2009年4月アーカイブ
まったく――台風みたいなヤツだったな。
あの、桐乃ってヤツは。
先週から立夏がなにかゴソゴソしてると思ったら――
新しい日記なんてつけてるし。
しかも立夏のデコノートに――。
よーく、わかったよ。
こんな事ばかりしてるから――
立夏のノートはいつもボロボロで薄いんだ。
後ろの方は切り取った跡がいっぱいあって――
きっといつもなにか書いては破り、書いては破り
してるんだろう。
本人はよく勉強してるからだなんて――
言いワケしてたけど。
フフ。
それにしても。
うちの家族は――
「チョーすごい」なんてこと、
全然ないよ。
ただの――家族だ。
もし何かがチガウとしたら――
ちょっと人数が多いのと――フフ。
ちょっとだけ。
たぶんみんな、
ちょっとだけ――
他の人より素直なだけ。
自分の気持ちを外に出すのも
他のきょうだいを想うのも――。
でも――自分に素直に
ありのままにいられるのが
家族なんだろうって
私は思う。
っていうか。
家族ってみんな――どんなウチでも。
ふだん口には出さないかも知れないけれど。
みんな――そうだろう?
一緒にごはんを食べたり、
一緒に風呂に入ったり、
一緒に遊んだり、家のことを手伝ったり――
そんな中で。
誰もが――。
ただありのまま、幸せに――。
うん。
だから。
私は。
オマエにも――
もっともっと、
幸せにいてほしい。
この桐乃のおかげでできた2冊目の日記を、
オマエが読む日があるかどうかは――
わからないけれど。
……。
……
桐乃、また遊びに来いよ?
あたしがこの家に来てから けっこーたったよね
そろそろこの家のみんなとも
ずいぶん仲良くなれた気がするかな
ってか
まあ
最初っから チョー仲よかったケド!
みんなとの思い出が色々できて――
さらにチョーチョー仲よくなったってコト!
いっしょにゴハン食べたり――
いっしょにオフロ入ったり――
いっしょに遊んだり――
ここでは書けないよーなお喋りも しちゃったりなんかして
……
この家には たくさんの家族がいて
きょうだいみんなが 仲よくって
お互いのことが大好きでさ
それって
すごいことだよね
あんまり自然にそこにあって
当たり前になっちゃってるんだけど
実は 当たり前にあるもんじゃないっていうかぁ
なくなってみないと 気付かないっていうかぁ
……あれ
自分で言っててワケ分かんなくなってきた
ごめん
話すの下手だから
あたし
……
えっと
まー とにかく
みんなは チョーすごいってこと
このあたしが認めてあげる
うん
だって
この家で暮らしてて
幸せだなって 思ったもん
……
…………
あー
……
あのね
えっと――
あたし 家に帰ることにしたんだ
長々とお世話になりました
え?
なんで急にそんなこと言うのかって?
いや
それがさー
聞いてよ
ゆうべ 前の家の人から電話かかってきて――
「いつまでそっちに居るつもりなんだ?」
とか
「そっちの家に迷惑かけてるんじゃないだろうな」
とか
言ってくんの
チョーうざぁ~い
マジきもいし
そんなの あたしの勝手じゃん
まー
そんなカンジで言ってやったのよ
電話の相手にも
したら そいつ
なんて言ってきたと思う?
ふふん
落ち込んだ声で
「ごめんな」
だってさ!
なんのことだよwwwwwww
さっぱり心当たりがないってーの!!
バッカじゃないの
……あーくるし
思い出しただけで 腹よじれるw
まあ
仕方ないの
なぜならあいつ シスコンだから
あたしが家からいなくなったの
自分のせいだと思っちゃったんだよ きっと
シスコンだからね
あたしがいなくなってさー
きっと寂しかったんじゃないのー?
知んないけどぉ
で
だからってわけじゃないんだけどさ
いいきっかけかなと思ったワケ
地元の友達とか ないがしろにできないし――
この家から学校通ったり 仕事行くのも ちょっとたいへんだしね
だから
いったん帰ります
でも
ぜ~ったい また 遊びに来るからね
……それで
えっと
その……
へへ……
こんなん 改めて言うの 恥ずかしいけど
みんなと会えて
この家で暮らして
すっごい 楽しかった!
