はじめに郵政事業庁のDSL普及状況公開ページによると、2001年4月末現在、ADSL契約者数が、10万人を突破したようです。特に3月からの1ヶ月は、3万人という驚異的な伸びを示しています。その影響で、ADSLモデムが品不足、申し込みから開通まで1ヶ月以上待たされる状況が続いています。世はまさに、ADSLブーム。ここ「ふじみ野」でも、ブロードバンド常時接続の需要が多いらしく、他地域に先駆けてADSLサービスの提供が始まりました。若い世代の方など、ブロードバンドに興味のある方も多いのではないでしょうか。そんな方のお役に立てればと、我が家でのADSL導入顛末をまとめてみました。でも、最近、雑誌でも盛んに取り上げられているこの話題、少し趣向を変えたいところです。ちょうど、ふじみ野には、ADSLのライバルといわれているCATVインターネットの「東上CATV TVNET」がサービス中で、我が家でも契約していたりします。ふじみ野住人にとって、両者の特徴など、知りたい所ではないでしょうか。ここでは、私なりに、ADSLとCATVとを比較して、思う所を書いてみようと思います。ADSL導入あれこれ◆NTT問い合わせADSLは、銅線を駆使した技術ですので、光ファイバでは使えません。NTTでは、銅線より大容量・軽量の光ファイバへの移行を進めており、特に、最近の大規模マンション用回線などでは、光ファイバ化が進んでいるようです。近くのマンションでも、光化のためにADSLを使えない所があり、我が家の場合も少し心配だったのですが、結局、光化直前だったようで大丈夫でした。 ADSL導入では、利用可能かどうかの調査依頼も含めて、まず、NTTに申し込む必要が有ります。私の場合、3月下旬の申し込み受付開始日から3日後に電話で申し込みました。例によって、1ヶ月経っても、何の音沙汰も無し。ADSLが利用できるかだけでも確認したかったので、1ヶ月後に再度電話して状況を聞いてみたら、1週間後に工事可能との返事でした。2ヶ月は覚悟していたので、思っていたより早かったというのが実感です。よく言われているように、インターネットでの申し込みでなく、電話だったのが影響したのかも知れません。 ◆ふじみ野でのADSL今の所、当地区で利用可能なADSLサービスは、FLET’S ADSLとeAccessの2種類です。FLET’Sは、3月末よりサービスを開始していますが、eAccessは、6月サービス開始の予定です。両者には、サービスの形態、料金、モデムタイプなどに違いがあります。詳細は下記の参考文献や、パソコン雑誌等をご覧ください。私の場合、できるだけ早く、サービスに加入したかったので、NTT東日本のFLET’Sを選択しました。 ◆工事ADSLの工事は、加入者回線共用タイプの場合、使用中回線のモジュラージャックの先にスプリッタをつけて、一つを電話、もう一つをADSLモデムにつなぐだけです。大抵の場合、利用者が自分で工事を行うようで、それによって多少の工事費節約が可能となります。しかしながら、我が家の場合、パソコンの近くに電話口がなかったので、出張工事をお願いすることにしました。今までは、CATVインターネットを使っていたので、電話とパソコンをつなぐ必要性が無かったのです。 出張工事は割高なので、この際、無線LANにしてしまおうかとも考えました。電話の近くに基地局を置いておけば、家中大抵の所で、LAN接続が可能なはずです。結局、無線LANをやめた理由は、ルータ等の既存設備の有効利用を考慮したのと、Bluetoothとの干渉問題や、セキュリティ、人体への影響、それに、コストでしょうか。 屋内配線工事は、意外に大変でした。2人がかりで、1時間はかかったでしょう。お願いしたのは、現在の電話の引き込み口から、別の部屋のモジュラ取り付け口まで、壁の中を配線する工事です。我が家では、各部屋にモジュラージャックの取り付けられるパネルがあって、私は当然、マンション建設時に、これらパネル内の配線工事がされているものと思っていました。実際は、配線のかわりに、各部屋のパネルを数珠つなぎに針金が通してあり、これを手がかりに、ケーブルを引き込んでいきます。結局、4箇所のパネルを経由してやっと目的の部屋まで配線を通すことができました。建設から少し時間が経っているのもあって、針金がなかなか動かずに大変そうでした。出張工事は、自分でやる場合より1万数千円高くなりますが、私にとっては、納得のいくものでした。 ◆プロバイダプロバイダ(Internet Service Provider)をどこにするかも、悩ましい所ですね。プロバイダ内回線品質、サービス内容、価格など、かなりの選択肢があるでしょう。