。

【K議員】あなたは検察の行為をどう考えるのか。悪いのは検察だ。政権交代の動きを止めようとするとは何事か。あなたはなぜ小沢代表を擁護しないのか。小沢こそ正義だ。あなたには正義はないのか。

【森田】検察当局の政治的弾圧だと百パーセント言い切れるのか。裏付けはあるのか。百パーセント弾圧だと断定できないのに「小沢絶対正義」を主張するのはおかしい。民主党が百パーセント弾圧だという結論を下して検察と戦うというのは間違いだと思う。弾圧とまで断定できないのではないか。西松建設からの2億円献金をどう説明するのか。

【K議員】法的には問題はない。西松問題は自民党が擁護している。検察の弾圧に決まっている。悪いのは検察だ。これと戦おうとしないのは正義がないからだ。

【森田】民主党は、小沢代表が西松建設から2億円の献金を受けていたことを問題ないというのか。まったく正当なものだと考えるのか。政治倫理上も問題ないのか。民主党は小沢代表の巨額な企業献金受け取りを擁護できるのか。

 ここまで話が及んだとき、K議員は席を立った。数名の議員と元議員が残っていたが、「小沢代表は辞任すべきだ」と主張する者はいなかった。ほとんどが小沢氏の企業からの巨額の政治献金について「なんら問題ない」との考えをもっているように感じられた。

 民主党は「小沢一郎党」になってしまったのかもしれない。「悪の検察・正義の小沢」との見方が民主党内で大勢を占めているように見える。ある議員は「選挙のときに小沢代表から資金援助を受けた。それで今の私がある。私は小沢代表を擁護する」と言っているという。

 「国民の常識」と「民主党の常識」との乖離はかなり深刻である。国民の多くは、西松建設の小沢氏への2億円献金に強い疑問を抱いている。国民は民主党に政治倫理を守ることを求めている。

 私は、政治倫理に鈍感になった民主党員が増えていることに深い失望を感じている。政治倫理に鈍感な民主党でいいのか――よく考えてほしいと願う。