勝間和代のクロストーク

終身雇用を見直そう

2009年4月04日

今回は、新卒一括採用・終身雇用を中心とした日本の労働市場に対する提案です。

  日本の労働市場はこれまで、新卒一括採用と終身雇用制を柱に成り立っていました。この方法は、忠誠心の高い社員を低コストで雇い、各社のニーズに合った人材を中長期の視点から育成するやり方として、たいへんうまく動いてきました。

 ところが、終身雇用の維持には、高成長と人口増が必要です。残念ながら、日本はその条件を満たせなくなっています。企業はこれまで雇った社員に優先して賃金を渡さなければいけないため、新規の正規社員雇用の機会が減り、若年層を中心に非正規雇用が急増する結果になりました。

 日本は終身雇用の仕組みを基本に社会システムを設計しているので、そこから漏れる人に対する十分なセーフティーネットが整備されておらず、派遣切りのようなしわ寄せが起きています。さらに、正規雇用者も削減対象になり始め、正規社員=安定雇用ではなくなってきました。リストラの対象にならなかったとしても、正規社員だから給料が上がる、出世する、という時代ではなくなってきています。

 

 今回の私の提案は、とてもシンプルです。「もはや、終身雇用は維持できない」ことを前提に、どうすればいいのかを一緒に考えたいのです。 

 私のアイデアは、以下の3点セットです。 

 (1)失業保険の給付強化(2)公的負担の職業訓練充実(3)ジョブカード制の普及・強化

   なぜこの三つかというと、終身雇用だと思っていた人が失職した場合、以下のことに困るためです。

   (1)翌日から、生活するお金がない(2)持っているスキルが他の場所でそのまま使えない(3)仮に使えるスキルを持っていても、違う業界だと、相手から正当に評価してもらえないことが多い

   従って、まずは失業保険のお金を受けとりやすくし、失職した場合に、すぐにお金が手に入るようにします。一部の非正規社員など、これまで保険対象から漏れてしまった人たちにも、給付しなくてはなりません。

   また、スキルについて、需給のミスマッチを生じることもしばしばです。この時に、公的な負担で新しいスキルを身につける場所がより豊富にあれば、人手の足りない業界に労働力を導くことができるでしょう。さらに、各人のスキルをアピールできるジョブカード制の普及・強化で再就職を支援します。

   すでにうまくいかなくなってきている終身雇用に固執し、非正規社員や若者を苦しめるのではなく、「どのような仕組みなら、私たちが安心して働けるのか」という視点からの提案です。みなさんのご意見をお待ちしています。

 

 ※編集部より 

 多数のご意見を頂きありがとうございました。コメントの受付は終了しました。頂いたコメントの中から勝間さんがベストアンサーを選びます。勝間さんが海外出張だったため、ベストアンサー発表と講評は20日以降の掲載になります。




※勝間さんからのベストアンサー発表前に、今回、編集部の4人によるベストアンサーを発表します。

 ◆ 社会で優勢な雇用の形には、それに対応する「教育の形」がある--ということに考えを至らせてくれたのが62番の澤健太郎さんのご意見。新卒一括採用において、日本企業はなるべく「色のついていない」人材を求め、長い時間をかけてその企業の「色」に染めていく、ということは以前から指摘されていました。その「色のついてない人材」を作りだすのが、もしかしたらこれまでの教育の一つの目的だったのかも、と。雇用形態が変わっていけば、教育も変わるべきだ、というか、変わらざるを得なくなっていくでしょう。仕事のあり方も含め、これからの日本は、若い人たち自らが作っていってほしい。また、自ら作っていくだけの力を若い時から蓄えてほしい、という希望を込めて、私の「ベストアンサー」に選びました。(志摩和生)

 ◆ 雇用制度の見直しとともに、学校教育できちんと働く側の意識やスキルの向上に取り組むべきだと指摘した62番、澤健太郎さんをベストアンサーに推したいと思います。

「短期雇用主流の米国型システムは日本に合わないのでは」との違和感を前提に、(1)経済環境の変化に伴うリスクを働く人、企業、国・社会がそれぞれどう担うか(2)働く人を単に荒波に放り出すのではなく、ポスト終身雇用社会に適応できる人材育成を初等教育段階から考えていくべきだ--について言及されたことに説得力を感じました。

 「非正規雇用者、派遣雇用者の立場は再考するべきだ」とした9番、高橋昭仁さんの意見も、派遣切りが横行する中、考えさせられました。「非正規雇用者はハイリスク・ハイリターンでないとおかしい。逆に単純作業のような仕事は、正規雇用」「正規雇用=安定しているが給料は安い、非正規雇用=不安定だが、給料が高い」という整理なら、弱者へしわ寄せする現状とは違った展開になるでしょう。

 また、複数の方から寄せられた「製造業の技術伝承に長期雇用は不可欠」という意見も、技術伝承と生産現場とは切り離せない点で念頭においておくべきだと思います。その上で、地域の職業高校、高専と生産現場との連携を一層深め、技術伝承のルートを多様化していく努力が必要になると思いました。 (塚田健太)

 ◆ 終身雇用は民間企業が選択するものであり、経済がグローバル化するなか、行き詰まりを見せているとしても、それを続けるのもやめるのも企業の自由です。14番の明瀬吉央さんの意見は、勝間さんの提言が雇用制度のいかんにもかかわらず必要だと指摘されました。確かに終身雇用廃止を法律で決めることはできませんが、勝間さんの提言はどれも国の政策として行えることであり、終身雇用があろうがなかろうが、必要なものだと私も思い、ベストアンサーに選びました。なお、公務員については、民間校長が採用されるなど徐々に中途採用の動きが出はじめたところであり、今後、より拡大していくべきだと思います。 (柴沼均)

