株式会社エースワン未払い賃金闘争 2009.03.28 株式会社エースワン未払い残業裁判 潟Gースワン主張、退けられる
高知一般労働組合では、株式会社エースワン未払い残業問題(サービス残業)で、この間、四年間にわたって闘ってきて三月二五日高知地方裁判所で勝訴しました。 株式会社エースワンでは、未払い残業(サービス残業)が社会的に問題になりはじめた平成一二年頃から、残業代支払いを逃れんために、賃金を基本給(最低賃金)と各種の手当の振り分け、職員の知らないところで、勝手に就業規則を何回も書き換え、各種の手当を全ての比率が残業代に換わるものになる(含み残業制度)ようにし、労働基準監督署の指摘によって都合が悪くなるとそのつど書き換えてきました。当然、月に八〇時間以上の残業をしているにも関わらず、賃金の支払いは変更せず会社は「支払い済み、むしろ多く払っている」と居直っていました。 このたび、このような株式会社エースワンの行為に対して、高知地方裁判所平井裁判官は、株式会社エースワンのやり方は不当であるとし、会社に対して、未払い残業(サービス残業)の支払いを命じました。 高知一般労働組合は、四年間にわたる組合運動、三年間にわたる裁判で、大きな勝利を収めることができました。今後は、いまだに含み残業制を行なっている株式会社エースワン対して改善を求める運動をさらに展開してゆきたいと考えています。 速報 株式会社エースワン未払い残業裁判 高知地方裁判所にて 皆様のご支援のおかげで、勝訴することができました。 会社側の主張である、「各種手当てに残業代を含む」というのは認めらず、ほぼ全面勝利となりました。 ご支援、本当にありがとうございました。 2009.02.23 株式会社エースワン未払い残業第19回 口頭弁論が行なわれ結審しました 2月20日、株式会社エースワン未払い残業代第19回が開催され、結審しました。 今回の裁判では、前回の証人尋問と同じ高知地方裁判所205号法廷(最も大きな部屋)で行なわれました。傍聴者が多く、傍聴席は、傍聴者で満席となりました。 結審にあたり、原告田中弁護士から、今回の裁判の要点と主張点をまとめた、口頭陳述を行ないました。参加者たちは、この裁判のがいかに労働者にとって重要であるかを改めて再認識しました。 以下、原告弁護士の口頭陳述全文を記載します。 1 平成18年8月24日に、原告竹内さんと原告山崎さんは被告に対して未払いの残業代などを求めて提訴しました。 特に山崎さんは、現在も被告で勤務しながら約2年半訴訟を続けてきました。 竹内さんと山崎さんの主張は、被告が定額で残業代を支払ったということに対し、定額での残業代の支払いは認められないということです。 そして、先日までの証拠調べの結果、二人の主張の正しさがさらに明白になりました。 2 まず、被告の常務取締役である中山氏は定額制についての就業規則の変更にも携わり、被告の給与体系についてよく把握されている立場であるにもかかわらず、定額制を採用する以前の割増賃金支払状況については把握されていませんでした。 そして、定額制を採用した理由についてはコスト管理が容易になるということを証言されていましたが、その証言は一貫しないものでありましたし、コスト面を考えた検討がなされたとはとてもいえないものであることが明らかになりました。 結局のところ、被告は従前から時間外労働時間を正確に把握して労働基準法に基づく割増賃金を支払うことはしていなかったけれど、残業代未払いに対する社会的非難が強くなってきたことから、労務費全体を据え置きつつ、割増賃金は支払ったという形を整えるため、便宜上定額制を採用した、というのが被告の定額制採用の本質だと考えられます。 3 次に、竹内さん、山崎さんそれぞれの給与体系から、割増賃金が支払われていないことについて述べたいと思います。 まず、竹内さんについて、被告は、役付手当・業務手当・努力手当・早出手当が割増賃金の代償として支給されていると主張していました。 手当の支給によって割増賃金が支給されたというためには、@手当が実質的に割増賃金としての性格を有すること、A手当のうち割増賃金相当部分とそれ以外の部分とが明確に峻別できること、B手当のうち割増賃金相当部分が労働基準法所定の計算方法によって算定された割増賃金部分を下回っていないことが必要です。 しかし、竹内さんに割増賃金の代償として支給されていた各手当は、いずれも役職や個人の能力などに応じて支払われるものであり、労働時間には比例していないということは中山氏自身が認めるところでした。すなわち、@の手当が実質的に割増賃金としての性格を有するとはいえないのです。 