固定グローバルIPオプションや、DDNSサービス(IPとドメイン名との対応を動的に行うサービス)を提供するプロバイダもあります。詳しくは、雑誌等をご覧ください。 私の場合、いろいろ考えたのですが、結局、以前よりお世話になっている@niftyにしました。接続料はちょっと高めなのですが、モバイル・海外を始めアクセスポイントが豊富なのと、伝統的なパソコン通信文化のフォーラムが充実していて、情報収集に何かと便利だからです。「ふじみ野成長記」のサイト運営やら、Mailアドレスのことを考えると今更プロバイダを変えるのも面倒というのもありました。 回線速度◆測定方法ADSLって、NTT局までの加入者回線 敷設状況に強く影響を受けるようで、実際どの程度スピードがでるのかは、やってみないとわからないようです。皆さんも、最も気になるのは、下りの実効スループットでしょう。我が家でも、さっそく、ブロードバンドスピードテストで測定してみました。このサイトは、5箇所のホストにアクセスして、600KB程度のデータをダウンロードする時間を計測し、実効スループットを算出するものです。5箇所にアクセスするのは、サーバ混雑による影響を緩和するためで、5箇所のうち2番目に速いスループットをネットワーク・スループットの推定値としています。 休日/平日の違い、夜間/昼間の相違をみるため、2001年4月20日から1週間程度の間、時刻をかえて測定しました (ただし、平日昼間のデータは無し)。使用した機器は、 Windows2000のノートパソコン[Mobile Pentium V(600MHz)]で、ブロードバンドルータ(PCI BRL01)経由でADSLモデムに接続しました。 さらに、ルータのオーバヘッドを見るために、ルータを経由せずに、ADSLモデムをパソコンに直結しての測定も行いました。この場合は、PPPoE接続を行うために、NTT提供のFLET’S接続ツールを使用しました。なお、ルータ経由の場合、PPPoEの認証はルータが行います。 FLET’Sでは地域IP網経由でプロバイダ網など上流インターネットに接続されるのですが、地域IP網だけのスループット評価として、フレッツ・スクウェア インフォメーションサイトでも測定を行いました。ここは、地域IP網内にあるサービスサイトなので、上流インターネットでの混雑に影響されません。 ADSLスループット計測と同時に、東上CATV TVNETのスループットも測定して、比較してみました。こちらの方は、Windows98のノートパソコン[Pentium MMX(266MHz)]を、ケーブルモデム直結で使用しました。計測サイトは、同じ(ブロードバンドスピードテスト)です。 ◆結果概要計測結果を、グラフにまとめてみました。 ルータを通さずにADSLモデムとパソコンを直結した場合、ブロードバンドスピードテストとフレッツ・スクウェアとの有意差は認められませんでした。どちらも、950kbps程度とADSLとしては標準的スループットが出ました。我が家は、NTT大井まで1km弱なので、もうちょっと出てもいいかなとも思うのですが、まずは一安心といったところです。また、地域IP網やその上流でのボトルネックは、今の所認められないようです。 ルータのオーバヘッドは、思った以上にありました。ルータ経由のスループットが700−800kbps程度にとどまっているのは、ルータで律速されていたからのようです。私の使っている機種が少し古いという事も、関係しているようです。ファームウェアで対応できる範囲なのか、良く分かりませんが、我が家にルータは必需品なのと、700kbpsもでれば実用上問題ないので、しばらくこのままの構成で使う事にしました。 ちなみに、普段メインにつかっているWindows95のデスクトップパソコン[Pentium MMX(200MHz)]でブロードバンドスピードテストの測定をすると600kbps程度しか出ません。こちらは、PCネックのようです。ネットワークが速くなると、今まで見えない所が見えてきます。このデスクトップは、さすがに最近、重たくなってきているので、今年末にも予定されているWindows XPが出たら、そろそろリプレースを考えた方が良いかもしれません。 また、雑誌等で話題になっているMTU(Maximum Transmission Unit)やRWIN(Receive Windows Size)などのIPパラメータの調整についても、試してみましたが、実感できるほどの差はありませんでした。詳しくは、下記ZDNNのサイトなどをご覧ください。 東上CATVのTVNETの方ですが、我が家では、128kbpsのスタンダードコースの契約です。