 ◆ 27番の伊藤明宏さんの意見は現在の産業構造を見極め、将来に思いを至らせている視点が冷静でわかりやすい印象を受けました。まとまりのあるアンサーでした。また、教育の重要性や社会保障の比重にも気づかせてくれます。具体的な提案までは踏み込んでいませんが、細目はこの場であえて指摘しなくてもよいのではないかと判断しました。(浜田和子)   

コメント(122)

122 Commented by 村嶋 秀世 さん 2009年4月17日 16:12
 

 以下の私見は、年功序列制賃金制度とリンクした終身雇用制度が日本において果たした役割と、将来展望についてからなる。
 
 同一労働、同一賃金が原則であることを前提に、日本では戦後一貫して、年功序列制とリンクした終身雇用制度が日本型労働制度であると言われてきた。すなわち、終身雇用であることを根拠に、生涯賃金が同一ならば損は無かろうと、団塊世代の賃金支払いが先送りされてきたのである。
 
 しかし、ピラミッド型の人口構成が長期間にわたり維持できることなどありえないのであるから、年功序列制賃金を維持できないことなど当初より明らかである。
 
 先ず、年功序列制度が廃止された。次いで、産業構造の変化により、知的労働者を含む熟練労働者も多数を要しない産業構造となりつつあることから、終身雇用制度を維持することによる労働者の囲い込みの必要がなくなったから、人件費コストのかかる終身雇用制を維持する必要がなくなり、この労働需要を反映して労働法制度の変更が行われたのである。
 
 このように終身雇用等は若年労働者が多数を占める時代においては、低賃金で質の高い労働力の企業内囲い込みに有効に機能し、賃金コストの削減に貢献し、今日の日本の繁栄が築かれたのであるが、当初より予定されていたとおり、日本型労働制度は不渡りとなったのである。これは、安くて優秀な労働力確保のために口裏を合わせていた官労使3者の口車に乗せられていたのである。
 
 このように、終身雇用制度の廃止は、官労使の予定の行動であるから、勝間氏の認識は間違っている。
 
 次に、勝間氏の提案についてであるが、現実的な可能性がある卓見といえよう。
 
 しかし、上記の冷厳な現実を直視すれば、労働需要の継続的拡大が、あらゆる雇用対策を可能にする実質的根拠であることは否定できない。したがって、先ず景気対策が肝要である。次いで、持続的経済発展を可能にする社会の構築に着手しなければならない。このためには輸出に依存しすぎる現在日本の経済構造の変革が必要で、個人消費の拡大=国民が豊かになることが必要である。
 
 なお、景気対策を放棄して財政再建を叫んだ小泉構造内閣時代の平成13年からの5年間に、普通国債及び財投債が激増したことについて、マスコミ、評論家諸氏が口をつぐんでいることには納得できない。

121 Commented by 南川郁夫 さん 2009年4月17日 14:30
 

 大筋では賛成ですが、終身雇用制度崩壊後のビジョンが必要だと思います。保険や職業訓練のように「もういちど雇用される」ことを前提としたものだけでは不十分で、具体的には「給与収入に頼りきらない社会」の構築が必要ではないでしょうか。
 
 現金収入が不安定な社会で生活していこうとすれば、「現金収入が途絶えても(減っても)、少なくとも衣食住には困らない」という仕組みが必要です。たとえばロシアでは、社会主義時代から現在にいたるまで一般の市民が都市近郊にダーチャという別荘を持ち、週末にはそこに滞在して菜園をつくり、自給自足とまでは行かないけれども家計の足しにするという仕組みがあります。別荘はぜいたく品ではなくて、むしろ食えないからこそ別荘を持ち、菜園作りをしたり鶏を飼ったりする、というわけです。これなどは終身雇用制度崩壊後のモデルとしていいかもしれません。自給自足を取り入れることで、現金収入に頼る割合を減らそうということです。人口が減少傾向にあって住宅も余り、農地もどんどん放棄されている現代でこそ実現できる案だと思いますがいかがでしょうか。
 
 もうひとつは財産税の廃止です。土地家屋を持っているだけでお金を取られる、世代交代をしただけでごっそりと持っていかれる、というのをやめれば、資産からの上がりだけでそこそこ食っていける層を生み出すことができます。これも給与収入の不安定化に対応する有効な手段ですし、職業獲得の競争を和らげ、社会に余裕をもたらすと思います。
 
 今の社会では、子供は約二十年をかけ望むと望まざるとにかかわらず、また高等教育にふさわしい素養のあるなしにかかわらず、名前だけの「大卒」を得ることを目標にさせられます。そしていったん学校を出たら今度は「終身雇用」という制度からいかにこぼれ落ちずに一生をまっとうできるかということに汲々としなければなりません。子供ができれば無駄と知っていても競争相手がいる以上、教育産業にお金を支払わなければならないように思い、また30年もの長期にわたって返し続けなければならないような負債を背負って、30年後には資産価値もなく老夫婦だけのさびしい家になるような「マイホーム」を建てることが人生の目標であるかのように思い込まされます。
 
 つまり人の一生が単なる「お金の通り道」に過ぎなくなり、いかに優れた通り道になるか、あり続けるか、ということだけが人生の価値になっているのです。だからお金の流れが詰まったり悪くなったりすると人生の意味を見失って、自殺してしまうということにもなりかねないのです。景気対策・雇用対策と呼ばれるものもこの通り道にいかに金を流すかということしか考えていません。
 