ありがとね みんな
またね(^o^)ノ
あのね。
きりちゃんがきて――
おうち、
ずっとずっとおまつりなの
ふんわふわ。
はるの風といっしょに、
きりちゃん、きたの。
――うふふ
にじ、
とーっても、たのしい
きりちゃん、にじこと遊んでくれるの。
おはなのごはんにどろのおだんご――
きりちゃんもね、おにいちゃんみたいに――
みんなみんな、だーい好きって!
おひさまピカピカのお庭でするおままごと――
おにいちゃんがおとうさんで、
にじこがおかあさんで――
きりちゃんが――あかちゃんなの!
エヘヘヘへ
あとね、
あとね。
きりちゃんも――
フレディ好きって!
にじこの1番のおともだち。
ちっちゃなピンクのぞうのフレディ。
とってもおえかきが上手なの。
きりちゃんのえもちゃーんと
かいたの。
とってもとってもがんばって――
お花のかんむりかむったきりちゃん。
かわいい
だから――
きりちゃん、かえっちゃうなんて――
いっちゃ、やだ。
にじこ、さみしいのはきらい。
そんなこと言ったら、
にじこ――
ないちゃうの。
きっと、うぇんうぇんって――
……
うえぇぇ~~ん――
おにいちゃん――
にじ、ないちゃった――
うわぁ―――ん!
ところであたし
立夏ちゃん 小雨ちゃん 麗ちゃんの部屋にお邪魔して
四人部屋にしてもらってるのね
狭くなっちゃってゴメンねって言ったらさ
三人とも
おねーちゃんが増えたみたいでウレシイ~ とか
そんなカンジで 歓迎してくれてさ
チョー感激したょ(´Д⊂ヽ
あ そうそう
いままでなかなか話しかけられなかった麗ちゃんがさあ
電車のおもちゃで遊んでたから 話しかけてみたのね
電車 好きなの? って
そしたら すごい 食いつきよう(゚∀゚)
やっぱ
好きなものの話だと
喋ってて 楽しいよね~
う~ん 分かるなあ
……
電車の話をして ちょっとは仲良くなれたかな?
あとね
あたし
ちっちゃい娘軍団がいる大部屋に
よく遊びにいくんだけど
ちっちゃい娘たちのパワーはすごいね!
元気いっぱいっていうか
あたしも一緒になってはしゃぎたくなっちゃうもん
_|\○_ヒャッ ε=\_○ノ ホーウ!!
↑もーずっとこんなノリ
みんなプニプニしててかわいーし
特にあさひちゃん!
もうね
あさひちゃんのホッペをつんつんするために
あたし
伸ばしてた爪
切ったもん
ホッペつんつんしてると あさひちゃん
あたしの指 お口にくわえようとするし
爪長かったら 危ないからね
マニキュアつけても ちょいサマになんないケド
しょーがないっか
ホッペつんつんのためならば!!
ふふふ
……
あー
なんかねー
しみじみ思った
あたし この家で暮らしてて 幸せ~
原宿駅から乗れるのは山手線だけだけど、
明治神宮前駅なら千代田線と副都心線に乗れるし、
表参道駅まで行けば――
千代田線と銀座線と半蔵門線に乗れるわ。
だから――
原宿で買い物がしたいなら、
私としてはやっぱり
表参道駅を使うのが1番のおすすめね。
ママの仕事場も近いし。
うん――表参道駅は私のなかなか好きな駅よ。
田園都市線や小田急線の直通運転があって――
いろんな種類の車両が見られるもの。
4000形のフルカラーLEDの行き先表示器が
見えてくると――アタリ! って思うわ。
時間さえ合えば――最新型のロマンスカー
MSEが来るのも見られるし。
平日ならメトロホームウェイが狙い目ね。
ちょっと帰りが遅くなっちゃうけど――
夕飯ギリギリになったのがみんなに見つからないように
こっそり帰るのも、また楽しいものだわ。
ああ――
考えただけでワクワクしちゃう
私――地下鉄の直通運転って大好きなの!
