2008年09月10日 (水)おはようコラム 「ここまできたか 社保庁の実態」

(阿部キャスター)
おはようコラムです。社会保険庁はきのう、社会保険事務所の一部の職員が、厚生年金の記録の改ざんに関与していたことを認める調査報告を発表しました。記録の改ざんという悪質な行為にまで及んだ社会保険庁の実態について、藤野解説委員に聞きます。

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Q1:今回の不祥事は、これまで以上にひどい。

A1:今回は、これまでとは全く次元が違って、極めて悪質な行為。
というのは、今回の改ざんは、これまでの宙に浮いた5000万件の年金記録の問題やコンピューターへの入力ミスなどといった過失による不祥事ではなく、徴収率をあげるために、社会保険事務所の職員自らが、保険料を滞納している会社に、不正な月給の引き下げや厚生年金からの脱退を指導していた。これによって年金額が減るという実害が出ている。
そもそも、虚偽の報告は法律で禁じられているので、社会保険庁は、国民の大事な年金を守るどころか、会社の経営者に違法行為をそそのかしたともいえる。

 

Q2:職員の関与は、本当に一件だけなのか。

A2:いえ。氷山の一角ではないかと思う。なぜなら、以前にも、徴収率をあげるために、国民年金の保険料を不正に免除していた問題があった。この問題が発覚したときにも、隠ぺいを図ろうとしていたし、ずさんな記録管理を重ねてきたりしたことを考えても、今回の改ざん問題だけが、一部の職員の考えで行われたとは到底思えない。実際に、社会保険事務所の元職員からは、「改ざんは、長年、組織ぐるみで行われていた」という証言も出ている。
今回関与を認めた一件だけは、会社側が証拠の書類を残していたために、社会保険庁も関与を認めざるを得なかったが、一部の職員に責任を押し付けて事を済ませようとする社会保険庁の思惑が透けて見える。これでは、国民の不信感はますます高まるばかりだ。

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Q3:今後の調査はどうなるのか

A3:社会保険庁は、厚生年金の全ての記録について、改ざんがあるかどうか調査する方針だが、調査が進めば、社会保険庁と会社が、従業員に知らせずに勝手に改ざんしたものも出てくると思われる。以前から改ざんの疑いが指摘されていたにも関わらず、社会保険庁は、これまで対応を遅らせてきた。改ざんされた全てのケースで職員の関与があったのかどうか、全容を明らかにする責任がある。

投稿者:藤野 優子 | 投稿時間:08:55

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