 このような悪循環を抜け出し、「給与収入はあればうれしいがなくてもまあ問題ない」という社会に変えることが、根本的な問題の解決になると思います。

120 Commented by 栗田泰 さん 2009年4月17日 14:14
 

終身雇用制からの移行のために勝間さんは3つのアイディアを提示しました。各々のアイディアについて、小生の考えを加えていきたいと思います。
 
 1.失業保険の給付強化
正直言ってこの施策が終身雇用に対して有効ではないように思います。勝間さんは理由として、「翌日から、生活するお金がない」事態を避ける、ということをあげていましたが、目先のお金の有無で転職の気持ちが大きく変わるとは思いません。安易な転職の増加、国庫の浪費を引き起こし、本来の目的である日本の国力増進にはつながらないのではないでしょうか。
 
 2.公的負担の職業訓練充実
これは大変有効にあるように思います。そして、この訓練にはたくさんの企業のサポートがあり、企業のニーズに即した訓練が実行されることを希望します。小生は建設会社に勤めているのですが、社員は基本的にそれなりの大学から集められた設計の素人であり、入社後も実際の設計よりも全体のとりまとめの業務を行います。そこで、われわれの業界では実際に手で線を引いて設計する設計者を契約会社から派遣してもらうのですが、その設計者がみんな高齢化しており全く若手がいないことが問題になっています。その対策のために今会社として設計者養成学校を作っています。この活動は、企業としては自社の発展のためにですが、ひいては若者に技術を与える雇用創出につながる活動だと思います。このような企業の活動に対して公から援助があれば、企業、国ともに喜ばしい結果を導き出せると思います。
 
 3.ジョブカード制の普及・強化
どのようなものかが重要なように思います。どういうような項目があり、誰の権限で書かれるのか?小生の案としては、会社で毎年行っている給料を決定するための業績評価を本人を通さずとも、ハローワークを通して受け入れ会社が閲覧することができる仕組みを作ることです。プライバシー、評価の正当性、企業の評価方法の理解など、たくさん難しい面があるかもしれません。しかし、小生が思いつく限り最も簡便であり最も有効なのではないかと思います。
 
 以上の通り、述べてまいりましたが、年功序列も問題の一つとして提起いたします。今日本で人材が有効に活用されていない原因は、労働意欲の減退と不適正な人材配置だと思います。まず、各自の業績を年齢に関係なく適正に評価する公平感が仕事の意欲につながります。また、十分な業績がない場合は若者と同じ給与となる危機感が自分の適性を探す活動につながり、自分の最適な仕事をそれぞれの労働者に探させることになります。ただ、年功序列の廃止は政府が関与することではなく、企業自身が決断するところだと小生も理解しています。年功序列の廃止に対して政府ができることは育児支援や年金の強化、といったことになるでしょうか。
 
終身雇用、年功序列どちらも日本の高度成長を支えた大きなシステムでした。しかし、今の日本と国際状況に則して考えた場合、看過できないゆがみが発生しています。変えるべきものは変え残すものは残し、日本の企業が最高の形態で他国に挑むために、国には素晴らしい施策で支援して頂きたいと思います。

119 Commented by 平井 剛 さん 2009年4月17日 13:50
 

 終身雇用制が、もはや日本を取り巻く社会情勢に合わなくなっており、その変化に合わせ制度や価値観の転換が必要であるというのは全く同感です。その点、勝間さんのおっしゃる三つの提言はいずれも効果的であると考えます。
 
 流動性のある労働市場という、ともすれば経営側からそのメリットについて多く語られてきた労働環境を、労働者の側にとってもなるべく有益なものとして制度整備する必要性は、おそらく90年半ばにはすでにかなり高かったのではないでしょうか。勝間さんの提言はすぐにでも政治が動くべき重要なポイントだと思います。
 
ただ、その上でひとつ付け加えたい点があります。それは、終身雇用という雇用形態も一部では残す必要があるのではないかという事です。年功序列終身雇用は戦後、財政基盤の弱い政府に代わって企業が社会保障の一端を担うという一面の他に、日本人の集団帰属意識に大変よくマッチして、居心地のよい環境で労働意欲を高めチームワークの能率を上げて結果的に企業の生産能力を高めてきたという面もあると考えます。こういった面は社会情勢が変化しても我々が日本人であるかぎり是非残していきたい文化ですし、国際競争を勝ち抜く上でアドバンテージになるものだと考えます。
 
 そこで提案ですが、終身雇用の良い面が生かされる産業、職種を中心に労働契約を結ぶ際に労働者側が働き方を選べるように企業側が雇用形態のメニューを複数用意するよう制度化するというのはどうでしょう。社会全体で終身雇用を維持することは難しくても、企業側と労働者側のニーズが合致する部分であれば終身雇用的働き方はまだまだ残せるのではないでしょうか?高い報酬か雇用の安定かどちらをよりメリットと感じるかは個人によって違います。そういった労働者のニーズに企業側も可能な限り応えてこそ本当の働き方の多様化と言えると思います。

118 Commented by 田中 やすひろ さん 2009年4月17日 12:55
 

 みなさんは自分が特別な存在だと思いすぎているんではないですか?
公務員だって公務員になる為に努力はしてその権利を勝ち取ったわけですよ!
(ちなみに私は公務員ではないですよ) だから、何かが保障されているだとか言ったってしょうがいない!だって、公務員でもなければ会社の社長でもない。
 
もっといい条件で働きたければ自分で勝ち取るしかないんですよね。自分で会社起こすしかないですね。
 
ということで今まで日本で3割しか存在してないかもしれない終身雇用に賛成です。

117 Commented by 重盛良太 さん 2009年4月17日 12:35
 

 終身雇用制を前提とするか、しないかという二者選択の考え方は反対です。むしろ、終身雇用制と新たな雇用制度が共存しつつ融和した労働市場システムをどうするかという考え方のほうが実態に即していると思います。
 