――うん。
桐乃さんって結構――
センスいいんじゃない?
誰かさんと違ってね。
――ふん!
やっぱりデートに誘うなら――
これくらい、相手のこと気にかけなくちゃ。
私はファッションとか――特にミニスカートなんて、
全然、まるっきり、興味ないけど。
地下鉄構内のエチカなら楽しめると思うもの。
あーあ。
あのイベントスペースでいつか、
スウェーデン鉄道のグッズ特集とか――
やらないかしら?
どんなブランド品にも負けない
きれいなデザインだと思うんだけど――
そうだ。遠足が好きなら――
今度、春の大井川鉄道、誘ってみようかな?
桐乃さんみたいな保護者が一緒なら、
きっと海晴姉様もOKじゃない?
桐乃さんと私と――
あ、桐乃さんはお兄さんも誘いたいって言うかしら?
そしたら――
席が1つ余るから――
特製駅弁買ってくれるなら、
一緒に来てもいい――
……
ような気がしないでもないわ。
今日は 立夏ちゃんと街に買い物に行ったのよ
知ってると思うケド
あたしって
ふつーに読モとかやってるし
チョーかわいいじゃん?
だからー
ショップの店員さんとかとも仲いいし
ファッションとか コーディネイトとかも
わりと詳しいの
で
よく友達とショップ行って 似合う服を選んであげたり
してんのね
今日もそんなカンジで
立夏ちゃんにいろんな服を着てもらって おしゃべりしてた
やっぱさーあ
素材がいいと 腕のふるいがいがあるよね!
マジかわい~から なに着ても似合うっていうかぁ
脚、長いし――
顔ちっちゃいし――
モデルとかやったら いきなり人気出そう
そーそー
立夏ちゃん ミニスカートが大好きらしくて
いろんなミニスカ試着してくれたんだけど
中にはホントに短いやつもあって
ちょちょっ 大胆すぎ!
それはヤバイよー!? ってなったw
……
写メ撮ってあんだけど……
……見たい?
ぷっ
ばーか
見せるわけ ないじゃん(^∀^)
なにあわてちゃってんの~~
ったく
この世って
シスコンばっかだよねー
あたしも
ひとのコト いえないケドさ
そのあと
立夏ちゃんと
他の姉妹たちには どんな服が似合うだろ~ね
とか
今度はみんな一緒に 原宿行って服見ようよーとか
そんな話をしたの
へへ……
姉妹みんなで お出かけしたらさ
遠足みたいで ぜったい楽しそうだと思うでしょ?
この家に来て しばらくたったケド
チョーびっくりしたことがあるんだよね
なにかっていうと――
こんなに仲のいい家族って ほんとにあるんだなっていう
きょうだいなかよく 家族は大切に
それが家族の約束なんだよ――
って
海晴さんが言ってたし
立夏ちゃんからも うちはみ~んな仲いいよ!
って
いつも聞いてはいたんだケド――
……まさかさー ここまで仲いいなんて
フツー思わないじゃん?
んもー マジでビビったっつーのΣ(゚∀゚ノ)ノ
それに引き替え
ウチはさーあ……
はぁぁ~~~
正直 比べモンになんないよねー
ベツに
お父さんとかお母さんにフマンがあるわけじゃないんだけど~
っと
やめやめ
暗いのはなしにしとこ
せっかく こんなに素敵な家に来てるんだから
楽しい話しよ
……
えっと
そうそう
家族全員仲がいいよねって話の続きなんだけど
みんな いきなり居候してきたあたしにも
すっごくよくしてくれるんだよね
お姉ちゃんたちは 気を遣って色々世話を焼いてくれるし――
妹たちは お姉ちゃんが増えたって 喜んでくれて――
いっぱい甘えてくれたりして――――――
(*゚∀゚*)
ひゃっほ――う! 来てよかったぁ~~~~~~~~~~~!
決めた!
アタシもうずっとここに住むから!
ってわけで 今後ともよろしく!