さらに賃金規定からはどの部分が割増賃金相当部分なのか明確ではなく、Aの要件も満たさないことは明らかです。 このように、竹内さんについては、手当の支給によって割増賃金が支給されたということは到底できません。 4 次に、山崎さんについても、雇用契約書に記載されている「時間外・休日・深夜割増含みます」という文言ではどの部分が割増賃金であるか明確ではありません。 そして、山崎さんは雇用契約を作成する際に日給制になったときには「日当給は7800円である」時給制になったときには「時給930円である」との説明を受けており、割増賃金については何らの説明もなかったのです。 当時、労働基準法などについてほとんど知識のなかった山崎さんがそれ以上に深く雇用契約書の内容を確認し、疑問を抱くはずがありません。 雇用契約書の内容からも担当者の説明からも、山崎さんの賃金のどの部分が割増賃金であるか明らかではなく、山崎さんに対して定額制で割増賃金が支給されたということは到底できません。 5 そのほか、竹内さんの裁量休憩について、山崎さんの平成17年7月16日以降の賃下げ、平成18年4月16日以降の労働時間についての争点につきましても、これまでに主張してきたとおりであり、証拠調べによっても被告の主張を裏付けるものは一切ありませんでした。 6 以上の通りであり、請求の趣旨記載の判決が下されるべきだと考えます。 次回、判決は、 3月25日(木)13時15分から 高知地方裁判所です。 2009.02.02 株式会社エースワン第18回 証人尋問、決起集会が行なわれました 新年早々、一月一六日、株式会社エースワン未払い賃金(サービス残業)裁判第一八回目証人尋問が行なわれました。会社は社員を日当動員してくるなど、今までない攻勢をかけてきました。傍聴は抽選(抽選時五五名、後から一二名)となり、十数名が中に入る事ができませんでした。 この裁判は、労働局の是正勧告が入るたびに、賃金総額は変更させず、職員に秘密裏に振り分けた手当に残業代を含ませるという、行為を行なっていました。 このことで、僅か一八万で月三〇〇時間(通常労働が月一七六時間)もの労働を行なわせていました。会社の主張では、基本賃金を一〇万(時間給六二五円)と計算して、残業代は「むしろ多く払ってやった」と開き直っていました。 今回の証人尋問で被告証人中山太陽常務(中山土志延代表取締役社長の長男)は、尋問で、含み残業代としていた各種手当てに付いて 弁護士:「手当ての内何%が残業代の部分になるのですか」の問に 太陽:「一〇〇%残業代です」と主張ししました。また、 弁護士:「含みにしたのはコスト削減で行なったとしていますが時間管理を行なうための事務経費コスト削減ですか」 太陽:「そうです」 弁護士:「では、ななた方の計算根拠(時給六二五円)では、実態の三〜六倍もの残業代を支払った事になりますが、会社の従業員は五一二名、正社員だけでも二一一名います。たとえば、正社員だった竹内原告の例を取りますと、あなた方の計算では、月に五万円多く払った事になります。これを正社員だけとしても、毎月一〇〇〇万多く支払っていることになりますが、それでも管理事務経費削減のためのコスト削減のために含み残業制度を入れたのですか」の問に 太陽:「結果としてそうなってんで、関係ない、むしろ多く払っているんだから、その方が従業員が喜ぶ」と取り乱したような状態でした。 最後に、平井裁判官から質問があり 裁判官:「含み残業を取り入れる前は、法定通り残業代を払っていたんですか、そのときの実体計算は出しているのですか」の問に 太陽:「それは、分かりません」と答え 裁判官:「では、以前は払ってなかったという事もありうるんですね」の問に 太陽:「分かりませんけど、間違いなく払ってます」と意味不明な答弁を行ないました。 証人尋問、全体の印象として、中山太陽常務の発言は一貫性、客観性が無かったです。裁判官もあきれていました。 今回の証人尋問で第三回口頭弁論で平井裁判官が「脱法的」と表現したように、会社は、未払い残業を逃れるがために、職員を騙し含み残業制を導入した事は明確になってきました。しかし、裁判は最後まで油断できません、この問題はエースワンだけの問題ではなく低賃金長時間問題の温床になります。これからも頑張ってゆきます。 ★同日開催★争議者決起集会 1月16日「エースワン未払いを解決及び争議者の連帯を深める決起集会」が、高知城ホールで40人の参加で行われました。 担当の谷脇弁護士から今回の裁判の争点や意義が話されました。その中で「ここ何年か前からサービス残業が社会問題化するなかで、中小企業が賃金の総額を変えないで、残業代を支払ったかたちにするために賃金を基本賃金と手当てに振分けるやり方が最近増えてきている。