 私は、労働者側は自らのライフスタイルに合わせて両者の選択の自由が確保されているとともに、企業側も自社の事業形態などを踏まえ、制度の選択あるいは業務別に異なる制度を取り入れるといったことが行われている社会が理想であると考えます。
 
 さて、この状況を前提とした場合、今の仕組みの問題点は何かというと、終身雇用形態と非終身雇用形態の選択上の条件がアンバランスであることと思います。具体的にいうと、非終身雇用形態の場合、雇用の安定性が確保されていない代わりにその分をリスクプレミアムとして給与に反映されていなければならないはずです。しかしながら、実態の非終身雇用形態は、雇用の安定性が確保されていない上、給与が低い(特定の専門職は除く)状態にあり、働く側からすると積極的に選択しようという気になりません。
 
 一方、企業側からすると、かなり自由に解雇可能なうえ、正規雇用者ほどの給与を支払う必要がないため、積極的に選択したい雇用形態ということになります。このような状況下では、終身雇用と非終身雇用の共存・融和した社会は期待できません。最悪の場合、終身雇用を望む労働者vs非終身雇用を望む企業という対立を生み出すことになると思います。
 
 以上を踏まえ、私は「非終身雇用形態の労働者の最低保証賃金の大幅引き上げ」を提案します。これは、先に述べたリスクプレミアムを保証しましょうというものです。つまり、終身雇用形態とは、「給与は低めだが雇用の安定性が確保されているもの」、非終身雇用形態とは、「月々の給与は高額だが、将来の雇用の保証がないもの」と位置付けをはっきりさせるための仕組みです。
 
 今の状況は、「雇用形態の多様化」などをうたい文句に派遣社員に関する規制緩和などが導入されてきた結果のものでしたが、その実態は企業側にとって圧倒的に有利な仕組みでしかありませんでした。私の意見はこの企業側にとっての有利な状況をバランスさせようというものです。一方、勝間さんの提案はこのバランスの是正には手を付けず、不利な状況にある労働者側をサポートしようというものに見えます。しかしながら、本質的な問題点を放置したまま対処療法のような施策を実施しても、何の解決にもならないように思います。

116 Commented by 薮下 宏美 さん 2009年4月17日 12:12
 

賛成です。
 
 終身雇用制度は、同じ会社で働き続けられる人(おもに男性)にとっては良いものでしたが、さまざまな事情で働き続けられない人(多くは女性)にとって不利益をもたらし続けています。
 
その不利益とは、
1、正社員としての再就職が難しい
2、非正社員の待遇が、正社員と比べて著しく劣る
 
 これが、従来は多くが女性の負担となっていましたが、現在は男女問わず若い世代の人々にも及んでいます。すると、世帯収入で考えた場合、低所得世帯が増えていくということになります。そうすれば少子化、国の財政の悪化、それに伴う生活の質の悪化は免れないでしょう。
 
 今の終身雇用制度下で見える構図は、非正社員の犠牲の上に立った正社員の富です。これは健全でなく、この「富」は分配されるべき、つまり終身雇用制度を見直して
正社員・非正社員の区別なく働ける社会にしていくほうが、長期的に見て今後の社会を活性化します。
 
 終身雇用制度は、好むと好まざるとにかかわらず、正社員比率が高い現在の40代の引退とともに終わっていくでしょう。何の対策もないまま低所得の非正社員が国民の大多数、という事態を避けるためにも、今から正社員と非正社員の待遇・所得格差を少なくしていく必要があります。

115 Commented by 植野英之 さん 2009年4月17日 10:40
 

 私のような終身雇用を前提とした日系会社をやめて、いわゆる外資系へ転職した多くの人々は、すでに終身雇用の概念はまったくなく、リストラなど退職の際のしのぎ方を考え、単なる職歴ではないスキル、実績を思いっきりアピールした内容の日英レジュメを用意して、常にリクルータやヘッドハンターなどと日常的に情報交換していると思います。
 
 勝間さんの提案される施策は、こういう外資系の多くの人々が自己責任で転職・勤務して、また常に自己防衛をしている状況を一般化するもので、一般レベルでの雇用のスムースな流動化には大変よいと思います。
 
 ただ、終身雇用制のよいところは、このようなシステムのない欧米にくらべて、新卒でスキル実績などのない若いひとが正社員になれる道で、学歴の問題はあるにせよ、方法としてはすぐれていると思います。欧米では新卒一括採用というのがなく、非正規で働き初めて、何年もやってスキル・実績をつけてやっと正社員になれるというのが現状とのことですので、日本のこの新卒一括採用、終身雇用制度は、制度として大事にしたい反面、状況はそれを許さなくなってきており、せっかく新卒で入社した若いひとも3年以内に多く(たしか1/4 ?)が離職するというが現状です。
 
 終身雇用のよい面を残しつつ、職業訓練の拡充やジョブカードといったセーフガードの充実をして需給のミスマッチを少しでも減らしていくような方向性になっていってほしいと思います。このままの状況では子供の時代の就職が大変心配です。

114 Commented by 松元隆明 さん 2009年4月17日 2:53
 

 私は、「終身雇用を見直そう」という意見には賛成します。
 
 ただし、「強化」の方向、すなわち勝間さんのご提案とは逆の方向での見直しです。
 
日本は世界一の長寿国であるにもかかわらず、「定年」があります。その定年を廃止し、真の終身雇用にするべきだと思います。
 
 「20歳前後で就職し、60~65歳で定年をむかえ、その後年金で20年くらい生活する」という「40年労働、20年年金モデル」の維持には、高成長と人口増が必要です。
年金には、最低限度の生活を維持するための下限金額がありますから、これからの日本では、「元気な限り働ける道」を十分確保しない限り、年金財政が破たんしてしまいます。
 
