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パキスタンがタリバンの台頭で対テロの主戦場に急浮上した理由を探りました。
アフガニスタンに隣接するパキスタンが、武装勢力「タリバン」の台頭で、対テロの主戦場に急浮上した理由を探りました。
4月17日、東京で開かれたパキスタン支援国会合で、パキスタンのザルダリ大統領は「わたしがここに来たのは、皆さまに関心を寄せていただけるようお願いするためです」と述べた。
会合で、各国が約束したパキスタン支援の総額は、およそ5,000億円にのぼる。
しかし、伝えられるのは絶え間ない混乱と緊張で、パキスタンは今、アジアそして超大国さえ揺さぶりつつある。
アメリカのヒラリー国務長官は「武装勢力が主要都市にますます接近しているということは、大きな脅威となっています」と述べた。
4月に入り、パキスタンでは、武装勢力「タリバン」が、首都の北西100kmの地点まで進出し、23日には、一時地方都市を占拠するまでに至った。
タリバンといえば、隣国のアフガニスタンで、現在アメリカを中心としたおよそ6万の兵力に支えられているが、こうしたタリバンや武装勢力の復活によって、苦境に立たされている。
そのタリバンの聖域といわれるのが、実は国境を接するパキスタン北西部のトライバルエリアで、「部族地域」とも呼ばれている。
トライバルエリアは、政府の統治が及ばず、古くから住む複数の部族が独自の支配を続けてきた。
タリバンとは、民族や宗教でつながり、地域は今やその基地になっているといわれる。
パキスタンのタリバン報道官は「ビンラディンが来たいと言っても来られるし、誰が来ても歓迎する」と語った。
アメリカは、かねてからタリバンとアルカイダのつながりを指摘しており、パキスタン政府は、軍事的制圧に乗り出した。
しかし、部族やタリバンとの戦闘はエスカレートし、さらには都市部や首都などで武装勢力などによる大規模なテロも発生し始めた。
アジア経済研究所の鈴木 均副主任研究員は「パキスタンという国は、歴史的に見ても政治的には、なかなか安定しないことを繰り返してきているわけですね」、「軍隊の影響力も強いし」、「クーデターですとか、あるいは暗殺」、「政治が常に不安定な状態で推移してきた」と語った。
鈴木氏は、不安定な文民政権と、伝統的に大きな影響力を持つ軍部とのアンバランスを指摘した。
軍部は、隣国インドとの3度にわたる紛争で次第に台頭し、以後パキスタンが置かれた複雑な国際環境が、さらに軍部を肥大化させていた。
軍事評論家の宇垣大成氏は「インドという敵勢力をアフガニスタンから排除するため、パキスタン軍部は、タリバン政権を支援してきたといわれています。一方で、インドとの間で国境紛争を抱えている中国にも接近して、軍事援助を受けながら、パキスタン軍は国の内外で影響力を拡大してきました」と語った。
事実、2年前に導入された新鋭戦闘攻撃機「JF-17」は、中国とパキスタンの共同開発で、トライバルエリアの紛争地に投入されている戦車も中国製が多い。
また、2001年のアフガン戦争では、アメリカからも政治・軍事面で支援を受け、安定化に向かうかに見えた。
しかし、2007年の選挙では、野党の党首が暗殺され、2008年8月には、ムシャラフ政権が崩壊した。
混乱の一方で台頭を続けるタリバンに、アフガニスタンの安定化を柱に掲げるアメリカのオバマ政権は危機感を持った。
オバマ大統領は「アメリカ国民の皆さん。この国境地帯は、世界で最も危険な地域になったのです」と述べた。
そして、この国には、決して忘れてはならないことがある。
軍事評論家の宇垣大成氏は「パキスタンは、核兵器保有国なんです。すでに数十発の核弾頭を保有しているともみられていて、射程1,500kmの弾道ミサイル『ガウリ』を実戦配備しています。さらにインドとの緊張関係も続いています。こうしたパキスタンに政治的な混乱が起きますと、これらの核兵器・ミサイルがどうなってしまうのか、全く予測がつきません」と語った。
