病院は町の宝 広がる意識 住民のエール相次ぐ

藤沢町民病院の医師への感謝の思いを込め、出版する絵本の見本を手にするおざわさん
 「お医者さんが居(い)るっつごどは、病院に命がふきこまれるっつ事だ」。岩手県藤沢町在住の女性が5月、地域の医師への感謝を込めた童話の絵本を自費出版する。題材は福祉と連携した包括医療に取り組み、黒字経営を維持する藤沢町民病院。小学生が過疎地の医療の姿を調べていく物語に「病院は地域の宝と気付いてほしい」との願いを託した。

 筆者はおざわせいこさん(61)=本名・小沢セイ子=。ドイツ暮らしの経験があり、現在は一関国際交流協会で理事とドイツ語講師を務めている。

 絵本のタイトルは「ふじっこG7」。藤沢の小学生7人が地元のゲハイム(ドイツ語で秘密の意)を探っていくことから名付けた。挿絵は3月で閉校した町内の徳田小の児童らの作品を使った。

 おざわさんは今年1月、虫垂炎の悪化で町民病院に入院した。「田舎の病院の素晴らしさ」に触れ、以前から構想のあった童話のテーマを地域医療に絞ることにした。

 主役の小学生の探偵団には、住民の命を守ってきた地域医療の過去といまを映し出す役目を持たせた。県立病院がなくなった1970年代前後から、ほとんど不眠で診察に当たった開業医や、県を説得して町民病院が開院するまでの経緯を盛り込んだ。町民病院で続く住民対象の勉強会「ナイトスクール」も取り上げた。

 「おらいのばあちゃん言ってだ。『あのお医者さんが居るがら、みんなが安心して暮らせるんだ、町民の生命を守ってるっつごどだ』って」。子どもたちが方言で語る言葉は印象的だ。書店向けの宣伝用チラシには地域の未来を担う子どもたちへの期待も込め、「おれ決めた!、医者になる!」との文章も加えた。

 「病院という素晴らしい宝が身近にある。決して当たり前ではないことをみんなに感じ取ってもらい、地域医療がしぼまないようにしたい」とおざわさんは強調する。

 絵本はB5判、約80ページで1000円。連絡先はおざわさん090(5184)4134。
2009年04月27日月曜日

岩手

文化・暮らし



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