 また「もはや、終身雇用は維持できない」というのを、「40年間の雇用を約束できない」という意味でとらえると説得されそうになりますが、実際に労働組合に持ち込まれる事案を見る限り、「一部の人間(=経営者)の収入を維持するために、話し合いや交渉抜きで、 (扶養する家族のいる)本人の都合や意思に反して辞めさせる一方で、
 (賃金の安い)若い人を新たに雇用している」というものが多いんです。
 
 少なくも、勝間さんの提案されている、(1)から(3)は、終身雇用の維持・廃止にかかわらず、実現できるものですし、人手の足りない業界への就職も、意思に反した強制解雇により実現するよりは、需給が均衡する賃金を支払いによる解決を探るべきだと思います。

113 Commented by 山田尚行 さん 2009年4月16日 23:19
 

 勝間様のご提案の目指されるところは賛成です。 しかし、この論点は限りなく解決困難なものであると考えます。
 
 終身雇用制度は、年功序列賃金制度と同様に法制化されたものではなく、戦後半世紀の間に整備された経営上の慣行です。
 
 その根拠は、
(1)継続的勤務をすることによる、業務能力の向上発達に見合う報酬として
(2)形に表せない、本人しかできない技術を蓄積し伝承する能力に見合う報酬として
(3)将来の経営幹部候補者としての、訓練・準備に見合う報酬として
(4)家族の増加・成長を通して、将来の労働力蓄積に見合う報酬として
(5)従業員の継続的確保のための、福利厚生とモチベーションとして
ということがあげられます。
 
 確かに、終身雇用制度を維持するには、内需・外需を問わず高成長とそれに対応する人口増加が必要で、昨今その条件を満たせなくなりつつあります。
 
 「もはや、終身雇用は維持できない」というよりも、「国際競争力を維持するためには、日本の賃金水準では、全従業員を対象にした終身雇用制度は維持できない」時代になったということです。
 
 日本の産業構成は、自動車・電機・鉄鋼産業の完成品メーカーだけで100兆円、その下請け関連を含めるとGDPの半分近い生産額となり、そのマーケットは内需だけでは全く足りず外需依存となります。 中国を筆頭にアジア諸国が世界の工場と化した現在、国際競争力がなければ工業製品輸出国の生存する道は閉ざされます。
 
 ところが、日本では、従業員は時間をかけて社内で育成するものという考え方が強く、まだまだヘッドハンティングのように外部調達でまかなうという風土ではありません。ドイツのマイスター制度のように、そのような風土は日本固有のものではないことも事実です。
 
 この種の伝統的制度・規範から生じる課題を論じると、抜本的解決策は現れず、いつも中途で行き止まりになってしまいます。 その最大の理由は、日本のGDPの半分を担っている企業が、それらの制度を経営上の慣行として必要としているからなのです。
 
 私は、今後行うべきことを以下のとおり提案します。
  
(1)失業保険を給付強化しても、それにより再就職率が急増する保障はありません。
むしろ、安易に失業保険を受給し、それが終了しても不就業状態が続いている場合、より悲惨な結果を招きます。 
 
 労働者特に非正規雇用者は、雇用の不安定さを認識し、将来のために貯蓄と自己研さんというセーフティネットを日頃から張るべきです。 いつの時代でも、「アリとキリギリス」の教えは心に留め置くべきことです。
 
(2)ジョブカード制の普及を図るとしても、それはひとえに企業の雇用姿勢に依存します。 現在既に、同じ業界の同じ職種であっても能力レベルに格差があります。 企業は、どの程度までそのレベルを標準化できるのか、ジョブカードを公的資格として認証するのかを明確にすべきです。 現在、ジョブカードは何の市民権も有していませんが、雇用責任の一環として有効化することは必要です。
 
(3) 公的負担の職業訓練充実は重要ですが、社会人になってからでは遅すぎます。 一般的な職業訓練よりも企業のOJTのほうがはるかに強力で実践的であるため、継続雇用の従業員と途中採用の従業員との能力差は、時間の経過とともに開く一方です。
 
  政府は、特に中高生の学校教育において、数学や英語だけではなく、自己責任の意味・金銭管理の重要性・社会人生活の基礎知識等を学ぶ教科を整備すべきです。 高校を卒業すると、すぐに半数の人は社会人となります。 現状は、あまりにもそのような教育体制がなさすぎます。
 
 (4)その他の手立てとして、
   ・第1次産業の公的支援による活性化と雇用拡大
   ・官営事業の民営化推進          〃
   ・学校教育の職員、設備、内容拡充による  〃
   ・医療、介護の職員、設備拡充による    〃
   等があげられますが、いずれも決め手に欠けます。 慣行に関する課題は、それほどに対策が困難なものと再認識します。

112 Commented by 西澤マチ子 さん 2009年4月16日 23:10
 

 賛成です。
 
 公務員を真っ先に終身雇用からはずしてほしいと思います。民間では昇進も退職金もないご時勢に、その両方を確保し、しかも業績を要求されない公務員が居る限り議論は前に進まないと思います。
 
 私が暮らした国では公務員でも民間でも失業保険も年金も同じ条件でした。失業すれば職業に関係なく(公務員であろうが、派遣であろうが)同じ条件で失業保険がもらえます。よって、公務員と民間の流動も普通に起こります。
 
