国連:北朝鮮3組織の資産凍結を正式決定 安保理で

2009年4月25日 10時56分 更新:4月25日 11時23分

北朝鮮への資産凍結を受け会見する高須幸雄・国連大使=2009年4月24日午後6時40分、小倉孝保撮影
北朝鮮への資産凍結を受け会見する高須幸雄・国連大使=2009年4月24日午後6時40分、小倉孝保撮影

 【ニューヨーク小倉孝保】北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁委員会は24日、日米両国が提案したリストのうち3組織について資産を凍結することを正式決定した。国連として北朝鮮組織の資産凍結は初めて。国連全加盟国は今後、国内手続きに入るが、北朝鮮は「受け入れられない」と反発している。

 決定は、先に採択された北朝鮮非難の安保理議長声明に従ったもので、▽北朝鮮に対する禁輸品目の拡大▽武器関連3組織に対する資産の凍結--の2点。資産凍結の対象は、▽朝鮮鉱業開発貿易会社▽端川(タンチョン)商業銀行▽朝鮮嶺峰(リョンボン)総合会社--の3社。

 安保理決議1718は、北朝鮮への武器関連物資の禁輸と関連組織の資産凍結を求めているが、これまで資産凍結については実施されてこなかった。今回の決定は、安保理の正式決定になり国連全加盟国が履行の義務を負う。日米などは3組織への資産凍結をすでに独自実行している。

 北朝鮮のミサイル発射で議長声明が採択された後、日本は14組織、米国は11組織の資産凍結を求めてきた。3組織以外の資産凍結は制裁委員会メンバー国の支持が得られず見送られた。

 今回の制裁委決定に、高須幸雄国連大使は「(資産凍結の対象が)3社であっても、国際社会全体で(資産凍結を)やることになったのは決議の実効性を確保することになり、大きな成果だ」と歓迎した。一方、北朝鮮のパク・トクフン次席大使は会見で「宇宙の平和利用はすべての国に与えられた権利であり、決定は受け入れられない」と述べた。

 制裁委は、06年10月に採択された決議1718で設置され、安保理理事国(15カ国)で構成される。

 ◇資産凍結が決まった北朝鮮の3組織

 【ニューヨーク支局】資産凍結が決まった北朝鮮の3組織は次の通り(国連安保理制裁委員会発表)。

▽朝鮮鉱業開発貿易会社 本社・平壌。主に弾道ミサイルや通常兵器関連商品の輸出

▽朝鮮嶺峰(リョンボン)総合会社 本社・平壌。北朝鮮の武器産業を支えるコングロマリット(複合企業体)

▽端川(タンチョン)商業銀行 本部・平壌。北朝鮮の通常兵器、弾道ミサイルなど武器売買に関する主要金融機関

文字サイズ変更
この記事を印刷
 

特集企画

おすすめ情報