先週までは、100kbps程度と、そこそこのスピードだったのですが、ゴールデンウィークに入ってから60kbps程度まで落ちてきています。グラフには、スループットの計測方法(上記参照)の関係で、あまり現れていないのですが、TVNETの反応は大きく変動します。時々、思い出したようにデータが流れてくるっといった感じでしょうか。どこがネックなのか深く追求はしていないのですが、近々上流バックボーン増強工事をするという話ですので、上流との接続に問題があるのでしょうか。 用途スループットは、そこそこ出ているとなると、次に、1Mbps近くのスループットを、どう使うのかというのが問題になります。良く引き合いに出されるのが、いわゆるストリーム系ですが、まだまだ、コンテンツが少なく、しかも、現状の多くのコンテンツが想定している300kbps程度の帯域では映像的にも見劣りするのはやむをえない所でしょうか。インフラ整備とともに、コンテンツも充実してくるでしょうから、今後に期待したいと思います。我が家では、やはり、WEB閲覧(情報収集)、ホームページ メンテナンス、WINDOWS、各種ソフトのUPDATE、などが主な用途です。大きなファイルをダウンロードする場合は勿論ですが、普通のホームページにアクセスする場合でも、さくさく表示されると、とっても効率がいいですね。特に、複数PCによる回線共有の環境では、ネットワークにある程度の余裕が無いと駄目でしょう。ネットワークが速くなると、PCを使う時間が短くなるかもしれません。 感想ADSLとTVNETとを比べると、文字どおり10倍以上速くなった感じです。ホームページの閲覧も「びゅっ!」です。ランニングコストですが、我が家の場合、FLET’S ADSL利用料が4050円(加入電話回線共用タイプ)、モデムレンタル費が440円、その他に、@niftyの接続料が2200円(無制限コース+ADSLオプション)となっています。TVNETでは、モデムレンタル費を含めて、4000円ですが、私の場合、TVNETサービスだけでは不足で、@niftyのオープンコース(インターネット経由接続コース)にも加入していたので、その費用が1200円でした。(上記費用はいずれも消費税別です。)したがって、ADSLに変更する事によるコスト増加は、1500円程度となります。効果は、スループット15倍程度ですので、費用対効果は、非常に大きいですね。7月にもADSL利用料は3800円程度に値下げの見込みですので、さらにお得感が増すでしょう。 NTTでは、光ファイバによる常時接続サービス(Bフレッツ)も予定しているのですが、こちらは、2004年から2006年と、まだ少し時間がかかるようです。当面は、ADSLが主流になるでしょう。 我が家では、TVNETとは、実験開始当時からのお付き合いです。当初、TVNETと上流との接続は、実験ということもあって、128kbpsを100人で共有ということで始まったように記憶しています。それでも、最初のうちは、実際に使っている人が少なかったのか、私は、128kbps殆どの帯域を快適に活用させてもらっていました。次第にヘビーユーザによる帯域占有が問題となり、CATVインターネットとしては、極めて控えめの帯域制限をつけて、本サービスに至っています。そのためか、最近では、当初と比較すると安定した通信が行えているようです。 今までの付き合いから推察するに、東上CATVさんは、速度よりも、価格重視の初心者ライトユーザをターゲットとする戦略のように思います。そのためには、初心者用のサポート体制が重要な課題でしたが、最近、24時間の体制を組まれたようで改善の方向に向かっています。今後も、FLET’S ISDNを競合相手として、低価格常時接続を特徴に商売するように思えます。価格重視のライトユーザには、CATV(TVNET)、帯域の欲しい人には、ADSLがお勧めでしょう。なお、最低でも、FLET’S ISDN以上の帯域を安定して提供できないと、大きな問題になると思いますので、是非、東上CATVさんには、頑張ってもらいたいと思います。ADSLでは、900kbpsが700Kbpsになっても、まあいいかという気にもなりますが、もともと100kbpsでは、10kbps減るだけでも、随分反応に差が有るように思います。 参考文献
その他、最近のパソコン雑誌のブロードバンド特集記事は、わかりやすくまとめられています。本屋で立読みされてみては、どうでしょう。(勿論買って読んでも構いません (^_^) ) |
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