 職業訓練はとても盛んでした。たとえば、肉工場の工員さんが学校に戻り高校教師になりました。また、別の友人は看護助手でしたが、リストラが視野に入ってきたので、専門学校に行って作業療法士になりました。これらは本当の話です。このような大胆な職業訓練が可能であるのは、24歳以上の人が学校に戻る場合、5年間の奨学金をもらえることと、入学試験がないことです(卒業は勉強しないとできません)。日本は一度人生のレールから外れるとやり直しはほぼ不可能です。大人になってから学校の勉強の重要性を感じたり、手に職をつけたいと思ったり、自分の適性に気づいたりしてもやり直しのチャンスが得られにくいと思います。
 
 私自身は終身雇用を体験として知りませんが、正社員の解雇の困難が企業の疲弊につながるというようなことを聞きました。しかし、反面終身雇用してもらっているのでサービス残業したり、忠誠心を要求されたりするのでしょうか。もしそうであれば両者にとって窮屈な関係であると思います。外国には終身雇用はありませんが、必要な人材なら解雇されることなく定年まで勤める人もいれば、もっと条件の良い職場に移っていく人もたくさんいます。失業保険と職業訓練制度がしっかりしていれば終身雇用の必要性は企業にも労働者側にも必要ではなくなるのではないでしょうか。

111 Commented by 岡橋正明 さん 2009年4月16日 19:33
 

 終身雇用は、ある意味、入り口ですべてが決まってしまう、途中やり直しがしにくいという点で反対。なので、終身雇用を見直そうという提言には賛成です。労働も、さらに市場に任せるべきだと思います。
 
 しかし、終身雇用と現在の雇用状況、非正規雇用が増加した理由を結びつけた以下の文章の特に後半には、全く賛成できません。
 
 「終身雇用の維持には、高成長と人口増が必要です。残念ながら、日本はその条件を満たせなくなっています。企業はこれまで雇った社員に優先して賃金を渡さなければいけないため、新規の正規社員雇用の機会が減り、若年層を中心に非正規雇用が急増する結果になりました。」
 
 労働市場という言葉があるように、就職も売り手市場、買い手市場があります。日本で買い手市場の傾向を決定的にしたのは、男女雇用機会均等法です。女性の社会進出を容易にするという表向きの意義とは別に、その下心は、労働人口増加によって、買い手市場に転換し、賃金低下を図るものです。誤解のないように言いますが、男女格差があっていいと言っているわけではありません。
 
 経済状況が悪いなか、人件費圧縮を狙って供給過剰な労働市場に誘導したのであって、先に雇った社員に優先して賃金を渡さなければいけないなどと考えていなかったことは、当時のリストラの嵐で明らかです。

110 Commented by 谷仲 俊 さん 2009年4月16日 18:53
 

そもそも「終身雇用」とは、労使双方にメリットがある概念だと思います。
 
 企業にとって解雇を非常にしにくいという法律的な面はありますが、それだけではないでしょう。“成果”や“成果をもたらす能力”だけが、従業員の価値ではないように思います。
 
 ここに投稿されている方々は、非常に才能あふれる方々なのでしょう。「無能な中高年を解雇して、能力ある若者を雇用すべきだ」的な発想は、私には無理です。このような方は「あなたは解雇」と言われたら素直に「私の能力が劣るからだ」と納得されるのでしょうか?
  
 私は、中小企業の経営スタッフにいるものなのですが、そこまでドライに考えることはできません。能力あふれる若者がいても、既に仲間になっているものを“能力だけを理由に”解雇することはできません。企業は、爆発的な成長だけを望んでいるわけではありません。順調に成長すればいいのです。(ちなみに、今まで新卒採用は数えるくらいで、ほとんどが中途採用ではあります。)
 
 ところで、以下の仮定が成立する社会は、素晴らしいのでしょうか?
・企業が従業員の解雇を容易にできるようになる
・個人は、正社員・契約社員・派遣・・・など自由な働き方を選択できる
・個人は、自分のスキルをもって、どんどん転職する
・同一職種、同一賃金を実施する
 
 経営側にいる私にとって、社会全体に合わせなければなりませんので、こんな状況を考えてしまいます。
・企業は極力正社員を雇わない
・正社員にのみ、企業秘密に関わる業務を担当させる
・正社員は高給にし、他に移らないように最大限のフォローをする
・大部分の従業員は、契約社員・派遣社員とし、正社員の支援業務を担当させる
・いついなくなるか分からない契約社員・派遣社員には、企業秘密を触らせない
・当然、正社員とそれ以外は、同一職種ではないので、賃金は大きく異なる
・著しく有能な契約社員・派遣社員は、厳選の上正社員に抜てきする
・査定で平均以下の従業員は、「あなたには能力がない」で即解雇
 
なんと殺伐とした社会になるんでしょうか?
 
確かに「スキル」は重要ですが、
・スキルは教育で
・スキルを保証する制度を
だけで議論される「スキル」は、一面的過ぎませんか?
 
