「経営の質」見抜く知恵
『99年8月3日 朝日新聞の天声人語 で次の文章を読んだ。面白い、なるほど、その通り、と肯きながら読んだ。』
99年11月に発行されたジャディフレミング社、藤野氏の著書のご紹介
天声人語 <社長室の豪華さとその会社の成長性は反比例する>。なるほど、この手の社長は、自分のことしか考えていないというわけだ。<平凡な社長は総論を話し、優秀な社長は各論も話す>。うん、これも思い当たる。「諸君、一丸となって頑張ろう」程度なら、誰でも言えるもんね。 外資系の資産運用会社「ジャーディンフレミング投信・顧問会社」(本社東京)が投資診断のために日本の企業を訪問する際の「注意事項」をまとめた(東京新聞)。読むとなかなか鋭い.同社にとくに頼んで、原資料を拝見した。訪問した企業のどこに着眼するか。「注意」は33項目に及ぶ。 <自分の過去の苦労話にインタビューの大半を割く社長を持つ会社の成長率は高くない>。たしかにいますね。こういう人。以下も同じ手合い。<創業者の自叙伝をプレゼントされたら、その会社に投資したらもうからない><社長が著名人との親交をにおわせる、もしくは強調するときは、その会社への投資は避けた方がいい> <豪華な本社ビルを建てたときは、業績のピークか株価のピークか、そのどちらかである>。これは「新本社ビルの法則」と呼ばれている。バブルがはじけたあと、法則は見事に実証された。次は「お土産の法則」だ。<自社製品以外のお土産をくれる会社への投資は儲からない>。うまいところをつくもんだ。 <社員同士が役職名で呼び合う会社よりは「さん付け」で呼び合う会社への投資の方が、リターンが多い>。風通しがいいということなのだろう。<体操を社員に強制する会社は儲からない><スリッパに履き替える会社に投資すると不思議にもうからない=「スリッパの法則」>。うーん、深いなあ。 スリッパ(突っかけ)の指摘をふくめ、項目の大半は中央、地方の役所診断にもそのまま使える。 |
「ジャーディンフレミング投信・顧問会社」の注意事項(抜粋:14項目)に直接飛ぶ
『これを読んで、8月3日、朝9時、この天声人語を要約して、メール仲間に伝えるとともに、東京新聞の原文が見たい。誰かコピーをFAXして!と呼びかけた。夕方、メールを開いて見ると、早い早い。数人の方から「東京新聞の記事を見つけたので送る」とのメール。
翌4日の昼までに東京の友人から7月31日の東京新聞の夕刊と名古屋の友人からはそれを転載した8月4日の中日新聞の記事がFAXで送られてきた。
これ以上、皆さんの手を煩わしては申し訳ないと、4日の夕刻、お礼のメールをメール仲間に発信した。【先に、お知らせした天声人語の件で、東京新聞の記事を見たいと書いた所、多くの方々から、ご連絡をいただきました。本当に有難うございました。お礼の意味をこめて、東京新聞の記事をほとんどそのまま文章化しましたので、添付文書として皆様にお届けします。】
今回の件で、メールの威力、特に反応のスピードの速さを実感した次第。これからも皆さんよろしくお願い申し上げます。』
東京新聞の記事(7月31日夕刊)の要約 日本企業”診断の法則” ジャーディンフレミング投信・顧問会社のファンドマネジャーが投資判断のために日本企業を訪問する際のユニークな注意事項をまとめた。業績などの数字に現われない「経営の質」を多面的に判断するための積年の知恵で、隠された企業の市勢が浮かび上がってくるという。 注意事項は約30項目(別表に抜粋要約)で、中には「法則」として確立されているのもある。 【スリッパの法則】、【新本社ビルの法則】、【決算説明会の法則】、【お土産の法則】など。 ちょっぴり恩を着せようと手渡したお土産があだになり、大事な資金を手に入れ損なった会社があるかもしれない。創業者の自叙伝をプレゼントされたら要注意という項目もある。同社の三木投資運用部長は「企業を訪問し直接質問してもなかなか答えは得られないが、注意事項から間接的に株主への態度が浮かび上がってくる。日本の経営には非効率的な点が沢山あり、改めることでリターン(投資の収益)を高めることができる宝の山だ」と指摘している。 |
下記の注意事項、心当たりの方はご用心?
投資判断の注意事項(抜粋) (ジャーディンフレミング投信・顧問会社) ・ 自分の過去の苦労話に大半の時間を割く社長を持つ会社の成長性は高くない ・ 創業者の自叙伝をプレゼントされたら、その会社への投資は儲からない ・ 決算説明会のときに不必要に多くの役員、社員を連れてくる社長は独裁者か、数字を知らない【決算説明会の法則】 ・ 平凡な社長は総論を話し、優秀な社長は各論も話す ・ 社長が著名人との交際をにおわせたり、強調するときは、その会社への投資は避けたほうがいい ・ 社長室の豪華さとその会社の成長性(風通しの良さ)は反比例する ・ 豪華な本社ビルを建てたときは、業績のピークか株価のピークか、そのどちらかである【新本社ビルの法則】 ・ スリッパに履き替える会社に投資すると不思議にもうからない【スリッパの法則】 ・ 情報開示に熱心過ぎる会社は注意する ・ 体操を社員に強制する会社は儲からない ・ 多角化は多悪化になることが多い ・ 地獄から這い上がった会社は強い ・ 社員同士が役職名で呼び合う会社よりは「さん付け」で呼び合う会社への投資の方が、リターンが多い ・ 自社製品以外のお土産をくれる会社への投資は儲からない【お土産の法則】 |