この国で微妙な均衡は保たれるのか、迷走するパキスタンの終着点が注目される。
4月17日、東京で開かれたパキスタン支援国会合で、パキスタンのザルダリ大統領は「わたしがここに来たのは、皆さまに関心を寄せていただけるようお願いするためです」と述べた。
会合で、各国が約束したパキスタン支援の総額は、およそ5,000億円にのぼる。
しかし、伝えられるのは絶え間ない混乱と緊張で、パキスタンは今、アジアそして超大国さえ揺さぶりつつある。
アメリカのヒラリー国務長官は「武装勢力が主要都市にますます接近しているということは、大きな脅威となっています」と述べた。
4月に入り、パキスタンでは、武装勢力「タリバン」が、首都の北西100kmの地点まで進出し、23日には、一時地方都市を占拠するまでに至った。
タリバンといえば、隣国のアフガニスタンで、現在アメリカを中心としたおよそ6万の兵力に支えられているが、こうしたタリバンや武装勢力の復活によって、苦境に立たされている。
そのタリバンの聖域といわれるのが、実は国境を接するパキスタン北西部のトライバルエリアで、「部族地域」とも呼ばれている。
トライバルエリアは、政府の統治が及ばず、古くから住む複数の部族が独自の支配を続けてきた。
タリバンとは、民族や宗教でつながり、地域は今やその基地になっているといわれる。
パキスタンのタリバン報道官は「ビンラディンが来たいと言っても来られるし、誰が来ても歓迎する」と語った。
アメリカは、かねてからタリバンとアルカイダのつながりを指摘しており、パキスタン政府は、軍事的制圧に乗り出した。
しかし、部族やタリバンとの戦闘はエスカレートし、さらには都市部や首都などで武装勢力などによる大規模なテロも発生し始めた。
アジア経済研究所の鈴木 均副主任研究員は「パキスタンという国は、歴史的に見ても政治的には、なかなか安定しないことを繰り返してきているわけですね」、「軍隊の影響力も強いし」、「クーデターですとか、あるいは暗殺」、「政治が常に不安定な状態で推移してきた」と語った。
鈴木氏は、不安定な文民政権と、伝統的に大きな影響力を持つ軍部とのアンバランスを指摘した。
軍部は、隣国インドとの3度にわたる紛争で次第に台頭し、以後パキスタンが置かれた複雑な国際環境が、さらに軍部を肥大化させていた。
軍事評論家の宇垣大成氏は「インドという敵勢力をアフガニスタンから排除するため、パキスタン軍部は、タリバン政権を支援してきたといわれています。一方で、インドとの間で国境紛争を抱えている中国にも接近して、軍事援助を受けながら、パキスタン軍は国の内外で影響力を拡大してきました」と語った。
事実、2年前に導入された新鋭戦闘攻撃機「JF-17」は、中国とパキスタンの共同開発で、トライバルエリアの紛争地に投入されている戦車も中国製が多い。
また、2001年のアフガン戦争では、アメリカからも政治・軍事面で支援を受け、安定化に向かうかに見えた。
しかし、2007年の選挙では、野党の党首が暗殺され、2008年8月には、ムシャラフ政権が崩壊した。
混乱の一方で台頭を続けるタリバンに、アフガニスタンの安定化を柱に掲げるアメリカのオバマ政権は危機感を持った。
オバマ大統領は「アメリカ国民の皆さん。この国境地帯は、世界で最も危険な地域になったのです」と述べた。
そして、この国には、決して忘れてはならないことがある。
軍事評論家の宇垣大成氏は「パキスタンは、核兵器保有国なんです。すでに数十発の核弾頭を保有しているともみられていて、射程1,500kmの弾道ミサイル『ガウリ』を実戦配備しています。さらにインドとの緊張関係も続いています。こうしたパキスタンに政治的な混乱が起きますと、これらの核兵器・ミサイルがどうなってしまうのか、全く予測がつきません」と語った。
この国で微妙な均衡は保たれるのか、迷走するパキスタンの終着点が注目される。
(04/28 00:15)