私は、「一度仲間になったんだから、いつまでも一緒にやっていこうよ」という企業文化の方に、魅力を感じます。

109 Commented by 今井啓二朗 さん 2009年4月16日 17:18
 

 勝間さんの意見に賛成です。
 
 失業後の民間の労働者に対してはよい提言だと思うのです。しかし一つ気がかりなことがあるのです。失業する前の労働条件のことです。それは公務員が身分保障されていることです。現時点では収入も良く、身分が保証されており犯罪でもしなければ解雇されることはありません。つまり失敗しなければ失業しないことです。
 
 かたや民間の労働者は成果を上げなければ実質的に解雇させられます。職業の選択は自己責任だから仕方ないとも言えますが、少しでも国民全体が公平に労働できる条件を整えてもらいたいと思います。
 
 あと、どこかの地方公務員だったと思いますが、普通に働いていればもらえるそうですが「勤勉手当」と言う手当があるそうです。公務員であれば職業の性質上、勤勉が当たり前と思えるのですが、不思議なことです。

108 Commented by 中澤 佑介 さん 2009年4月16日 16:30
 

 終身雇用を見直そう、という提言には賛成、というより日本で終身雇用という制度で雇われてきた人がどれくらいいるのか?という疑問があります。
 
 90年に野村證券が行った調査では、学校を卒業してから定年まで同じ会社に勤め続けてきた人は全体の30%程度。バブルの頂点だったこの年ですらこの数字。いま同じ調査をすればもっと低いでしょう。正直言ってこの程度の割合で終身雇用制度を日本の特徴と言うのはどう考えても無理があるのでは?私としては年功賃金と新卒一括採用が日本の雇用の特徴ではないかと感じます。
 
 まず、年功賃金に関しては制度自体が誤解されてい事が多いと思います。この制度は勤続年数が長くなるほど給料が上がっていくシステムだと一般に思われていますが、実際は2-30代の若いときの給料を安く抑えて、逆に40以上になると急に給料が上がっていくというのが正しいです。何故こんなシステムなのか?それはこの制度を導入した1950年代の企業の年齢別人員構成にあります。当時は20代の社員が従業員の過半数を占めていたので(それより上の世代は戦争で多く亡くなったので)、当時の企業からすれば人件費削減のために若手社員の給料を抑えるのが最大の課題だったのです。そのために将来長く勤めれば給料が上がると期待を持たせて、若手の給料を安く抑えるというシステムになってしまいました。
 
 以上の経緯を踏まえれば、働く者の立場とすれば年功賃金に賛成はできません。少し前に多くの企業が年功賃金を廃して成果主義を導入すると表明していましたが、このような経緯を考えれば、年功制をなくすのなら若手の賃金を上げるのが本来筋のはず。でもそんな事を行った企業は私は知らないです。今も昔も企業はコストカットしか考えていませんね。
 
 そしてもう一つ、新卒一括採用の方も振り返ってみると、こちらは今の団塊の世代を採用するときに形作られた制度です。皆さんご承知のとおり、この世代は人数が多い。そんな彼らを採用するときは、同じ時期に一括で採用するのが一番効率的だったのです。しかし現在はこの時に比べれば採用人数は圧倒的に少ないわけで、昔は良かったシステムを惰性で続けているに過ぎない。企業サイドからみれば、学卒者は若いから長い期間働かせられるというのがメリットなんでしょうが、逆に言えばそれしか長所がないように思います。
 
 以上の理由から勝間さんの終身雇用を見直そうと言う提言には賛成です。で、提言の方ですが(1)(2)は賛成なんですが、例えできたとしても対処療法の域を出ないかと。個人的には(3)のジョブカードは実現できれば本当にすばらしいと思います。ただ現実的に導入となると正直不可能に近いと思うので必ずしも賛成、と言えないところが・・。理想を言えば、個人の能力に応じた賃金が支払われるのがベストなのでしょうが、それを実現するための具体策となると難しいところです。

107 Commented by 中道 英郎 さん 2009年4月16日 16:09
 

 私は、全く反対です!終身雇用制は世界でもっとも優れた雇用制度なのです。

 特に昨今の労働者の位置付けは人間が人間として崇高なものであるという基本的な観点が欠落しています。労働者は単なる商品であり、必要な時以外は無用の物であるという考え方がはびこってしまっている。
 
 昔は労働者とはほとんど正社員という位置付けだったのだ。それから段々と働き方が複雑になってきて、パート、契約、請負、受託、派遣といった労働者が誕生してきてから、労働者間で仕事の内容、働き方等々によってあらゆる差別が発生してしまった。
 
 終身雇用制度は、人間としてのライフワークとしての生活と見事にマッチングしているのだ。学校を卒業して会社に入り最初のころは確かに賃金は低いものとなるが、年齢とともにスキルも磨き、さらに向上していくものと考えるが、同時に20代で結婚し、30代で子供が生まれ、その後にマイホームを持ち、子供の教育費の増大、老後の蓄えと実に終身雇用制度は生活と密着しているのだ。
 
 終身雇用制度は少子化をさらに進めていくという意見を多く見たが、それは全く逆の発想だと気が付くはずだ。終身雇用制度こそ少子化に歯止めを掛ける有力な武器なのだ。終身雇用制度であっても、その他の制度であれ、一人の稼ぐ生涯賃金はおのずと決まっているのだ。その決まっている生涯賃金を、時間を掛けてもらっていく方法が終身雇用制度なのだ。将来に対し、不安の無い、希望のある未来が展望できるのだ。
 
 また、別の角度から問題提起をさせていただきたい。パート労働者は賃金が時間給で安く使え、おまけに一時金や退職金も必要では無く、企業側としては経費が安く済むという労働力としか考えていないと思う。本来なら自分の余暇時間を労働時間に回すという働き方であるが、本来なら短時間勤務労働者という概念なのに、残念ながら日本では今持ってパート労働者は賃金が安く済むという概念しかない。又、男女同一労働同一賃金という法律上の取り決めがあるにもかかわらずその実効は民間企業ではまずあり得ない実態となっている。
 
 ヨーロッパの特にドイツでは実施されているのだが、日本では同質的労働同一賃金制度が全く検討すらされていない。だから、パート労働者の賃金実態は低いし、同時にパート労働者の地位向上は中々進んでいっていない。この制度が新たに機能するようになれば、パート労働者の地位向上、及び全国的な最低賃金も大幅に上昇することは間違いないだろう。
 