あさひちゃんのホッペつんつんしてくるね(*゚∀゚)σ)∀`)
あああああっ!
うわ――・……
どうしちゃったの、コレ――
キリノが――
キリノが――なんか日記書いてる!!
うわ―――
マジ、びっくり。
超ヤバイ――食べかけのタイ焼きが
口から落ちちゃうヨ。
アンコの1番詰まったおなかのトコ――あぁっ。
落ちた……
でも――3秒ルールならOKだよネ?
こうして、ふーふーふーって息かけて――。
蛍おねーちゃんがいつも掃除してくれてるから
リビングの床はいつもピッカピカだし!
うん――甘くておいしっ!
さっすが、霙おねーちゃんのイチ押しの
タイ焼きやさんはチガウね
あ、オニーチャンも食べたい?
この立夏の食べかけのトコ???
エヘヘッ
もちろん超オッケーだよぉ!
やっぱりオニーチャンって超ラッキーなヒトだよネ!
立夏がちょうどハンブンくらい食べたトコロだから――
おなかパックリ、たーっぷりアンコの、
いっちばん、オイシーところだよ
トクしちゃったね
はい、あーん!
ほら、みて――オニーチャンのおっきなお口でも
こんなにアンコがはみ出しちゃう――
えーい、そしたらはみ出てほっぺについたぶんは――
リカがいただきダッ!
うあーん
もーまじ、ヤバーイ!
あまーい
タイ焼きもオニーチャンも、
超LOVE
リカ、しあわせ――
――あ。
キリノ?
うん。なんかね――泊まりたいんだってウチに。
だから、いーよーって!
部屋もあるし。
なんか、キリノってね、イモウトが好きなんだって。
でもお家に1人もイモウトがいなくて――
お兄ちゃんしかいないから、イモウト体験しに来たんだって。
キリノっておもしろいよネ?
リカは、オニーチャンが1人いたら、
もうそれでサイコウなのに、ねぇ――
あたし
桐乃
誰かって?
え~ 信じらんない!
このあたしを知らないなんてぇ――
うえ? やっぱ知ってる?
もう どっちだよww
ま いいか(^ω^)
いちお
自己紹介
しとくし
今日から家族の一員になった桐乃です
よろしくね――
――てのは半分冗談w
でも
これからしばらくこの家に住むのは本当
ふふん
なんでそうなったか
知りたいでしょ?
それはね――
…………あ゛……ヤなこと思い出しちゃった……
ん 気にしないで
ぜんぜん たいしたことじゃないから
………………ほんとに
ってか そんなことより
えっと
なんだっけ
そーそー! この家に住むことになった理由だったよね!
立夏ちゃんに誘ってもらったの
うん
友達なんだ
仲いいよ
なんか
気が合うっていうか――
話が合うっていうか――
は?
立夏ちゃんと いつもどんな話をしてるのかって?
ん~ それは教えらんない
言わないで~って 口止めされてるし
知りたかったら自分で聞けばぁ~?
どーせ教えてもらえないだろうけど
ま
でもさ
よく考えれば 分かるんじゃないの?
ふふん
……
話変わるケドさー
この家って なんかいーよね!
かわいい妹たちがいっぱいいて すっごく楽しそう!
あ! もちろん綺麗なお姉さんがいるってのも
でも
やっぱ妹って
かわいいじゃん?
あたしも“妹”好きで――いつも欲しいなって思ってたから――
ちょっとの間だけでも“妹”ができて 夢が叶ったってゆーかぁ
へへ……
あたしと六女の氷柱ちゃんが同い年だから~ ええっと……
じゅ、13人!? 13人も妹がいる……!!
なにこの家! 天国!? 天国なの……!?
はっ……
こほん なんでもないよ?
いまのはなんでもないから――
気にしないで
……
ま、まあ――
とにかく
そーゆーわけなので!
しばらくお世話になりま~す
よろしくね(^ω^)
作/公野櫻子
イラスト/みぶなつき
日記イラスト/霧賀ユキ
(C)2009 TSUKASA FUSHIMI
イラスト/かんざきひろ