この戦いは中小企業の労働者みんなの戦いである」と戦っている二人を激励しました。 その後高知県労連田口書記長から「労働相談センターにも解雇や未払いなどの相談がどんどん寄せられている。高知一般も高知県労連のローカルユニオンとして大きく役割を果たしてほしい。県労連と連帯して頑張っていこう」連帯の挨拶がありました。次に春名なおあき元衆議院議員から「去年末からの派遣切りなど、働くものの権利が脅かされていることに大きな怒りが広がっている。そのような労働者たちの団結で日本を変えていこう。高知でその先頭に立っているのがエースワンと戦っている二人だ」と激励しました。 その後参加者からの秦高知市議員などから質問・発言がありました。 今高知一般で現在戦っている仲間の紹介がありました。エースワン(未払い賃金訴訟)・駅前観光(不当労働行為・未払い賃金訴訟)・四国毎日広告社(解雇)・モデルハイヤー(解雇)・ベルモニー葬祭会館(期間切れ解雇)・四国和装(倒産解雇)・タンタン麺一番亭(事業所閉鎖による解雇)等。 最後に参加者全員で『闘うわれら』『がんばろう』を合唱しました。その合唱は録音され、今後の宣伝活動に活かしたいと思っています。参加者の皆さん御協力ありがとうございました。 次回エースワン未払い残業代裁判第19回口頭弁論 2月20日(金) 10時30分 高知地方裁判所 皆さん傍聴支援をよろしくお願いします。 2008.11.27 株式会社エースワン第18回 証人尋問行なわれます。 もの問題は、賃金を最賃並にし、残りの差額を残業代と称して、サービス残業を行なわすなど、働く労働者を騙し続け、今でもその状態が続いています。 裁判の中で、第3回口頭弁論では、平井裁判官は『脱法的』との発言もあるなど、審議を進めていく中で、会社側のおかしな点が多々出てきています。 裁判は、異例の17回にも及ぶ長い闘いなっており、今回やっと証人尋問となりました。 証人尋問は、 原告:竹内組合員、山崎組合員 被告:中山太陽本部長 裁判日時:2009年1月16日 14時〜17時 場所:高知地方裁判所 皆さんの傍聴を是非よろしくお願いいたします。 2008.06.04 株式会社エースワン第13回裁判が行われました。 6月4日株式会社エースワン裁判第13回目が行われました。前回12回目の裁判で、こちら側か提出した時間外の計算に付いて、会社側からの反論が出されました。 会社側が提出した反論の内容は、組合員に対して、通常の休憩時間とは別に、1日70分の休憩を取っていたので、その部分を、労働時間から引くことを主張してきました。これは、トイレ等やちょっとした手待ち時間の休息(1回約10分)を1日7回で計算して、その分仕事をしていなかったと称して、労働時間から引くものです。 このことは、2年前の裁判前の団体交渉の中で、会社側がいってきたことで、就業規則、会社通知などには一切記載されておらず。組合員に対しても口頭でも一回も言ったことがないものです。後付で出してきて、会社はこれを『規定外休憩』といっていました。 組合の、「客観的なものはない一つない」追及で、会社は全く反論できない状態で、裁判が始まったときでも最初の答弁書には全く触れてきませんでした。 しかし、今回、裁判が始まって13回目(2年後)で、理論破綻しているものを再び出してくるくることは、いたづらに時間稼ぎをする、不誠実極まりない行為です。 裁判官からも、客観的なものは、ないのではないかとの追求に、会社はよく反論できませんでした。 このような、会社の対応に私たちは闘ってゆくきます。 また、5月20日の日本マクドナルド発表は、総額賃金変更せず、手当てを残業にする、まさに、エースワンそのものです。エースワンはこの問題の先駆けの闘いとなっています。 次回の第14回裁判は、7月15日、16時からです。皆さんの傍聴支援をよろしくお願いいたします。 2007.11.29 株式会社エースワン第8回口頭弁論が行われました 11月29日株式会社エースワン第8回口頭弁論が開催されました。傍聴者は15名でした。今回の口頭弁論では、一定の証拠が出揃い、裁判の進行に付いて話し合われました。 今後の進め方で、裁判官が双方個別に話を聞くということで、はじめに会社側が呼ばれ、話をしました。次に、こちら側が呼ばれ話をしました。 次回の裁判は、年明け1月11日、午後3時からです。 2007.11.17 株式会社エースワン未払い残業問題について 概要 監督署に強制捜査に入られています 株式会社エースワン(本社高知市御座、代表取締役社長 中山土志延)は、高知県にスーパー4店舗、焼肉店2店舗、カラオケボックス1店舗あり、ほかに香川県でスーパー3店舗、愛媛県にスーパー1店舗ある会社です。