 是非とも今後この論議をみんなで深く広めていきたい。

106 Commented by 鈴木太郎 さん 2009年4月16日 14:56
 

 公的負担の職業訓練充実など国に任せっきりのシステムは基本的に良くないと思います。なぜなら、行政にはたいした力も信頼も無いからです。
 
 たとえば国に職業訓練を何とかしてくれと言っても、ほんとに充実したものは出てこないと思いますし、また金を無駄遣いされてしまうだけだと思います。国に対してああしてくれこうしてくればかりじゃ、一般人もまた国への依存と自分たちの怠惰や無力化を生むだけです。
 
 大切なのは民間や一般の個々の人間が努力して作り上げるシステムや環境で
そのために国が支援するというあり方だと思います。役人ではなく、一人一人が力を発揮していくような形がいちばん望ましいです。(このことはこれからも心に留めておいてほしいです)
 
 ではそのためにどうすればいいのかは、もちろん試行錯誤が必要になりますが
方向性としては国の支援を企業の側にあてるのもいいと思います。たとえば企業が社員を育てやすくするための支援や企業が社員をリストラせざるを得ない時にそれを回避させるための支援なども良いかと思います。
 
 たとえば、失業者の研修費用などの一部を国が負担することで、企業が社員を雇いやすくなるかもしれませんし、即戦力になるような職業訓練にもつながると思います。
同業種が合同で研修しやすくするシステムも良いかもしれません。
 
 それと多くの人が雇われていることを理想とするのなら、一部の人が長時間労働させられるということを規制する必要はあるかもしれません。極端な話、残業(サービス残業も)を禁止にしてしまえば必要な社員の数は増えますし社員も早く帰れるので消費もかなり増えると思います。

105 Commented by 野田卓也 さん 2009年4月16日 14:22
 

 日本企業は無意識的に人を採りすぎていました。もはやボランティアです。これは海外同系企業の売り上げと社員の数を比べてみれば一目瞭然です。 
 
 経済がグローバル化し外資的な考えやタックスヘイブンのような場所が登場した現代においてただでさえ法人税が群を抜いて高い日本でボランティア的な求人を行うことを企業側がやめただけではないでしょうか。
 
 正規社員雇用についても、例えば理系大卒であれば求人倍率は現在でも1.5を超えていますし、工学系の需要が多い分野では5倍を超えています。バブル崩壊後の不況でもこの数値はあまり変わりませんでした。日本は今回ダメージが少ないので大手銀行などはバブル期に有名になった"囲い込み"までしています。
 
 高校生の半分以上が大学に進学する時代ですから大卒を例に採りました。高卒の新卒採用はかなり地域差が出ます(好景気時でも北海道や東北、沖縄では1未満であったり)ので今回は除外します。
 
 被害者であるか、自業自得の要素があるかで議論の前提が変わってきます。勉強をせずに大学に進めなかったのに、多くの企業が大卒必須なのは高卒切りだ。と騒いでも意味がありませんよね。
 
 最後に終身雇用についてですが、アメリカでは日本的な"社員は家族"が特にIT業界で最近注目されていて終身雇用も興味の対象になっています。勝間さんが冒頭でおっしゃられている"忠誠心の高い社員を低コストで雇い、各社のニーズに合った人材を中長期の視点から育成する"これですね。
 
 むろん、向こうでは低コストとはいきませんが。単なる雇用スタイルの問題なので余り関係ないように思います。

104 Commented by 鈴木 哲 さん 2009年4月16日 14:20
 

 すでにかなりの方が指摘されていると思いますが、そもそも「終身雇用制度とはなんぞや」という分析と、国民的共有が必須だと思います。
 
 私のイメージしている終身雇用と、他の人のイメージはおそらく微妙にずれている
ところがあるのではないか、と想像されます。
 
 終身雇用制度はいくつもの細かい制度が組み合わさって形成されていると思われ、
その中には廃止すべきもの、残すべきものがあるのではないかと考えます。結論が出るか出ないか別として、この議論を通して「終身雇用制度」についてのイメージを共有していくことが必要でしょう。
 
上記を前提にして導入すべきなのは、
 
 「同一労働、同一賃金」だと考えます。
 
 これは既得権益者にとってはかなりのつらい制度になるだろうと思いますが、これが常識として受け入れられれば、全体としての終身雇用制度は形骸化していくのではないかと期待しています。


103 Commented by 高橋雅史 さん 2009年4月16日 13:34
 

 終身雇用制度は正規雇用の規制があるゆえに今も存続しているのであろう。したがって、正規雇用への規制の大幅な緩和が必要となる。今の日本の労働市場は、今回のような突発的な景気の悪化のリスクを非正規、新卒者という既得権益を持たない弱者に押し付けている。この人たちをまず矢面に立たせて討ち死にさせる今の日本の社会のあり方は間違っている。リスクは皆で平等に負担すべき。
 
 しかし、一方で、失業保険、公的な職業訓練など社会保障制度の充実、年功序列的に増える生活コスト(特に教育費が高すぎる!)の軽減(大黒柱がクビになったら一家全員が路頭に迷ってしまう)が同時に必要とされる。これなしで労働ビックバンをやることは改悪である。
 
 そのためには消費税などの財源の確保を議論することも必要である。
 
 従って、今から日本の政治家がなすべきは、 あるべき社会保障のあり方の議論 →財源の議論 →法律の整備(その前に総選挙も必要)→労働ビックバンという流れであると考える。

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