疑問
2009-04-26 Theme: お知らせなどとてもステキなお話として報道されていることが、
私にはとてもフシギに感じられますし、
まったく手放しで拍手もできない、
それどころか、なんだか怒りに近いものを感じていたりします。
ある動物園の中のCIやポスターを、
ある商業美術系短大の学生さんたちが、
授業の一環として担当することになったというニュースがそれです。
学社連携のめざましい一歩二歩、的な伝えられ方で、
それはそれは喜ばしいことなのかも知れません。
その短大では、以前も動物園の商品デザインコンペを「授業の一環」として行いました。
動物園の宣伝用ポスターや案内板をデザインさせたりもしています。
短大は、こうした活動を見てもわかるとおり、
実践的で、夢のある教育を行っているすばらしい学校に違いありません。
そう。このニュースは、美しいニュースとして報道されているのです。
動物園も公営ですから、デザインにお金は掛けられない。その事情はわかります。
しかし、だからと言ってですよ、
「学生でもプロでもできあがりは大差ない」
「だったら、学校とコラボしてしまえば、行って来いで、デザインについては無料で済む」と、
大っぴらに示してしまってるようなものではないですか?これは。
この後、「うちも」「我が社も」「おらほの部署も」学生とコラボ、
話題になるし、若い感性をタダで取り入れられたりしてラッキー!
・・・そんなことがあちこちで始まったら、どうしましょう。
この景気ですから、私はない話だとは思わないですよ。
実際、この短大では、授業の一環として、
ある県内大手菓子メーカーの、商品パッケージデザインを手がけたりもしています。
このことが報道されたとき、ああ、やっぱりこうなるよな、恐れていたとおりになってきたな、と感じたものです。
プロのデザイナーたちが、みんな覚悟を決めて、まわしに髷を結って傷だらけの肉体を晒して土俵に上がっているのが見えませんか?
学校の先生なら、その凄まじさに涙を浮かべながら「あれがプロというものですよ」と、教えてあげてほしいです。
技術の安売り、ダンピング、価格破壊どころではないでしょう。
「デザイナーの仕事なんてのは、基本お金を払うほどの物じゃない」と言ってるのに近いんじゃないかと思います。
公営の施設と、公立の教育機関がです。
その気はないのでしょうが、
そのようにとらえられる可能性はずいぶんありますよ。
今回のことは、一見、とてもささやかなことです。
でも、発想がいかにも無邪気な分、根っこは深いし、かつ影響力は大きいと感じます。
関係者の皆さん、こうしたことは、きちんとお金を掛けてやるべきです。