特にスーパーは、県内では安売りで有名な店です。 ここの会社で、高知労働基準監督署から平成5年、平成13年に割増賃金未払いなどで、是正勧告を行われているが、一向に事態が改善されず相談が相次いでいたことから、平成17年(2005年)2月11日に強制捜査に入られています。また、強制捜査後、平成18年(2006年)3月2日に高知労働基準監督署は株式会社エースワンを書類送検しています。 株式会社エースワン未払い残業これまでの経過と会社手口について 高知一般労働組合は、株式会社エースワンの元社員、社員が未払い残業の件で相談に来たため平成17年(2005年)8月から会社との交渉をしてきました。当初は、会社側は弁護士を立て書面上で十分とし直接交渉には積極的に応じようとしませんでした。 相談から、会社側から就業規則、36協定、タイムカードを入手し精査してゆく中で驚くべき実態が明らかになってきました。総額18万の賃金の労働者で基本給10万、各種手当て8万とし内、深夜、休日、時間外手当として6万を含みにさせるという就業規則を作成して36協定で残業時間上限いっぱいまで決めることをしていました。 当然、労働者たちには就業規則の内容はもちろん従業員代表ですらどのように決め誰なのか不明な状態になっていました。 地方労働委員会の斡旋にかけ直接交渉ができましたが、会社側は就業規則、協定は正当で違反はないと主張しましたが、36協定以上に労働をさせていた実態もあいまって、交渉のすえ、1名の労働者は解決金で和解することができました。 しかし、その後ほか複数名の労働者に未払賃金があり、実態も変わっていないと、再び会社との交渉となりました。この交渉では、会社側は弁護士を代理人としてたてきて、今年の3月2日、労働基準監督署の書類送検の内容「従業員代表は虚偽で36協定は無効」の判断に対して、代理弁護士は別件であると主張し一切触れようとしませんでした。 まして会社側は根拠もなく休憩時間を多く与えていたと主張し残業代は支払済みとしてきました。6回に及ぶ交渉をしましたが平行線で終わり時効も迫ったため法廷での審判となりました。 06年10月20日、1回目の口頭弁論では5分で終わりましたが、傍聴席が埋まるぐらいの参加(傍聴者18名)があり、裁判官も一瞬驚いていました。 今回の裁判は、単に未払い賃金の請求ということだけではなく、低賃金・長時間労働を許すのか、そうでないかが、問われる裁判です。 06年12月8日、2回目の口頭弁論では全会を上回り22名の傍聴者が集まりました。本人たちは傍聴席ではなく、中に入って参加しました。 その後、07年2月16日第3回口頭弁論(傍聴者18名)、07年4月13日第4回口頭弁論(傍聴者19名)、07年6月18日第5回口頭弁論(傍聴者15名)、07年8月20日第6回口頭弁論(傍聴者16名)、07年10月3日第7回口頭弁論(傍聴者17名)が行われました。 裁判では、会社側は合法に支払い済みと主張し、含み残業制に付いては、経営上有利なので行っていると主張しました。こちら側は、含み残業制は、何が何の割増賃金にあたるのか明確になってないことから無効であるのと、経営上としているが、会社側の計算によると実際の労働時間の3〜6倍もの割増賃金を払っていることになるのは、経営上まずありえない行為で含み残業制は、残業代をまさにごまかすため行っており、払ったとはいえないと主張しました。 このなかで、頻繁に就業規則の改定が行われており、就業規則で定めることと、その変遷が問題になってきました。 第5回目の口頭弁論では、過去の就業規則の提示は、個別問題であり必要ないとしてきました。しかし、この問題は就業規則の変遷が重要であるして、提示を求めました。また、この変遷について、裁判官自ら「脱法的」という発言も行われました。 第7回口頭弁論では、就業規則の提出についてまだ出されてなかった。平成13年(2001年)の就業規則の提出が求められ、裁判後10月5日に提出されました。 この就業規則では、割増手当てを除き含み残業は一切ないものでした。まさに、毎年のように就業規則を変えてゆき、残業代を支払ったとすることによって、労働者をごまかしてきたことが分かります。 第7回口頭弁論を終えて、ほぼ資料が出揃いました。いよいよ次回から、審議が始まってゆきます。次回の第8回口頭弁論は11月29日11時〜高知地方裁判所で行われます。 皆さんの、傍聴支援をよろしくお願いいたします。 今後制定されるかもしれない労働法制の改悪反対の前哨戦となるようかならず勝利したいと思います。 |